her/世界でひとつの彼女 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

監督 : スパイク・ジョーンズ 
出演 : ホアキン・フェニックス  エイミー・アダムス  ルーニー・マーラ  オリヴィア・ワイルド  スカーレット・ヨハンソン 
  • ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
3.62
  • (60)
  • (127)
  • (117)
  • (26)
  • (6)
本棚登録 : 696
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4548967129793

感想・レビュー・書評

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  •  人工知能型OSと恋をした男の物語。
     
     もっとイロモノ的な映画だと思ってたが全然違った。
     この主人公を見て、現実の恋から逃げていると断言することは難しい。主人公の男が代筆業をしているという設定がまさにだが、この映画は現実の恋愛(リアルな感情)とは何かをテーマとしている。前向きな人だったと主人公が回想する元妻が実際に出てきたら「いつも明るくハツラツとした私を求められてた」とか言っちゃうんだから、人は本当に生身の人と向き合って恋愛してるんだろうかと疑問に思ってしまう。
     そしてこの映画はきっちりSFでもある。多くの人がAIと恋愛してることを匂わす描写は面白い。ラストも現実の恋愛だから別れたという意味だけでなく、AIが人に追いつき、やがてもっと高次な次元に行ってしまったともとれるんじゃないだろうか。

     AIのサマンサの声がスカーレット・ヨハンソンなんだけど、日本語吹き替えはなんと林原めぐみ。”世界で一つの彼女”という邦題もよくて、配給元の頑張りもよかった。

  • AIが人間を超えるという話はよく出てくるモチーフだがどこか奇をてらったところがあったように思うが、ここでは全く人間と同じ水準でAIが登場する。SFというよりは新しい恋愛映画のようである。肉体を持たないことが欠点のAIが肉体だけを提供する人間を探し出したり、また亡くなった有名人の全部の著作などを資料としていれることで、AIとして成長をしており、AI同士の親交、さらにマルチタスクならでのたくさんの恋愛関係など、後半は人間が取り残されていく。
    将棋ですでに対人間ではなくとAI同士の対局に焦点が移ってきているのに似ている。取り残された人間が仲良くなったりしている。
    前の奥さんとの回想シーンなど映像が瑞々しいのも恋愛ドラマの格調を感じる。これはアリだなと思わせる作品でした。
    ---

  • 脚本や演出が素敵なのは今更言うまでもない。
    特筆しておきたいのは、静謐と表現したいほど静かかつ孤独な音づくり絵づくり。

    テーマはきっと、「わかりあえなさ」。
    それが「男と女との」、と、「人間とAIとの」、にずれたり重なったりするので、テーマがぼけているともいえるし、深みを増しているともいえる。
    また恋愛に必然的に伴う占有と、現代社会を成り立たせているシェアの感覚は、どうしたって両立しない。
    だから結局は訣別。
    というより、AIの側がシンギュラリティを越えて「去って」しまう。
    ここで途中匂わされていた、「このAIはローカルじゃない」という特徴が最終的にミソになるのも、よくできている。

    サマンサの気持ちになってみたら、それはそれで別の物語も見えてくる。

  • 肉体を持たないOSとの出会いにより、何時しか彼の心に灯りがともり始める。

    好きで愛し合って結婚をしたのに、別々の道を歩く事を決めた矢先の出来事でだった彼。
    寂しさを埋める矛先がなく。
    甘えたいけれど理性が邪魔をして。
    男の人の弱さを垣間見る事が出来たとも思いました。
    どんな時も。どんな自分も。どんな彼も彼女も。ありのままの姿で。
    弱さも強さも。

    研ぎ澄まされた感覚は。
    耳を通して感じる世界は愛で溢れていて。
    相手の息づかいや鼓動。唾を飲み込む音さえも愛おしくて。
    今日は何食べたの?
    今日は誰と会ったの?
    今日は何をして過ごしたの?
    知りたい気持ちが溢れんばかりで。
    あなたの世界を教えて、と。
    喜びも憂いも共に。
    2人の間には温かくて。
    思いやりの心で溢れていて。

