- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003277447
作品紹介・あらすじ
「――だって、死ぬのがとてつもなく怖いの。」莫大な遺産の相続を巡り、百年続いた訴訟の判決が出る日。関係者の前に突如現れた美貌のオペラ歌手エミリア・マルティは、なぜか誰も知らなかった遺書の所在を言い当て——。緊迫する模擬裁判でついに明かされた、「不老不死」の処方箋とは? 現代的な問いに満ちた名作戯曲。
感想・レビュー・書評
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チェコの有名な戯曲家、カレル・チャペックの代表作。約100年前、スペイン風邪の流行や第一次世界大戦によりヨーロッパでは死者が増えた時期、長寿を求める大衆の願望もあり、本作品は大盛況だったそうだ。
人生には、重労働、疫病、老化、貧困、戦争といった「困難」が連続するもの。困難が続く日々の隙間に、ちょっとした楽しみと充実感を感じながら、人並みに寿命を全う出来ればマシな方である。
さて、人生で訪れる「楽しみ」とは何だろうか。例えば、中高生時代に思い切り楽しんだ学校行事や部活。「ずっと高校生のままでいたい」とか「もう一度大学生に戻りたい」「もう一度20代をやり直したい」など、青春の再来・継続を夢見ることは、誰しも一度はあるのかも知れない。それが実現したら、本当にその人は幸せなのか、どうなのやら。
本作品は、誰もが夢見る「不老長寿」に対して批判的な立場から、読者に疑問を投げかけるものである。舞台を観た当時の観客達の間でも、きっと活発な議論がなされたのだろう。
物語の鍵を握る謎の美女「エミリア」は、年齢不詳であり、上記で述べた困難とは無縁の人生を送っている。ページが進むにつれて、謎が解き明かされるとともに、彼女にとって決定的に足りない何かが明らかになる。 -
生きる苦しみが永遠に続くという意味で不老不死はそんなにいいことじゃない、ということがわかります。不老不死の処方箋、と聞いて関心を強める登場人物たちが、目の前の不老不死の人をみてその関心がさーっと引いていくのが面白い。チャペックの戯曲はことごとく面白い。
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不老不死についての戯曲。戯曲はだいたい好き。
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女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000059288
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まー、長生きするにも限度つーもんがあるってことであるな。
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劇である。脚本であるので、実際に劇を見てその後で、これを読んでもよかったように思われる。