物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室

制作 : 木村 栄一 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 276
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000252911

感想・レビュー・書評

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  • 評価:★★★★★

    これまでシナリオ執筆の参考書はいくつか読んできたが、これはその中でも最も大きな影響を受けた本。

    これはガルシア・マルケスが実際に開いていたシナリオ教室でのブレーンストーミングの様子を活字化したもの。

    ガルシア・マルケスといえば言わずと知れたノーベル賞作家だが、ここで行われているのは決してお堅い芸術作品を書くための授業ではなく、エンターテイメント作品をつくるためのもの。

    中でも重視されるのが、シーンとシーンのつながりを通していかに「生きた」物語を描くかということ。

    エンターテイメントというとヒットの型のようなものがあってそれに当てはめるようなものを想像する人もいるだろうが、ここで行われているのはそれとは逆の、いかに流れるような展開を作るかということだ。

    構成重視のシナリオ指南本では得られない、創作において最も重要なことをこの本から学んだ気がする。

  • 物語の「作り方」というよりは、物語の「生まれ方」といった印象を受けました。
    あらすじを読んでいるだけでも、情景が浮かび、ガボ・ワールドが拡がります(*^^*)
    早川純子さんの装画が意外ですが、とても素敵な仕上がりになっていると思います。

  • ガボ(ガブリエル・ガルシア=マルケス)と彼の生徒たちがディスカッションを通じて物語を作り上げていく様子を記録した本。

    例えばこんなふうに物語が作られていく。

    まず生徒が原型となるストーリーを出す。

    医者に死を宣告された主人公は旅に出る。旅先で少女と出会う。彼は嘘をついて少女の気を惹く。二人は恋愛関係に陥るが、彼女が惹かれているのは彼の虚像にすぎない。ある日、決まりきった生活にうんざりしていた彼女に、二人して町を出ましょうと持ちかけられる。けれど、いざ決行という夜に、彼は待ち合わせ場所に行かない……。

    このストーリーが、誰かが口を開くたびにコロコロと変わってしまう。「彼女は死神だと思う」なんて言い出す生徒と「なるほど」なんて納得しちゃうガボのせいで主人公は劇中で死ぬことになり、死の象徴にしては弱いからと少女は人妻に変更され、さらにガボの意向で太った黒人女性に変更される。

    そして突如ガボが閃く。「彼はからかいの種にされて死んでいくんだ!」。主人公はたまたま訪れた漁師町で住人たちに大した意味もなくからかわれたあげく事故死することに。と、ここからさらに二転三転。事故死ではなく殺人ということになり、主人公は磔にされることになる。もちろんガボのアイデア。

    さらにガボ「彼は聖人なんだ」。主人公は漁師町の守護聖人と瓜二つの格好をしていたため、聖人と勘違いされてしまったということになる。ここでガボは「彼は何も死ぬことはない」なんて言い始める。「ぼくはやはり死ぬべきだと思いますね」と言う生徒にガボ猛反対。でも結局「あの男が死のうが生き続けようが、どちらでもいいんだ」。

    最終的にはこうなる。

    医者に死を宣告された主人公は旅に出る。旅先でかつて奇跡を起こした聖人と間違えられる。病人を治療して下さいと頼まれ、彼は困惑しつつ患部に手を当てると奇跡が起こる……。

    導入部分以外全部違うよ!?

    変てこで面白い小説を書くガルシア=マルケスがどうやってアイデアを出しているのか気になってこの本を買ったんだけどさっぱりわからない。ガボ自身も序文で「アイデアが浮かぶ瞬間を見つけ出そうとしたけどダメだった」なんて言ってる。

