大学時代・広場のほとり 他四篇 (岩波文庫 赤 424-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003242438

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  • 短編集。シュトルムは、今年初めて手に取った作家の中で、一番好みの作風かもしれない。文章は終始抑制されており、登場人物達に訪れる喜びも悲しみも、等しく冷静に描いている。だがその静謐な文体ゆえに、却って彼らの抱えた感情が強く胸に迫ってくる。読んでいて、炎は赤く派手に燃える部分よりも、青い部分の方が実は温度が高い、という話をふと思い出した。
    収録されたどの作品も、過ぎ去った日々への追憶を綴ったもの。冷静に突き放して物語を眺めれば、茶化したり突っこんだりできる部分は沢山ある。例えば「広場のほとり」なんて、主人公の行動は先走り過ぎていて、少し冷静になれと諭したくなった。だが一見滑稽に見える彼の行動は、不器用な恋心からなのだと思うとぐっと胸を衝かれる。
    「みずうみ」の時も思ったが、シュトルムの文章は内面に立ち入った描写はさほどないにも関わらず、読み手である私にも登場人物の心の痛みが強く伝わってくるのが不思議だ。後期の作品はまた雰囲気が異なるらしいので、また別の本も読んでみよう。

  • 『広場のほとり』『おもかげ』『一ひらの緑の葉』『アンゲーリカ』『レナ・ヴィース』『大学時代』収録。
    どれも短編なので読みやすいです。
    どこか寂さの漂う、静かでロマンチックな雰囲気が好きです。
    『大学時代』は以前にも読んだことがありましたが、やっぱり好き。切なさがたまりません。

  • 「広場のほとり」「おもかげ」「一ひらの緑の葉」「アンゲーリカ」「レナ・ヴィース」「大学時代」、以上6篇。これもシュトルム初期の短篇集。一脈の哀愁、神秘めいた色、叙情的なリズム……、いずれもあてはまるでしょう。ただ若い日のひととき感傷的に味わうのではなく、人生の半ば、あるいはすでに老いたり、と思えるようになってからも、きっとそれぞれに味わえる掌編だと思います。それにしても、あらためて訳者によるあとがきなどを読み返すと、とどのつまり彼自身が最もよくこれらを味わっているのだ、と感じさせられますね。特に、詩や、このような短篇は、声に出して読むことによって喚起させられるものが多いはずです。だから、原語で読みなさい、って? はい、ごめんなさい、でも、ドイツ語は苦手です。

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