猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年3月15日発売)
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感想 : 323
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猫がらみの事件が多い弁護士の話。
表紙イラストのイメージで期待したとおり。
ひょうひょうとした主人公の、ユーモラスな話です。

百瀬太郎は、キャリア15年の弁護士。
東大を卒業した年に弁護士となり、大手のオフィスに所属、世田谷猫屋敷事件をまるくおさめました。
それが評判となってペットにかかわる事件が殺到しすぎたため、独立。小さな事務所を構えて5年になります。
事務所には10匹を越す猫がいて、事務員の七重は猫の世話ばかりに忙しい。
もうかっているとはいえないけれど、仕事は途切れなく舞い込みます。

百瀬は痩せた身体に安い背広を着て、見た目はあまりぱっとしない。
じつは婚活のため、結婚相談所に通っているが、30連敗中。
その理由とは?

靴が汚れた百瀬は、たまたま近くにいた靴磨きの老婆に、片方だけを見事にぴかぴかにしてもらいます。
靴を買いに行き、シンデレラ・シューズの見事な靴を買ってみることに。普段は買わない高価な品だけど、実に足にぴったり来るのでした。

霊柩車が盗まれたので取り返してほしいという依頼を受け、これがシンデレラ・シューズの社長・大河内から。
社長の母である会長の葬儀の後のことでした。
遺体の身代金を要求する電話がかかってきたので、身代金を届けるなど交渉を一切任せるというのですが‥?

とぼけたテンポで淡々と進むうち、癖のある登場人物が次第に生き生きと絡み合います。
ただ、百瀬は天才ということになっているけど、あまりそういう感じはしないですねえ。
偶然というかめぐり合わせで解決するので、ご都合主義には違いないけど~心地よく読めて、キャラや台詞にところどころ光るものがあるので、十分かも。

うまくいかない夫婦も母子もどこかで心通い合い、うまくいかない婚活も意外な進展へ。
文句を言う事務員さえも最後の発言に真意が見えて、と心うたれるハッピーエンド。
読後感はとても良い!

2011年にTBS・講談社第3回ドラマ原作大賞を受賞した作品。
すでにドラマ化され、続きも出ています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(ヒーロー)
感想投稿日 : 2013年4月21日
読了日 : 2013年4月21日
本棚登録日 : 2013年4月10日

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