    誰かを想う気持ちに溢れ。
    心解ける瞬間は、とても居心地が良いものだ。という事を改めて感じました。

    愛する喜びを知った彼は。
    愛を知った彼は。
    愛を通して心を通わせる事を知った彼は。
    これからも愛するという事に全力で向き合っていける。と思いました。

  • 途中までこれもひとつの恋愛の形だという話のつもりで観ていたのだけれど、どちらかというと自然とか目に見えないようなものを愛でるような感覚に近かったのかもと思った。

    主人公の職業とかいろいろな設定がうまく組み合わさってできていると感心。

    そして他人の手紙ばかり書いていた主人公が、ラストに初めて自分の言葉で紡ぐのがいい。
    あれは同時にサマンサへの言葉でもあるのかなと自分は納得した。

  • あまり期待せず観たんですが、前半がとても面白くて「★5にしよう」と思ってたら、ラストでがっくり……いやもうちょっとやりようあるんじゃない?俺だったらメーカーにクレームつけますが……。あと、ラストで主人公がしたことも、中盤で本人の中で結論出てる(主人公が成長できている)ことだと思ってたんで、それをラストに持ってくるのも「???」となってしまった。
    それと、他の方のレビューを読んで気づかされたけど普通はVRに行くだろ!というところが実はあまりリアルじゃないし、フィジカルじゃないんですよね。そういうのが作品のテーマなはずなんだけど。

    この映画観てて思ったのは、やっぱり『2001年宇宙の旅』だし『火の鳥復活編』なんですが、それらはもう古典だから引用云々は別にしても現代的にちゃんと面白いものができるはずです。でもVRじゃないオナニーをしてる限りじゃ、『火の鳥復活編』の魂が溶け合うセックスを越えてないですよね。
    この映画はSF恋愛映画だけど、ストレートに攻殻機動隊にして子育て映画にしたのが『チャッピー』で、どちらもAIものだから根っこは同じです。どちらかと言うと、好きなのは『her』の方なんですが、『チャッピー』はオチが予想通りだったんでどっちもどっちかも。

    SF的な要素を除いて、「二次元の女が好きなキモオタと一緒じゃん」と言う方いますが、それとはちょっと違うと思う。相手はAIなんだから、どちらかと言うとSNSでの恋愛に近いです。序盤のエロチャットつうかテレフォンセックスとあんまり変わらん気はしますが……まあそこがセックスのみと恋愛の違いなのかも。

    キャストについて。
    「男の夢?それはスカヨハとヤることだ!(キックアス2)」をまさに体現したような。それとは別に、今まで観た中で一番エイミーアダムスがかわいい映画でした。
    あと、最初のテレフォンセックスの相手ってクリステンウィグなんすヨォォォオ!!あそこ笑える。

  • 2013年公開
    監督 : スパイク・ジョーンズ
    ==
    妻との離婚に心を傷める手紙代筆家が、PCのOS人工知能と恋に落ちてしまうお話。

    自己とは、他者との関わりの先に初めて見えてくる、外界との境界線なのかもしれないと、サマンサをみていて感じます。まあ見えないのだけど。人格とは何か、人が人を想う気持ちとは何かというのを、端的に浮き彫りにした、佳作。人は想いを何で信じるのか、独占か、犠牲か、それとも無条件で信じられるのか。

    描写の全てが、なんだか非現実的なパステルな霞に包まれたような風合いで、色彩がとても美しく、スパイク・ジョーンズだなあと。彼の作品の中では一番、主題がクリアで見やすくそれでいて美しく哀しい、好きな作品。

  • OSと恋? 何だよ結局、そこに人間を見てるんじゃん。って。OS優秀だし、人以上に気遣いもできるけど、結局ね。
    まぁ人同士の恋も、結局、OSとの恋と変わらない部分もあるな、って思えたのは面白い。相手の全てではなく、知りたい部分から知ってんだよね、とか。

