みどりのゆび (岩波少年文庫 101)

  • 岩波書店 (2002年10月18日発売)
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ミルポワルという町に、みんなからチトと呼ばれる小さな男の子がいました。金色の髪はカールして、目は大きく青く、頬はつやつやとばら色でした。おとうさんもおかあさんも美しい人で、家は大きくピカピカです。おとうさん氏は大きな工場を持っていました。その工場で作る鉄砲や大砲を世界中に売っていたのです。
チトは、料理担当のアメリー、召使いのカルロス、庭師のムスターシュおじさん、工場監督のかみなりおじさんたちから色々なことを教わります。なかでもムスターシュさんとは特別な秘密を共有しています。

チトは、隠されていた種に触れたら芽を出させる「みどりのゆび」を持っていたのです。

ミルポワルの町を見て回ったチトは不思議に思います。どうして刑務所はこんなに寂しいの?どうして貧しい人たちはボロボロの家に住んでいるの?どうして病気の人は天井だけを見ているの?
生きるには「望み」が大切だとチトはおもいました。その人達を愛すれば希望を持てる?お花を咲かせたら?きれいになってきっといい気持ちになるよ。
チトが咲かせた花は、ミルポワルの人々の気持ちを変えていきます。

そのころおとうさんの工場は大忙しでした。
2つの国が戦争を始めたのです。
どうして戦争なんかするの?弾の代わりにお花を咲かせればいいのに。
チトは「みどりのゆび」を使って戦争をやめさせようとします。

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とても幸せな生まれの男の子が、みんなを幸せにします。ラストは少し切ないような。
言葉もお話も優しいのですが、名前やたとえに皮肉さが感じられます、さすがフランス人 笑。
この世は一つの面だけでは有りません。紳士のおとうさん氏は死の商人、厳しいかみなりさんはチトが困ったときは愛情で決断する、争いが起きた時好きな相手と味方をする相手は違う、規律とは人を縛るのではなく人を幸せにするもの…。

チト少年は、誰だったのでしょう?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2022年12月10日
読了日 : 2022年12月10日
本棚登録日 : 2022年12月10日

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