    強いて言うなら、アイデアを踏み台にして別のアイデアを生み出したあと、平気で元のアイデアを蹴り飛ばしてしまうような思い切りのよさに秘訣があるのかも。

    • kachihayaさん
      大好きな本です。
      生徒とのやりとりで即興劇のように物語を紡いでいく様子はドライブ感があって面白かったです。
      大好きな本です。
      生徒とのやりとりで即興劇のように物語を紡いでいく様子はドライブ感があって面白かったです。
      2014/04/20
    • あぷろさん
      面白いですよね。小説じゃなくてドラマの脚本を練っているせいだと思うんですが、それぞれのアイデアがだいたい意味よりも視覚優先で、「意味はまだわ...
      面白いですよね。小説じゃなくてドラマの脚本を練っているせいだと思うんですが、それぞれのアイデアがだいたい意味よりも視覚優先で、「意味はまだわからないけど、私には見えます……」みたいなノリでどんどん話が進んでいくのが霊能力者たちの会話を盗み聞きしてるみたいでクラクラしました。
      2014/04/20
  • このタイトルから「シナリオライター志望者へのHow to本」…みたいな印象を受けたりもしますが。全然違います。ガルシア・マルケスが実際にキューバにある映画学校で行っていたワークショップの記録なんですが。とにかく、おもしろい!参加者があるひとつのストーリーの種を披露する。すると、ガボ(ガルシア・マルケスの愛称)をはじめ参加者たちが口々にいかにそのストーリーを魅力的なものにするか、喧々諤々議論をするのだ。まさに「コラボレーション」というのはこのことだな、と。実際、その議論の後、そのストーリー自体がどのようになったかということよりも、その議論のプロセスこそが魅力的。しかもすごいのは、ノーベル文学賞受賞者のガボ相手に、参加者たちは全然ひるまない。良い意味でどんどんつっかかっていく。これ、日本人相手のワークショップだったら、成り立たないだろうな…。ユーモアや牽制や皮肉や称賛を含みながら、ストーリーの種が育つ過程はとてもスリリングでおもしろい。読んでいるうちに自分も参加していたとしたら、自分だったらこのストーリーをどう展開するかな?なんて考えながら読んでしまった。 (2005 Nov)

  • ガルシア=マルケス『物語の作り方』。小説のみならず映画芸術にも深くコミットしていた御仁が脚本家たちとプロットを練り上げていく様子を記録した、貴重な本。「いいな、それ」って思ったアイデアにもすかさず、鋭い意見を飛ばしてくるのが痛快。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:901.27||G
    資料ID:50200192

  • p.36 自分の生活の中にもっと素直に語れるような出来事があるはずだから、それを掘り起こすことからはじめたらどうだい。…創作の源泉とも言える自分の生活体験をすべて書き尽くしたと感じたのなら、別の方向を模索するのもいいだろう。

    p.
    こういうストーリーは、現実というのはどの程度までたわめ、歪めることができるのか、本当らしく見える限界というのはどのあたりにあるのかといったことを知ることができるので私は大好きなんだ。本当らしさの限界というのは、われわれが考えているよりも広がりがあるものなんだ。

    p.264
    わたしは友人のところへ遊びにいくと、必ず何か話をする。家に帰ると、また別の話をするが、たぶんさっき話を聞いてくれた友人たちのことを話題にすると思うんだ。そのあとシャワーを浴び、石けんで体を洗いながら、数日前から頭の中で考えていたアイデアを自分に向かって話す……つまり、わたしは何かを物語りたいという幸せな奇病(マニア)にかかっているんだ。

  • 『物語の作り方』
    G.ガルシア=マルケス

     私にとって何よりも大切なことは、創作のプロセスなんだ。人にいろいろな話を語って聞かせたいという気持ちがひとつの情熱に変わり、そのためなら。つまり目で見、手で触れることのできないことをするためなら、空腹や寒さ、理由は何であれ、その情熱のために死んでもいいとまで人に思わせるのは、いったいどういう神秘によるものだんだろう? しかも、その情熱なるものはつぶさにみてみると、何の役にも立たないものなんだよ。(p6)

     何のやくにも立たないものに情熱を燃やさざるを得ない。それが小説家なのだろう。あとに昭和天皇の葬儀の写真が不意に話に上がる。

     つまり、授業をしっかり聞きさえすれば、別に勉強したり、質問されるんじゃないか、試験をどうやって切り抜けようといったことを考えて絶えずびくびくする必要はないということに気づいたんだ。(p264)

     気づいてはいたが、なかなかね、、、

     「物語」とは題名にあるが、シナリオの本なので注意。

  • 世界的作家、ガルシア・マルケスがテレビ番組や映画のディレクターたちとディスカッションを行う形式の本。

    ガルシア・マルケスは小説家ではあるがシナリオライターとしても活躍しており、この本は若手の作品をブラッシュアップしていく過程を克明に記したものである。

    読んでいて思ったのは、羨ましい、ということ。脚本家は他人とブラッシュアップができるけれど、小説家はそれを一人で行わねばならない。

    付箋を貼ったのはすべてガボのことばだった。

  • マルケスのシナリオ教室は意外にもワイワイガヤガヤ。なんやかんやで参加メンバーも楽しそう。
    『物語の作り方』といっても、小説ではなくシナリオ。映像化が前提のワークショップの記録だ。小説の場合、なかなかこうはいかないんじゃないかと。リレー小説は遊んでる分には楽しいけど、基本孤独な作業だと思うから。
    マルケスの組版職人(DTPオペレーター)や印刷業者への愚痴が、リアル過ぎて笑える。

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