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感想・レビュー・書評
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とにかく学生運動がお盛んで教員や学生達は思想闘争に明け暮れ、当局からは睨まれ続け、アラブの思想的指導者やテロリストの親玉を多数輩出してきた混沌の最高峰カイロ大学。かつてカイロ大学に2年ほど在籍したことのある著者が、そのリアルな姿を描き出した書。
イスラム思想・アラブ近代思想をリードしてきたカイロ大学について語ることは、アラブの思想史を辿ることでもあるようだ。
第7章カイロ大学留学体験記が圧巻。著者の無鉄砲で破天荒な半生、凄いな!
エジプト人のアイデンティティは、「・エジプト人であること ・アラブ人であること ・イスラム教徒またはキリスト教徒であること ・アフリカ人であること」の4つなんだとか。カイロ大学に象徴されるエジプト社会の混沌の原因は、この複層的で複雑なアイデンティティにあるのかも。だとしたら、社会の混沌が収まりを見せることは当分はなさそうだ。
カイロは世界一眠らない街(「カイロっ子が本格的に街に繰り出すのは夜中の1時過ぎ」)、そして世界一(二?)眠れない街(「午前7時半のカイロ中心街の平均騒音は90デシベル」)、お砂糖が溶けきれずに沈殿するお茶「スッカル・ジャーダ」…。カイロ、恐るべし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今、何かと話題のカイロ大学についての本です。
内容はカイロ大学留学のよさ、エジプト史、筆者の留学体験記の構成となっている。
小池百合子の学歴詐称は除いて読むとカイロ大学の良さと大変さが出て面白かった。
大学留学の考えがちょっと変わった。
正直閉塞している日本にいるより、混沌とした世界に行き、暴れぐらいが正直良いと思う。
(下手したら東大なんかよりもいいような気がします)
さらに熱意と交渉で入れるて書いてあるから、それは仕事で営業する時に大事だし、ましては日本企業はそんな人材を欲してる。
いかに日本で教育を偉そうに語る輩、仕事論を語る輩がいかに腑抜けた事言ってるのかわかる。
日本が今後衰退して、留学考えるならカイロ大学もありかもしれない。(アラビア語できるかできないは除く)
特に浪人生もいつまでも日本なんかこだわらないで、海外大学行った方がいい。
費用がきついなら、カイロ大学ありかもです。
東大よりもカイロ大学てありかもな笑
そんなこと考えさせる1冊。
#読書
#読書記録
#読書好きな人と繋がりたい
#浅川芳裕
#カイロ大学 -
いやー、面白かった。小池都知事はこの大学を卒業したのか。
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まさに混沌と破壊。普通の感覚でいえば、悪環境と言える教育環境も、タフになれる、最先端の問題を体感できると逆説的にとらえ、魅力的に誘う著者の筆力。その学生生活も破天荒。でも、本質をつかもうと興味の対象をガッと掴んで突っ込んで行き、その問題を突き詰めていき、そのためにはこっちだ、と決断も早い。/以下備忘録的に。/中田考氏のSSY外国語教室て、Sekai Seifuku ni Yakudatsuの略だったのか/小池百合子都知事が都政、国政をいくら混乱させても平然としているを、カイロ大学仕込みの混乱を自ら仕込んでいるから、という視点/カイロのナイト・エンタメ文化は昼寝の習慣と夜ふかしの結びつきによって生まれた/カイロは世界からクリエイティブな人材を寄せ付けないパワーに満ちている、つまり、凡人でも成功する確率が高い/ナセル「危険を冒そうとしない者は、人生にまともに立ち向かえない輩である。(略)危険を冒さないものは、自ら生み出した恐怖の虜になる」/重層的なエジプト人のアイデンティティ:ファラオの末裔エジプト人、アラブ人、ムスリムやキリスト教であること、アフリカ人というアイデンティティ/サイイド・クトゥブについてもう少し調べたい/喧嘩するときに、互いに罵り合いながらも仲裁が現れるのを待つ、できれば止めて欲しい、誰かに止めて欲しいという打算の元に喧嘩するエジプト人/地元住民の多数派である農民の大半は流行りのイスラム集団の思想に影響を受けてなかった。人や思想が駆け巡る都市部で何が起ころうと農民たちの悠久の時は変わらず。