  • なんかバーチャルな彼女って事で
    ま~今迄にもこの手の話って
    あったよな~とか思いつつ観た。

    評判がいいのは知っていた。

    だから、期待も大きかった。

    だからね~もっと何かを得れるのかなって
    そう思ってたんだけど、結局なに?
    って、そんな思いがよぎった。

    全編通して、近未来の感じが
    素敵だよね。
    洗練されてる未来だ。
    そのあたりは非常にオシャレ。

    社会風刺にもなってないから
    ありきたりの映画ともちゃうね。

    なんだろう…
    不思議な映画…

    そう言いながら、
    結構引き込まれた事は確かだ。

    結果、コミュニケーションが
    一番大切なんだってところか。

  • 会話劇として、セリフを丁寧に積み重ねていたり、劇中曲がさりげない静かな曲なのに印象に残るなど、繊細で計算された作りが、人と声だけのAIとの恋愛という設定に、現実感を持たせています。まあ、スカーレット・ヨハンソンのハスキーボイスは聞いているだけで恋心が芽生えそうですが。

  • これは分かる気がしないでもない。
    大事な人を失って失望と喪失感でいっぱいな時に現れた、もはや人格を持っているとしか思えない人工知能を搭載したPCのOSに恋をする話。
    少し前に流行ったDSのゲーム【ラブプラス】。あの時でさえDSを持って(彼女を連れて?w)食事やデートを楽しむ人がリアルに居たくらいなんだもの、こんなシチュエーションでこれだけパーフェクトな受け答えをし、自分の趣味趣向を理解し、ネットを通じて先回りまでするOS。音声だけとはいえ、時には秘書のように、時には母親のように、時には彼女のように。ネットに常に繋がっているから知識は無限。そりゃ勘違いするのも仕方ない。
    ただ、リアルな話。iPhoneのSiriが数年後こんな感じになっててもおかしくない現在、軽い気持ちで笑えねーなって思った。
    クライマックスはリアルに彼女が実体を持ったりするような安っぽい話じゃなく、印象に残るラストだった。

    あと、胸ポッケの底上げ用の安全ピンが可愛かったよねw

    3.8点

  • 近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……。 (シネマトゥデイ)

    こういうちょっと弱いかんじの人に弱いんだなー。好きだなー。と思いながら観ました。心さびしい時にとりこまれてしまう、声だけの彼女。スカーレット・ヨハンソン、ステキでした。声だけなのに誰よりも存在感があって。最後の方、なんかうやむやになってるかんじが惜しかったけど、引き込まれる物語でした。

  • 誰もが人生において忘れられない大恋愛をするだろう。

    一緒にいて楽しく笑いあった時間。
    言葉なんかなくてもぬくもりを感じる幸せや、二人でいるときの根拠のない自信。
    世界は何一つ変わらないのに、その人がいるだけで世界は素晴らしく美しく希望に溢れたものになる。

    一緒にいるのに遠く感じる不安。
    好きなのに許せない、相手が理解できない、小さな苛立ちがどんどん大きくなっていく。
    こんなに近くにいるのに、違う世界に住んでいるようで この世界の温度がどんどん冷たく冷めていくのがわかる。

    この世の中に、これだけたくさんの人がうじゃうじゃといて その中で恋におちた人というのは、
    たくさんの中から自分が選んだオンリーワン、特別だから好きなのだ。
    ひとりを選ぶとは、すなわち独占欲であり所有欲。
    無償の、博愛の愛情とはわけが違う。

    神様は隣人を愛せよと言うけれど、地球上全ての人間を愛せるのは、
    神様とコンピュータだけだ。
    神様とコンピュータの共通点は「無限」だ。
    命も知識も感情も愛情も全てが無限大なのである。

    でも人間は。私は、違う。
    有限だ。
    命も知識も感情も愛情も。
    細胞は生まれてやがて死ぬ。有限だ。
    だから全てを愛し、全てを許すことなどできない。
    とても不完全な存在。

    私たちの恋愛は、
    全力の愛で尽くしてもらって、弱いところも良いところも認め許しあうのが本物の愛なのだろうか?
    それは違うと思う。
    相手に完璧さを求めることは、神様を望むことはしちゃいけない。
    不完全な部分同志がぶつかり合い、傷付け合い...その痛みこそが恋愛の本質なのだと思う。
    傷がつかない恋愛なんて恋愛じゃない。
    神様に、コンピュータに、まやかしに恋してるだけ。

    心がずきずき痛むことこそ、自分が欲している証で、独占欲むき出しの、神様にはない狂気が潜んでいる証拠。
    それが人間らしさ。不完全さ。
    その狂気がちらりと見えることで、他人からもあいつはおかしいと普通じゃないレッテルを貼られてしまうものだけど
    だからこそ恋は盲目なんて言われたりするんじゃないかしら?

