月の満ち欠け [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人の思いとかは、時代を超えて思わぬ形で届くんだなぁと思った。
    ちょっとファンタジーチックな感じで私的にはあまり。。。なところもあったんですが、小説の文章的にはどんどん読み進めてしまうような感じでした。
    ファンタジー的なものを解説するのは、なんか自分的にん?って感じなので。

    愛することって、見返りを求めず、ただその人のそばにいたいってことなのかな。
    自分が、人間的にもっと成熟して家庭やら何やら環境が変化した上でまたこの本を読めば、また感じ方が変わるのかなぁと思ったので、また何年後かに読む機会があれば再度読んでみたい

  • 自分も、何か見たような景色。とか、この人初めて会った気がしない。とか感じる事がある。
    もしかして、前世で関係あったのかも。と、思ってしまった。
    こんなにはっきり前世を思い出してしまうと逆に辛くなるだろうなとも思う。
    今の自分の人生に集中できなくなりそう。

  • 12月に公開予定の映画の原作本。自分が死んでしまっても、生まれ変わって、もう一度愛する人に会いたい。このコンセプトは判るのだけど、「死ぬということ」がちょっと軽いような気がしてしまった。そんなに強い愛がありながら死んでしまうことに、もっと意味があっても良いように思ってしまいました。それと、そこまで愛する人ならば、生きている時の愛に関する物語が、生まれ変わってでも会いたいと思わせる物語があってよかったのではないか、むしろあるべきと思ってしまいました。ただ好きというのではなく、特別、それこそ時代を超えて結ばれる運命的な愛、そういう形があるともっと説得力が増したのではないか。それと・・・姿形が変わった昔の恋人を、昔の恋人の生まれ変わりだと信じることができたとしても、再び愛することができるのかなという疑問も感じてしまった。愛が外見ではないとは思うけど、共有する時間とか共有する経験とかそういうものが積み重なって愛が育まれるのではないかなと思ってしまいました。コンセプトは悪くないと思うのだけど、物語にすると難しいなと感じてしまいました。

  • あたしは,月のように死んで,生まれ変わる──目の前にいる,この七歳の娘が,いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく.この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は,戦慄と落涙,衝撃のラストへ.

    (Amazon公式サイトより)

  • るりという名前の一人の女性が三人の男性と過ごした日々が
    交錯していった人生の数奇な軌跡のファンタジー小説。

    「生まれ変わっても、あなたに逢いたいという」帯の振れこみが
    あったので生まれ変わりの小説かと思って読んでいましたが、
    それだけだけでは済まなくて何度も生まれ変わっても、
    好きな人の所へ会いに行くという壮大なスケール感と
    純粋な愛の奥深さと切なさが詰まっていた物語でした。

    「月の満ち欠けのように、生と死を繰り返すように、
    未練のある人の前に何回でも現れる。」
    とさらりと言っていた言葉がまさか後々になるまで
    これが現実のように次々と実行されていたのかと思うと
    本当にこの男性への愛情が深かったのかと思いました。
    それと同時にこれだけ好きになってしまうことが
    あるなんて凄い事だとも思いましたが、
    何度も生まれ変わってもずっと同じ人を
    好きになっているなんて少し怖い気もしするなと思ったりしました。
    好きになった相手側のことを思うとどうだろうかと
    余計な事も考えたりしましたが、
    この女性の場合はきっと若い頃に純粋な思いで
    その男性のことを好きになったからここまでの
    気持ちになれたのかなと想像していました。

    七歳の少女がかつての我が子、娘、妻、恋人になったりして、
    時系列がいくつか交錯して物語が進んでいくので、
    途中で頭の中がこんがらがってしまいながらも
    何とかラストの結末までに辿り着いて理解したという感じでした。
    こんなに混乱しながらも一気に読みたくなってしまうのは、
    やはり根底にあるラブストーリーが繰り広げられていて、
    恋愛描写や日常会話などが妙にリアルだったので
    ぐっと心を引き付けられました。

