盤上の向日葵 [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 折しも藤井聡太さんが異例の早さ若さで七段昇段を決めた日に読み始め翌日読了した 笑。
    将棋音痴でも十分に楽しめるミステリーです。向日葵やゴッホとのつながりが少し強引かなぁ と思うけれど不憫な環境の少年が曲がることなく将棋を拠り所に成長していく過程や、一旦諦めた将棋に再び異才を発揮して異例のプロ棋士となり、しかし異才の由縁に掬われることになる青年。悲しいさだめを背負って悲しい人生を歩いた男の悲しいミステリー。
    素人にも将棋界事情が多少分かるような内容も紹介されていて興味深かった。
    さすがに本屋大賞を競っただけのことはあります♪

  • 泣いた

  • 徹夜本でした。と言っても徹夜で読んだわけじゃないですが、読み終えるまで寝られなかったです。松本清張の「砂の器」的と言う評価も聞かれますが、確かにそれらしい雰囲気があります。謎解きそのものは、死体は誰か、そこのあった将棋の駒はどこから来たのか、なんですけど、人間ドラマの構成がうまいのか、読んでいて次が気になってしまいました。将棋の部分はほとんどわからず(笑)、それでも楽しめる作品でした。むしろ気になったのは「島根」「ゴッホ」「味噌屋」のキーワード。次はそのゴッホに関する「たゆたえども沈まず」を読もう。

  • ミステリーなので謎解きの面白さは当然あるのだが、
    むしろ、ひとりの天才棋士の壮絶で切ない人間ドラマとして、
    ぐいぐい引き込まれる。
    将棋が詳しくない人でも充分に楽しめるし、
    将棋界の舞台裏もリアルに描かれる。
    読み応えあり。

  • おもしろかった!主人公の過去の生い立ちを追いかけながら物語が進めるあたりは、松本清張の『砂の器』を思い出した

  • 面白かった!
    将棋はほとんど知らなくても大丈夫、十分楽しめます。
    あまりにも報われない、そんな切なさも感じますが、
    高い熱量、熱さも伝わってきます。
    女性の著者ですが、男っぽい熱さがあります。
    この著者の別の作品も読んでみたくなりました。

  • 真剣師としての将棋への向き合い方にしびれた。
    ただ、指している将棋の状況がわかりづらくて、あとがきなどにどの棋譜を参考にしているとかあれば、自分で探して追えたのかなと思う。

  • 電子書籍。将棋好きとしてはたまらない内容かと。新進気鋭の経歴が変わった挑戦者と皆が認める偉大な棋士との対局がいきなりきて、正体不明の遺体、一緒に埋まっていた駒、そこからの捜査。一方で、挑戦者の忌まわしき過去、真剣師との出会い、そしてそこからの両方の話が一致して…と最後は一気読みでした。対局はまさかの2歩!ハッシーかと思いました(笑)しかし最後はちょっと切なかったなあ。でも星5です

  • 今年の本屋大賞で次点に付けた柚月裕子作品。
    基本、僕の柚月裕子に対する興味は本屋大賞のノミネー
    トから始まっているのだから、ここに来てようやく本命
    に辿り着いた感。

    七冠王を目指す将棋界の重鎮に挑むのは、養成組織であ
    る奨励会を経ずにプロとなった東大卒・元IT企業の経営
    者。その頃、埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見
    された。遺体には刺傷の跡があったため、県警は殺人お
    よび死体遺棄事件として捜査を開始。奇妙なことに、死
    体の側には数百万円の価値がある将棋の駒が一緒に埋ま
    っていた。元奨励会員という異色の肩書きを持つ刑事が
    一課のベテランと組み、この事件の捜査に当たるのだが
    ・・・という内容。

    この作品を含め、これまで4冊読んだ上での僕の柚月裕子
    評はこれしか無い。『誰よりも「漢」を感じさせてくれ
    る女流作家』である、と。「漢」は、もちろん「オトコ」
    と読んで欲しい。

    この直前に読んだ孤狼の血シリーズの2冊は、いわゆる
    「任侠」に則った上での漢臭さだったが、この作品に登
    場する漢たちで印象深いのは「真剣師」と呼ばれる賭け
    将棋の達人たち。財産はもちろん、自らの生死まで賭け
    て勝負に挑む彼らの姿には、神々しさまで漂う。将棋モ
    チーフの小説だから、棋譜解説の文章も多々出てくるの
    だが、その意味が全く解らなくても伝わる緊迫感。この
    作家、本当に「恐ろしい」と思う。

    さらに、ミステリーとしての組み立てもかなりのレベル。
    登場人物の過去が明らかになるにつれ、ジリジリと核心
    に迫って行く構成は見事の一言。そして、ラストシーン
    はまるで映像のストップモーションを観るかのような臨
    場感があった。

    作品の持つ魅力は、本屋大賞を受賞した辻村深月の
    「かがみの孤城」に勝るとも劣らない。個人的には、こ
    ちらの作品の方が強烈な印象を残してくれたように感じ
    る。惜しいなぁ、本当に・・・。

    とにかくこの作品で柚月裕子は僕の「全冊読む」作家リ
    ストに入った。このオトコらしい女流作家、僕は大好き
    です!

  • 本屋大賞ノミネートということで、お金の分は満足できますが、私には普通の推理小説、2時間サスペンスドラマのシナリオに感じたなあ。
    やっぱり書店のスタッフはあんまり本を読まないのかなぁと改めて感じました。
    文章も滑らか出し、将棋のことはよく取材していると思いますが、主役が元奨励会である必然性はないですね。主役が将棋を説明するナビにしかなっていない。
    どこか大筋を作って絵コンテ描いて、小さく、シナリオっぽく描かれてしまっている。
    すごく力を感じる作者なので大長編にチャレンジしてほしい。そうすると省筆の必要性からいろんな面が洗練されていくのでは?まぁ編集者の力も必要かな。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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