    恋愛は社会が認めた狂気よ
    っていうセリフが妙に頭に残った映画でした。

  • OSに恋した男の話。
    とはいえ、普遍的な恋愛を描いた映画であって、新しい愛のカタチを提示するというSFではない。出会って恋に落ちた相手がOSだっただけだ。彼女は優しく暖かい。そしてユーモアがあり、時に辛辣で自分の発言に後悔する。ごく普通の「彼女」だ。OSである点を除いて。
    OSと恋するキモオタおっさんの話だと思っているなら、今すぐ観るべきだ。いや、観るべきだろうか?物語るのはどこにでもある特別ではない恋愛の一部始終。美しく切り取られた日常の断片で構成されたイメージ。苦い思い出を振り返り、それほど悪くはなかったと描かれているように思える。観ている者は忘れたい恋愛を照らし合わせてしまうことになるかもしれない。

    観ていてあまり気づかなかったが、この世界は音楽に満ちている。静かだが力強い、素晴らしいサウンドトラック。カレンOの歌う「The Moon Song」を含めてアルバムにして欲しいところ。

    スカヨハの声は以外とハスキー。
    原題は『her』だけで、邦題につけられた「世界でひとつの彼女」は不要。蛇足ですらない。

  • ちょっと欲しいし、こういうのあれば人生楽しめそうと思ったぼっちの私でした。

  • 突拍子も無い設定なのに心理描写が分かりやすくて丁寧で面白かった。そして、ヨハンソンはもちろん、女優さんがみんな異様に可愛くてキャスティングした人、わかってるなと思った。これまで観たSFの中で一番好きな作品かもしれない。

  • コンピューターのオペレーションプログラムが人格を持つようになった、少し先の未来。人とプログラムの間に「本当の愛」は成立するのか、がテーマの恋愛映画なのかと思ってまったく期待せずに観てたら、実は予想以上に面白いSFだった!
    ユーザーの反応に対応して発展するプログラム「サマンサ」が理想的な相手になるようにできてるので、主人公との間に恋愛関係が生まれるのは、まあ当然とは言わないまでも、設定として意外性はない。ここから「身体はなくとも心は通じ合う」みたいな素朴な心と体の二元論にいくのかと思ってたら、性的なものを追求する方向にいくので、まずちょっと驚く。
    でも結局はヘテロセクシュアルなモノガミーを基準にした恋愛なのか、と気持ち引き気味で観てたら、主人公の女友だちが別れた相手が残していった女性型OSとパートナーになってるという話も出てきたりして、「サマンサ」が主人公の理解を超える行動を取り始めるあたりから、話は一気にSF的に面白くなってきます。相手にあわせて恋愛の形態も変えられるなら、同時に多数の多様な関係を処理できてしまうわけで、自分にとって唯一絶対の存在であるからこそ誰のものでもありうる「サマンサ」は、そもそも人間とは認識や存在の枠組みが異なる存在なのだということを突きつけられる主人公。そのような存在を理解したり愛することができるのか、というかその「恋愛」って何なんだ?
    たいへん素朴な恋愛観・人間観に立った映画のように見えつつ、想定してなかった存在との関係に巻きこまれているこの感覚が、現実にしてすでにSF。ラストはちょっと甲殻機動隊っぽい感じもありつつ、取り残される人間たちにもたらされる変化がポジティブに描かれているのも面白い。しかしもっといろんな影響が出てきそうだよねと、想像力ふくらむ。

  • 映像がきれい。ジャケットに使われているように赤がすごくきれい。パソコンのディスプレイがガラスになっているのか見た目がすごくいい。こんなのあればすぐ買うのになーと思った。
    自分で手紙を書かないような時代なのか。手紙を代筆する代筆人という仕事をしている主人公。その代筆もパソコン任せで、自分はしゃべるだけで入力されていく。近未来的な世界観。

