- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001141016
作品紹介・あらすじ
裕福に暮らすチト少年は、お父さんが兵器を作る人だったことを知り、驚きました。じぶんが不思議な(みどりのゆび)をもっていることに気づいた少年は、町じゅうに花を咲かせます。チトって、だれだったのでしょう?小学4・5年以上。
感想・レビュー・書評
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いいお話だった。
吉本ばななの『体は全部知っている』の中の短編を読んで、読みたくなった本。
星の王子さまみたいな本だなぁ…と思ってたら、訳者のあとがきでも星の王子さまに言及されてて、やっぱりそうかと思った。
『アルケミスト』は星の王子さまに匹敵すると言われて世界的なベストセラーになったらしいけど、この本がそこまで話題になってないのはなんでだろう?私が知らなかっただけか?大人の愚かさの描き方が、ど直球過ぎるからだろうか?
最近、近所を散歩するたび、家の前に花を咲かせるってそれだけで社会貢献だよなぁとしみじみ思うのだけど、そんな今の私とこの本の相性が良かったのかな。
好きだなぁ♡と思える本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チトは、親指で世界を変えようとした。
チトの裕福な暮らしは、お父さんが兵器を作ることで成り立っていた。とっても賢いチトが、その親指でなにを叶えたのか。
これは…大人の方が好きな児童書かもしれない。 -
植物に、いかに価値があるかを学べた。
みどりのゆびを持つテト。その、ゆびを使うことで植物を生やし、戦争などの社会課題解決を、ほっこりと解決していく。
本の中にはそれぞれの植物の特徴を活かして話が描かれており、植物1つ1つと向き合っているのが温かい気持ちになった。
本の世界のように、自然と一緒に、ハッピーに色んな問題を解決できればいいのに。 -
今この時代だからこそ
大人に読んで欲しい1冊
武器を花に変える
作らなければ
戦争にならなくなる
愚かな大人達に気がついて欲しいですね -
2023.5.1 4-1
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今の大人にこそ必要な本。戦争は絶対悪。必要悪であるはずがない。
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児童文学に駄作無しと思っています。大人が子供に読んで欲しい本というのは真剣に選んでいるので必然的に名作が残っていくのでしょう。
本作もレビューするのがおこがましい作品です。植物を異常繁殖させる能力を持った、恵まれた家に生まれたチト。彼の生家の家業が兵器商人だと知った時どうするのでしょうか?
人と人が争う事、人が人を裁く事。局地的な平和と貧富の差。誰かの不幸で成り立っている世の中の仕組み。色々な要素が詰まっていて、読み取るものが沢山入っています。
特に目新しい事が書いてあるわけでは実は無いのですが、大人になると真っすぐこういう事と向かい合っていく事も減り、「世の中はこういうものだ」という固定観念に囚われがちなので、こういう素朴に真っすぐ問いかけてくる本は新鮮です。 -
よしもとばななさんの短編「みどりのゆび」を読んだ後に読みました。
今も、みどりのゆびで、助けに行きたい国が多すぎます。 -
60年近く前に翻訳された、フランスの童話。著者のドリュオンは小説『大家族』で有名な文学賞であるゴンクール賞を受賞した作家です。
小学校低学年の年齢に当たる少年チトは、町の大金持ちの両親やその大きな家で働く家政婦や庭師のおじいさん、両親の工場で働くかみなりおじさん、そして馬たちに囲まれて生活しています。学校へ通うことになると、まるでそのシステムに適応できず、すぐに退学することに。両親の指示によって庭師やかみなりおじさんに物事を学んでいくことになるのですが、そのうちに自分の家が武器工場だと知ることになります。
中盤までは横へと筋が流れていくお話だったのが、中盤からはそれまで語られた世界や人びとを濃く描くことによって物語の深みが増していきます。さながら、解像度を上げた部分を端的に、詩的な種類の言葉で語るというように。そういったクローズアップする技法だけではなく、物語の展開にも、ちょっとだけ哲学的なエッセンスを盛り込んだり、物事をフラットに見ることでわかってくる「そもそもの基本」に立ち返る考え方によって物語を通じて現実のベールをはがしてみたりしています。そういうやり方が、物語をおもしろくするんですね。
ネタバレになりますが、最後には、主人公・チトの属性が人間ではないものとして描かれます。チトが考えたこと、成したことを人間のままとしての行いにできなかったところに、著者の「人間への少しばかりの諦念」があったかもしれません。そこまで利他的で博愛的でみんなを幸せにしてしまう存在が、子どもだとしても人間であることに、現実をよく知るであろう作家の目にはほうっておけない食い違いが見えたのかもしれません。
さて、最後に訳者解説から、再び技法についての引用を。
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フランスの童話には、ひとつの特徴があります。おはなしの、筋よりもきめこまかさ、詩的なふんいきやことばのおもしろさを、たいせつにすることです。そしてそれらをうまく使って、まるで宝石のような、うつくしい文章をつくりだすのです。 (p213 訳者解説より)
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僕が物語を書くとき、それも最近の何作かを思い浮かべてなのですが、横の流れであるいわゆる「筋」と、その場その場で立ち上る縦の「味わい」を、意識して書きはしています。でも、そこにぎこちない部分があるというか、まるで数本の竹ひごの骨だけで簡素に組み立てた模型のような感じがちょっとします。肉付けや試みという点で、自分としては物足りないわけです。もっと自由にいろいろとやって楽しめばいいのに、どうもしゃちこばる(まあ、やれている要素もけっこうあるにはあるのですが)。たぶん、創作に使う時間がぎりぎりだからだろうな、と思いますが、そこは二倍の時間がかかったとしてもやっていくといいのではないか、と今回、本作品に触れて、そう感じました。
というように、物語世界を楽しみながらの、学びのある読書になりました。……よき。 -
ミルポワルという町に、みんなからチトと呼ばれる小さな男の子がいました。金色の髪はカールして、目は大きく青く、頬はつやつやとばら色でした。おとうさんもおかあさんも美しい人で、家は大きくピカピカです。おとうさん氏は大きな工場を持っていました。その工場で作る鉄砲や大砲を世界中に売っていたのです。
チトは、料理担当のアメリー、召使いのカルロス、庭師のムスターシュおじさん、工場監督のかみなりおじさんたちから色々なことを教わります。なかでもムスターシュさんとは特別な秘密を共有しています。
チトは、隠されていた種に触れたら芽を出させる「みどりのゆび」を持っていたのです。
ミルポワルの町を見て回ったチトは不思議に思います。どうして刑務所はこんなに寂しいの?どうして貧しい人たちはボロボロの家に住んでいるの?どうして病気の人は天井だけを見ているの?
生きるには「望み」が大切だとチトはおもいました。その人達を愛すれば希望を持てる?お花を咲かせたら?きれいになってきっといい気持ちになるよ。
チトが咲かせた花は、ミルポワルの人々の気持ちを変えていきます。
そのころおとうさんの工場は大忙しでした。
2つの国が戦争を始めたのです。
どうして戦争なんかするの?弾の代わりにお花を咲かせればいいのに。
チトは「みどりのゆび」を使って戦争をやめさせようとします。
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とても幸せな生まれの男の子が、みんなを幸せにします。ラストは少し切ないような。
言葉もお話も優しいのですが、名前やたとえに皮肉さが感じられます、さすがフランス人 笑。
この世は一つの面だけでは有りません。紳士のおとうさん氏は死の商人、厳しいかみなりさんはチトが困ったときは愛情で決断する、争いが起きた時好きな相手と味方をする相手は違う、規律とは人を縛るのではなく人を幸せにするもの…。
チト少年は、誰だったのでしょう?