船出(下) (岩波文庫)

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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003229132

作品紹介・あらすじ

叔母夫妻の別荘に滞在中のレイチェル。自分ひとりの部屋、近くにあるホテルでの老若男女との出会いが、世界を広げていく。そして、初めて打ち解けて話せる異性…。これが「恋」?愛するほどに「分かり合えなさ」を感じるのはなぜ?精神の不調を乗り越え出版した本作には、後のウルフ作品のあらゆる萌芽がある。

感想・レビュー・書評

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  • 何故こんな良いものを今迄隠してたんだ、と思ったのだが、本作の世界に夢中になって浸った、という人は、今の所、殆ど見当たらない。
    訳も良い。読みづらい小説なのは確かだが。

    兎に角、その後のウルフを構成する色んな物が整理しないままで、ぐちゃぐちゃ。なのだが、、むしろ最初から全部あったんだ、という事に感動したのですが。

    そして、ウルフを読んできて朧げに思っていたような事の正体、というのか、が、かなりはっきりと見えてきた、という意味で、他の作品を読む鍵がいっぱい詰まった宝箱なんです。

    特にその音楽的感性、そして音楽的技法を小説に当て嵌めて描くような所。世界との関わり方、感じ方、掴み方。など。

  • 繰り返し読むことに飽きないというか、そうしないと入ってこない箇所があるというか。しみじみ考え感じ思い出しそうな気配を感じ。
    ダロウェイ夫人より知られていいのではと思う本だった。テレンスのセリフは、ウルフの生涯を思うと、これが彼女の亡くなる数十年前に書かれたのだと思うと、彼女の思考の日々に驚愕する。

  • 初訳ということに驚き。なぜ今まで誰もこれを訳そうと思わなかったのか。どう考えてもウルフを語るうえで重要な作品だろうに。

  • ウルフが好きでほかの小説・随筆を読み切ってしまった人向けな気がする。長い割りに登場人物の奥深くに触れられた気がしない。まだよくわからないうちに、世間知らずな娘がはっきりと一歩前に進む前に、終わってしまった。

    そこかしこで「ああそういうことあるね」と思う一節がないわけではないのだけれど、特に目を開かれるような出来事や心情が描かれるわけでもない。当時のウルフの生活感を共有していないわたしには、もう少しわかるように書いてくれないかなあというじれったさが残った。まあデビュー作なので、そういうものかも。

    『灯台へ』や『オーランドー』ははっきり面白いので、そちらをまずどうぞ。

  • ヴァージニア・ウルフのデビュー作(本邦初訳)。
    箱入り娘の主人公がみるみるうちに感性を花開かせて行く姿には魅力を感じる。特に婚約が整って幸せの絶頂にある彼女はキラキラしている。
    しかし展開そのものはメロドラマで、ハッピーエンドでは終わらない。ラストシーンはなかなかシニカルだ。

  • 久しぶりに岩波文庫を手にしました。『船出』上巻はなるほどウルフらしい、彼女の後年の作品にある独特の雰囲気を感じさせるもので、読みやすくはないですが特別読みにくいということもなく、途中いくつかこれは翻訳上の不備ではないかなと感じる部分がある程度で、ストーリーを追うのに集中できました。ただ下巻がだめでした。機械翻訳に通したような意味をなさない単語の並びとしか思えない箇所がそこら中にあり、気になるというより読み飛ばす以外方法がない(意味を解せないので)部分が出てきます。私の詩的想像力の欠如の問題でしょうか? ともかく途中で読み進めるのを諦めました。。

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著者プロフィール

1882年―1941年、イキリスのロンドンに生まれる。父レズリーは高名な批評家で、子ども時代から文化的な環境のもとで育つ。兄や兄の友人たちを含む「ブルームズベリー・グループ」と呼ばれる文化集団の一員として青春を過ごし、グループのひとり、レナード・ウルフと結婚。30代なかばで作家デビューし、レナードと出版社「ホガース・プレス」を立ち上げ、「意識の流れ」の手法を使った作品を次々と発表していく。代表作に『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』など、短篇集に『月曜日か火曜日』『憑かれた家』、評論に『自分ひとりの部屋』などがある。

「2022年 『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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