    それにしても何度も生まれ変わりをしているのに、
    不慮の事故に遭遇してしまったり、生まれ変わりではない
    自分本来としての生き方が自由に出来なかったのは、
    少し理不尽な人生だったなと思ってしまいました。

    佐藤正午さんの作品はこれが初めてですが、
    直木賞受賞作ということもあって読み応えもあって
    久しぶりに恋愛ファンタジーも楽しめたので
    他の作品も読んでみたくなりました。

    この作品は2022年冬に映画化公開となっているので、
    機会があったらこちらも観てみたいです。

  • 面白かった~!予備知識いっさいなく読み始めて、なんとなくミステリーなのかと思いきや、まさかの前世記憶、生まれ変わりの話。
    そういや何年か前に「前世を記憶する子どもたち」って本わりと話題になってたけど、この作品でネタになってたからなんだろうか。直木賞だし。
    前世記憶、やっぱりなんだかロマンあるよね。

    小説としては構成がすごく凝ってるんだなあ。関係者の回想と現在とを行き来しながらひとつの物語が出来上がっていく。章タイトルが「現在」の東京駅での「時刻」になってることに終盤で気づいたよ。
    んで、情報をたくさん処理できないわたしの脳みそでは、誰と誰が親子?親友?姉弟?ってわりとこんがらがりそうになり、何度も最初のほうに戻ったりしつつ。
    というか、序盤をダラっと読んでたせいで途中で、ん?ってなった。アホだから。
    そんでも面白いのは結局、最初の瑠璃さんと三角さんとの恋愛の切実さみたいなものが底にあるからなんだろうなあ。
    佐藤正午さん初めて読んだけど、恋愛描写のところやたら生き生きしてて、このあたりが本領なんだろうか。
    生まれ変わりに関わることによって狂ってしまった周りの人の人生ドラマの描きかたもぐいぐい読ませる。それにしても瑠璃さんの夫、容赦なく不幸になってて、なんか一番かわいそうじゃね?
    最後のほう、小山内さんの奥さん・梢さんのエピソードもパタパタ回収していくの、おお、って感じだったなあ。しかしこの人帰ってからどないすんねん、みたいな不穏な余韻。
    最後は会えてよかったねえ。うおおお遂に、って泣く感じではなく、わりかしサラッとだったけど。
    でもよかったよかった。がんばったんだもんね。

  • 生まれ変わりものが好きなので、あらすじを読んで気になり拝読しました。
    長い、長い時間をかけた真っ直ぐに1人の人を想うストーリー。
    文章のテンポの良さや場面切り替えが読みやすく、ページをめくる手が止まりませんでした。
    人を愛することの偉大さを教えられたような気がします。
    個人的に最後の一文でうるっときました。
    もっと続きが読みたいなー!と思う作品でした。

  • 登場人物全員好きになれず、物語の展開も別段盛り上がることなく終わってしまった…。

    瑠璃の魅力がイマイチわからなくて本当に困った。
    瑠璃とその熱中する彼の会話もすごくつまんないし
    (「税」の漢字をど忘れした話なんて、わざわざ用意してくる持ちネタにしてはショボすぎる)、独りよがりで試し行為をしてくるようなタイプ。

    大昔に死んだ恋人が生き返ったらそりゃ「会いたい」とは思うけど、依存心と執着心が強い瑠璃とまた恋人として付き合いたいとは思わない気がする。

    「俺のかんがえた理想の恋人」感が全開でちょっと引いてしまった。

  • 一人の男性へ会いたいと願う気持ちが一人の女性を何度もよみがえらせる物語。

  • 久しぶりに純文学を読みたいと読みたいと手に取った作品。文章の綺麗さとストーリー展開、瑠璃という女性を軸に輪廻転生がテーマの小説。どうなるんだ?どうなるんだ?と思いながらスルスルと読み進め、結末まで丁寧に描かれていて感動した。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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