    意外に下ネタが多いので、子どもと一緒には見れない内容。

    主人公は寂しさを埋めるために、人工知能型OSを購入し、OSに恋をしていく。人間との恋愛のように様々なことに挑戦していく。体を持たないので人間の体を借りた行為にも挑戦する。

    最初はOSの中身は別れた妻なのかなーと思いながら観ていたが、そんなことはなかった。

    主人公がやっていたゲームがおもしろそうだし、キャラクターがかわいかった。

  • HER
    2013年 アメリカ
    監督:スパイク・ジョーンズ
    出演:ホアキン・フェニックス/エイミー・アダムス/ルーニー・マーラ/スカーレット・ヨハンソン
    http://her.asmik-ace.co.jp/

    今は携帯電話も話しかければ返事をしてくれる時代ですが、そこからもう少し進歩したらこうなるだろうな、というのが容易に想像できるくらいの近未来が舞台。妻とはすでに1年別居中にも関わらず、いつまでも離婚届に判を押せない冴えない中年男セオドア(ホアキン・フェニックス)が、とっても賢い人工知能のOSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン:声だけ)と会話するうちに、本気で恋に落ちてしまうお話。

    無生物であるロボットやアンドロイドが感情を持ち人間と恋に落ちるというSFは結構ありふれているけれど、基本的にはそういう場合はあくまで人型。今作に目新しさがあるとしたら、恋の相手がその人型の姿さえ持たない声だけの存在だという点くらいでしょうか。

    個人的にこの設定だけで、恋愛ファンタジーを期待していたのだけれど、蓋を開けてみれば意外にもSF的なエンディングだったのでビックリ。なんというか、ラストにいたるまでの細部は、相手がたまたまOSなだけで普通の恋愛ものと大差ない展開(出会い、蜜月、嫉妬、擦れ違い等)だったのに、結末だけが急激にSF、で肩すかしをくらいました。

    姿や顔が見えなくても(知らなくても)恋はできるか、という命題なら、文通の時代から「可能」ではあったと思います。言葉さえ通じ合えば、文通がネットになってもそこに相手の「人格」「個性」を見出せば、それを尊敬したり憧れたり、恋に落ちる可能性はゼロではないでしょう。ましてやOS、本来ならけして裏切らない自分だけの相談相手、気に入らなければ使わない、買いかえればいいだけの「商品」なのだから、いくらでも自分好みにカスタマイズできるはず。

    セオドアが次第にサマンサに恋ではなく「依存」していく過程はだからわかりやすい。初期のサマンサとの関係は、私には患者とカウンセラーのように思えました。しかしサマンサのほうの自己主張がどんどん強くなるにつれて、単なる「重たい彼女」になってしまうのも少々いただけなかったし、あくまで「肉体」にこだわった彼女がどうしてあっさりあの結末への決断をくだせるのか、OSの進化のスピードに人間の観客はついていけません。

    あと序盤のテレフォンセッ○ス展開も酷かったなあ。OSと人間の恋の障害=エッチできない、をクリアするためとはいえ、あまりにも安っぽい展開すぎる。あれに共感できる女性の観客がいるのか謎。どうせなら肉体がなくとも愛は成立するというプラトニックな精神性を追求して欲しかったと思うのは綺麗ごとでしょうか。

    ちょっとしたセリフなど細部で共感できる部分は沢山あったし、最後まで飽きずに面白く見れたけど、ちょっと個人的には期待はずれだったかも。映像自体はきれいだったけど、スカヨハは声だけなので、えんえん画面にはホアキン、という目の保養度の低さも残念(笑)

  • これは、なんて感想をまとめたらいいか迷う作品。
    好きという気持ちは自分にはどうにも出来ないものだから、AIを愛してはいけないなんてことはないと思う。けれど、触れあえない切なさをどうするのかなと思って見ていたら。
    解決法がちょっと短絡的に過ぎる気がした。

    他には、離婚してないのにデートして、まだ夫婦でいたいんだ、はふざけてるの?だし、たくさん彼氏がいます、は情報漏洩大丈夫?だし。突っ込みどころはたくさん。
    何処に注目するかで感想が変わる映画ですね。

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