カササギ殺人事件 上 〈カササギ殺人事件〉シリーズ (創元推理文庫) [Kindle]
- 東京創元社 (2018年9月28日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (367ページ)
感想・レビュー・書評
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古典的な探偵もの。
堅苦しい探偵と気さくで冴えない助手のコンビ。片田舎のお屋敷での殺人。馴染みの警部が担当している事件で、主人公達は否応なく巻き込まれて捜査にあたるが…という黄金パターン。
ただし、主人公の凄絶な経歴と待ち受ける運命が特徴的だ。
様々な伏線が張り巡らされ、「謎は解けた!」というところで上巻は終わる。まるで「続きはCMの後で!」というバラエティ番組のよう。
「商売上手だなあ」と思って下巻を手に取ると…?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なにか夢中で読み進められる本が読みたくて買ってみた。登場人物が多くて、覚えるのに苦労した。
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評判が良いので手に取った。作中作になっていて2つの殺人事件が起きる。ひとつは密室で起きた事故に見えるもので、ひとつは犯行時間が限られている明らかな他殺もの。ひとつ目の犯人を名指ししたところで終わったが、これからどうなるのだろうか。
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ファーザーブラウンが登場しそうな美しい英国の田園風景を背景に、淡々と事件が解き明かされつつ、という感じです。一体、何人が事件に関わるのかと、登場する人数の多さに戸惑いつつ、読んでおります。後半はどのように展開するのか想定を超えた物語になりそうという期待感多々あり、★四つであります。
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上巻はただ昔のイギリスで起こったありがちな殺人事件。
派手なことも起こらないし、探偵が魅力的でもない。
が、最後「えっここで終わるの?」というところで終わり、下巻からがこの本の面白いところ。 -
編集者が出来上がった小説の原稿を読むという形でスタート。
作中作として『カササギ殺人事件』が展開する。
1950年代のある田舎の村で男爵邸の家政婦が階段から転落死する。
単なる事故と思われる彼女の死によって小さな村の人間関係に少しずつ歪みが生じていく中、さらに殺人事件が起き、名探偵アティカス・ピュントが捜査に乗り出す。
上巻はほぼすべてが『カササギ殺人事件』となる。家政婦のメアリは事故死だったのか殺人だったのか。村人たちもそれぞれ後ろ暗い過去があったり、隠し事をしていたり、みんな怪しく見えてくる。
アティカス・ピュントは真相にたどり着けるのか…!
というすごくいいところで下巻へ続く。 -
オーディブルはアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件・上巻』を今朝から聞き始める。
どこにでも顔を出すおせっかいやの家政婦メアリ・ブラキストンが死んだ。当初は誤って階段から落ちた事故死だと思われたが、死ぬ直前のメアリになにかの秘密を握られた人たちがぞろぞろ出てくる。オズボーン牧師は自宅のテーブルの上に置きっぱなしにしていたあるものをメアリに目られている。エミリア医師は診療所から毒薬が盗まれたという事実をメアリに相談していた。骨董屋のジョニー・ホワイトヘッドはなんらかの犯罪を犯した証拠をメアリに握られ、ある要求をつきつけられていた。メアリが家政婦を務めるパイ家の当主マグナスの双子の妹クラリッサは、自宅から自分を追い出したマグナスに殺意をいだいていた。
オーディブルはアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件・上巻』の続き。
マグナス・パイの妻フランシスはジャックと浮気中。マグナスさえいなくなれば息子フレデリックが遺産を受け継ぎ、自分も陰気な夫から解放されると思っている。メアリの息子ロバートはメアリが亡くなる数日前に公衆の面前メアリと親子喧嘩をして「ぽっくり死んでくれれば、自分もひと息つける」と口にする。エミリアの診療所で働くロバートの婚約者ジョイは、「ロバートが殺ったに違いない」口さがないウワサを解消するため、頭蓋内腫瘍のため余命3か月と宣告された名探偵アティカス・ピュントのもとを訪れる。
オーディブルはアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件・上巻』の続き。
サー・マグナス・パイは誰からも恨まれ、殺されてもしかたがない、とんでもないクズ男だった(という設定自体が、だいぶ古めかしい印象なんだけど。誰もが認める一方的な悪人って、ミステリ作者にとっては都合がいいかもしれないけど、現実にはそんな人、いないよね。いいところもあれば、悪いこともするのが人間だし)。妻レディ・フランシスの肖像画(エミリア医師の夫アーサーの作品)は浮気がバレたのか、切り刻まれて捨てられていた。エミリアの痴呆症の父エドガーは、記憶の混濁の中で「マグナス・パイ」の名を口にする。住民の憩いの森を開発業者に売り飛ばして、オズボーン牧師の怒りを買った。そのオズボーン医師は、マグナスが殺害された時間帯にパイ家に向かったらしいところを、庭師のブレントに見られていた。双子の妹クラリッサに亡くなった家政婦のかわりに使用人小屋に来ないかと誘う。これぞ鬼畜の仕業か。
少し毛色の違う動機で動いていそうなのはジョイで、婚約者のロバートに向けられたメアリ殺害の疑いの目をそらすために、もしかしたら、マグナスに疑いがかかるような何かを仕組んだかもしれない。
新聞でマグナス・パイ殺人事件の記事を見つけたアティカス・ピュントは事件の解決に乗り出してくる。ああ、これこれ。死のにおいを嗅ぎつけて近寄ってくるハイエナのような英国探偵。しかも、そういうやつに限って、エラそうに知識を振りかざすんだよな。巻き込まれ型で落ちぶれたフィリップ・マーロウには共感できるけど、ふつうの死(それはたいていおもしろくもない恨みつらみ人間関係ももつれが原因だ)には目もくれないくせに、自分の手柄にするために手口が難解な事件だけをよりすぐって担当する。こういう英国伝統の嫌味な探偵像ははっきりいって嫌いなんだけど、BBCのシャーロックだけはめちゃくちゃ楽しめたのはなんだったんだろう。エラそうだけど、厨二病っぽかったから?
オーディブルはアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件・上巻』の続き。
ジョイは街の掲示板に夫の無実(なぜならその晩、彼は私といたから)を明かした声明文を貼り出した。サー・マグナスのもとには同じタイプライターで打たれた脅迫文が残されていたが、それをタイプしたのはジョイか、診療所にいるドクター・レッドウィングか、清掃のため毎日2時間出入りする墓掘りのジェフリー・ウィーヴァーの妻か。
死亡したメアリの第一発見者であるパイ屋敷の庭園管理人ブレントは、骨董品屋のジョニー・ホワイトヘッドからなにかのお金を受け取っていた。マグナスが殺されて日に訪ねてきた相手を、メアリの葬式のときに見かけた帽子を被った男だと断言した。それとは別に、オズボーン牧師も見たのではないかと。
メアリの自宅には彼女の日記が残されていて、それは彼女が収集した住民たちのネタ帳(ゆすりのネタ???)だった。そこで明らかになったこと。
①庭師のブレントはメアリの告げ口もあってサー・マグナスからクビを宣告されていた。
②誰もいないドクター・レッドウィングの診療所から、クラリッサ・パイが出てくるところを目撃している。薬を盗んだのは彼女?
③骨董品屋のホワイトヘッドは「お屋敷窃盗団」の元故買屋で前科持ち。「女王の腕」亭の元店主アーサー・リーヴのメダルコレクションが消えたのは、ホワイトヘッドの仕業なのか。だとすると、パイ屋敷のコレクションが盗まれたのも納得行くが。ホワイトヘッドはそのことをメアリから直接指摘されていた。
④オズボーン牧師夫妻の何かを見たが、何を見たかは記されていない。
⑤レディ・パイの浮気はもちろん知っている。サー・マグナスに告げ口した?
⑥ジョイの兄がダウン症だと聞いて血が汚れると思ったメアリは、ジョイと息子ロバートの結婚は断固阻止すると息巻いていた。
メアリもマグナスも殺されて当然の大悪人扱い。ああ、こういう設定自体ありえないし、もはや過去の遺物ちゃうんかい? と思ってしまう自分は古典ミステリファンではないのだなとあらためて自覚する。
オーディブルはアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件・上巻』の続き。
メアリの息子ロバートにかまをかけるピュントに対して、婚約者のジョイが怒りをあらわにする。
「そんな残酷なこと、よくも言えるわね!」「あなたは何の事実の裏づけもないのに、想像をたくましくしてるだけだわ、それも、ロバートを責めるためだけにね」
一見関係なさそうな2つの出来事や現象につながりを発見し、共通項を見出して、法則や結論を導き出す。そういう知の働きに喜びや満足感を感じるように、人間は進化してきた。だが、好奇心という名の同じ知的活動が、時には、本来無関係な出来事を勝手に関係があると思い込み、ありもしないストーリーをつくりだして、それを「世紀の発見だ」と思い込んでしまうという負の側面も同時に生み出している人が疑心暗鬼に陥るのも、陰謀論にハマるのも、いままでは目が曇っていて見えなかったけども、いわれてみれば「なるほど!」というストーリーに、人間が弱いからだ。創造力・想像力と妄想力は、実は、ほとんど同じ作用の裏返しなのではないか。新しくできた何かが世の中のためになるとき、プラス方向に向いたとき、それはクリエイティブやイマジネーションと呼ばれ、世の中の害になるときは、陰謀論や被害妄想と呼ばれる。よくできたストーリーは人間の大好物だが、よくできすぎたストーリーには注意が必要というややこしさで、どこでそれを見極めるか。その目利きの感覚、何を見たときに違和感を覚えるかというのは経験値に左右される、非常に言語化しにくい領域なのだと思う。
ホワイトヘッドが庭師のブレントにお金を払ったのは、ブレントがパイ屋敷で拾った(?)という古いバックルを買い取ったからだった。ブレントは買い取った品々を、ロンドンの昔なじみのデレクとコリンに売っていた。窃盗団時代には、邪魔な人間がふいに姿を消す事件が起きていたという。メアリはそのために消された?(その線はうすい気がするが)
病的な支配欲をもった大きな子ども、サー・マグナスは、妻を自分のコントロール下に置くことに異様に執着してしょっちゅう癇癪を起こしていた。レディ・フランシスには殺意を抱く充分な理由があったが、みずから手を下したりはしないだろう。 -
図書館の返却期限の関係で駆け足で読了。導入部分には『ん?』と思ったがクリスティの本が好きということもありすぐに世界観に入り込めた。でも下を読んでみて驚き!そういうことだったのか。