最貧困女子 [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • とにかくつらい。

  • あまりにも重いテーマで、簡単にはコメントは書けない。でも、『「貧乏と貧困とは違う」という言葉はとても重たい。』というのはそのとおりだし、『社会の底が抜けてしまう』という感じもそのとおりだ。

    僕らは、「共感」が一つのキーワードだとはおもっているけど、ほんとに僕らが彼女らに共感できるかというと、それもわからない。では僕らは何をすればいいのか。宙ぶらりんだ。

  • 貧困に喘ぐ女性にも色々なパターンがあるということは、結構見逃されがちなので、そこを丁寧に分析しようとしたという意味で価値ある本だと思う。
    こと、セックスワーカーとなると関わりのない人は、考えるのが面倒だし、そもそも考える価値がないと思ってるから、思考停止に陥りステレオタイプに捉えがちだ。
    けれども、当然様々な事情でその仕事している人がいることや、様々な形態のサービスを提供している人がいることは心に留め置いた方が生産的に話ができると思う。

  •  「貧困」の定義は色々あるだろうが、基本的には「お金がない」「収入がない」ということだろう。しかし本書で取り上げられている最貧困女子は「お金を得る能力が根本的に欠けている」という状態だ。そういう人が女性であればセックスワーカーになるのは古今東西同じパターンであろう。

     同じパターンとは言いながら、具体的にどの様な経緯で彼女たちがそうなっていったのかきちんと調査した事例は少ないのではないか。その理由もまた本書で指摘されている。すなわち、彼女たちは取材に答えることもまともにできない(だから普通の仕事が成り立たない)し、その周囲の人々もいわゆる裏稼業であり、役所の調査にはなじまない世界だからだ。

     ハッピーエンドになることは到底望めない彼女たちの人生を少しでも救うために、誰に何ができるのか。著者はいくつかの提言を述べているが、そうそうなんとかなるようには思えない。恐らく著者自身も感じているのだろう。ただ絶望だけが残る。

  • 経営側からすれば、病んだ男子と女子が惹かれ合い、そこで「会えるのは基本的に店」という縛りだけつけておけば、自動的に店に金が落ちるシステムでもあり、いわばこれがホストの経営

    読んだ記録だけ残したいと思います。何を書いても薄っぺらくなりそうなので。

  • とりあえず貧困女子がいるらしいことがわかる。そして貧困女子の暮らしが少しわかる。

  • 読むと割と胸糞悪くなります。

    世の中には馬鹿でどうしようもない人がいるってことがわかります。どうしてそこでそれを選ぶのかと問い詰めたくなります。

    馬鹿だから最悪の選択をして、性格が悪くて助ける人がいなくて、公的援助からも逃げ出し、ブスだから性産業ですら需要がない。

    救いがなくて読むと気が滅入ります。

    彼女達に非が無いわけじゃない。でも彼女達だけのせいでもない。公的援助から逃げ出すのは彼女達だけに問題があるわけじゃない。

    貧困女子は気が滅入る問題です。でも放置すれば無くなるわけもなく、社会が劣化し続ければ一番ワリを食うのは一般庶民ですからね。なんとかしなきゃ、なんとかなるのかな?

  • 貧困のためセックスワーカーとして生きている女性について書かれています。同じ風俗業の中でも、そこにいる事情というものは違っていて、貧困のため(金銭的にも地縁的にも)、また他の方法を知らないために、そこに居るほかない状態。なぜそうなのかについて、私たちが表面的に見ているだけで感じていることとは違う点について、著者なりに「分かってほしい」という想いで書かれていると思います。
    そこで働かざるを得ない女性は、確かにそこでしか生きられない状態にあります。しかしそれは良いことではもちろんありません。それをどのようにして修正していくべきか。著者もその困難さについて非常にマイナスの意識を持たれています。せめてその現状について正確に知って欲しい、まずそこからという想いが伝わってきます。
    道で倒れている人が居たら、手を差し伸べるでしょうが、その人が睨みつけてきたら助けないでしょう。助けられない人には何らかの理由があります。だから助けないというにはあまりにも多くの、そのような人がいるということ。これは、この貧困は風俗業の世界だけではなく、他にもあると思います。身近で言えば、私たちの職場でも、周囲になじめない、問題のある従業員など、すぐに思い当ります。それを本人の問題と切り捨てることに、ちょっとした疑問を持たないといけないということを感じました。

  • 育てられた環境がひどかったり、障害があったり、まともな教育を受けられなかったりで、こういう働き口しかみつけられない女性達がいる。
    それが社会のセーフティーネットになっている。
    歳を取ったりで、それさえもできなくなることに不安を覚えつつ。

    ホントに現代の日本なのかなって思うような。
    筆者が取材自体が辛いと吐露していた、無力感がよくわかる。
    でもこういう提起によってみんなが知ることは大事なんだろうな。

  • 「三つの無縁」と「三つの障害」が最貧困女子を生み出す原因だと書かれている。
    三つの無縁は「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」、三つの障害は「精神障害・発達障害・知的障害」である。
    貧困にあえぐ人々は女子に限らず同じ無縁がそれぞれにあると思う。
    以前読んだ反貧困という本に溜が無いと貧困に陥るという事が書いてあったが、それがこの無縁と同じ事である。
    この本は女性にスポットを当てて貧困をルポしているが、女子に限らず貧困はこういう問題が大きいと思う。
    自己責任と批判する人は少なくともこの三つの無縁ではなく何か縁があり溜があるから救われるという事があたりまえだと考えられるポジションの人だと思う。
    貧困というものを自分の想像の中でとらえられる目線を持たないと切り捨ててあたりまえだという立ち位置になると思う。
    貧困はこれから高齢者も含めて襲ってくる社会問題だと思うので、しっかりとこの事を考え捕らえておきたいと思う。

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著者プロフィール

1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』(幻冬社新書)などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』(ともに新潮新書)が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)『発達系女子とモラハラ男』(漫画いのうえさきこ。晶文社)、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』(日本医学ジャーナリスト協会賞受賞。医学書院)、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著。金剛出版)などの著書がある。

「2021年 『壊れた脳と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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