下町ロケット

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  • 小学館 (2010年11月24日発売)
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直木賞受賞作。
「がんばれ!」と迷わず言えて、「やったあ!」と素直に喜べる。
いまどき珍しい話?

佃航平が下町の工場を継いだのは、ロケット打ち上げ失敗の責任を取らされた後。
研究者だった人間が6年を経て、大田区の町工場を技術と情熱で引っ張り、いつしか立派な経営者に。
研究費は莫大で、一見赤字だらけの中小企業。
大きな取引先からは切られ、銀行には渋い顔をされる。
だが、銀行から出向してきた殿村は次第に重要な戦力に。

大会社ナカシマ工業からは見下されて、吸収合併を狙って訴訟を起こされる。
高性能小型エンジンのステラはもちろんオリジナルだが、特許のとり方しだいでは隙をついて後追いで広範な特許を取ることも可能。専門家でないとどちらが先か、判別は難しいのだ。
一般の弁護士では反論が難しく、裁判は暗礁に乗り上げかける。
特許を買い取ろうという動きも。

危機にどう対処するべきか?
給料が決して高いわけではない社員達も、巨額の研究費に不満を覚える‥
しかし、いい仕事をしたいというプライドが誰にもある!
エンジン会社としては部品を作ってこそ。
特許を売ることで儲けるのは一見巨額をすぐ手に入れられるようだが、それで将来を閉ざしていいのか?
様々な人の力を借り、勇気と決断をもって、回りを説得していく。
元気が出る快作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2011年8月19日
読了日 : 2011年8月19日
本棚登録日 : 2011年8月19日

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