感情教育 上 (岩波文庫 赤 538-3)

  • 岩波書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253830

作品紹介・あらすじ

19世紀も半ば、2月革命に沸く動乱のパリを舞台に多感な青年フレデリックの精神史を描く。小説に描かれた最も美しい女性像の一人といわれるアルヌー夫人への主人公の思慕を縦糸に、官能的な恋、打算的な恋、様々な人間像や事件が交錯してゆく。ここには、歴史の流れと人間の精神の流れが、見事に融合させられている。

感想・レビュー・書評

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  • 二月革命直前のパリで、社会情勢や政治情勢が刻一刻と変転する中で、アルヌー夫人への恋に身をやつす青年フレデリックの物語。友人たちが政論で一山あてようと躍起になっているのに違和感を覚え、かといって故郷の母の勧めにしたがって身を落ち着けることもしない主人公の生き方は、非常に優柔不断なように見える。しかし、政治に打ち込む友人たちに対して、もっと大事なものがあると反発してみたり、立身出世のために努力するのではなく親族の遺産を使ってパリで放蕩してみたりするフレデリックの姿には、著者言うところの「不活発な情熱」が描き出されているように思われる。

  • 下巻と同一の内容です。

    アルヌー夫人の白髪を見て幻滅し、それを隠すために想いを述べることで自己暗示をかける。しかし、結局自らの意思で手を引く。物語中、最もフレデリックの主体性が強く表れた箇所である。
    野心を持ち動乱の時代を生き抜いた友人同士が、半生を語り合う最後。アルヌーが亡くなったと語られたことで、フレデリックとアルヌー家の繋がりは完全に過去のものであると感じさせられた。

  • 前半は割と退屈。
    全体でもこれと言った山場がある訳ではない。

    価値を分かるには何度と読み返さなければいけないのだろうなぁ

  • 読みやすい文章ではないです。慣れが必要ですし、そうなるまでに時間がかかります。フレデリックの怠惰な生活ぶりには妙な現実感があり、この芯のない青年のぶれ具合も大きな見所でしょう。私としては物語ではなく、その時代、その社会を切り取った歴史資料という趣きで読みました。作中で何度も見られる人々の政治主張は、舞台となっている7月王政期の民衆(といってもそれなりに裕福な層ですが)の姿を浮き彫りにしています。下巻では第2共和制の時代に移るそうなので、作品の背後から見えてくる人々の生活がどう変わるかそこに注目したいです。

  • これ自体優れた小説なのだが、「感情教育」というとなぜか蓮実重彦や金井美恵子が浮かぶ。
    あとなぜか「エテュディオン サンティマンタール」とフランス語で題名を唱えたくなる。

    2011/11/05:追記
    長嶋有さんの「安全な妄想」をぱらぱら試し読みしていたら、大江健三郎さんに「エデュカシオン サンチマンタール」を薦められる、というくだりが目に入り、「あら?そういえば”エデュカシオン”だわな」と自分の覚え間違いと気付く。もともとeducationだし、どこでどう間違って「エテュディオン」などと覚えてしまったのだろう・・・
    それにしてもやはりこの小説の題、フランス語で唱えたくなるような感じを起させるのだろうか。

  • この話に限らず、微妙に移り気なのはフランス人の特徴なのか・・・(笑)

  • 数年前は文庫版がなかったんだよね。フランス語の授業で翻訳の宿題がでたから、ビンボー学生のわたしは毎週本屋に通った。
    マダムと青年のラブストリー?、大学生には色っぽい話であった。(現在、古本屋で300円で購入したものを所有)

  • 上下
    青年のロマン主義的理想とその挫折を描く。フローベールの自伝的作品。

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