千一夜物語 12(完訳) (岩波文庫 赤 781-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003278123

感想・レビュー・書評

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  • 12巻、タイトルで期待していた「不思議な書物の物語」がつまらなくてガックリ。ていうか書物全然重要じゃないし、どこが不思議なのかも結局説明すらされなかった。

    逆に短い話のオムニバスになっている「のどかな青春の団欒」は意外にも興味深い部分が多々ありました。「足飾り」は前半の展開がシンデレラ。三人姉妹の末妹が、意地悪な姉に隠れて、魔法の壺からドレスその他出してもらいお城のパーティへ。ダイヤの足飾りを落してしまい、それを拾った王子が末娘を探し当てる。二人は結婚することになるが意地悪な姉たちの策略で妹は結婚式当日に鳥に変えられてしまう。しかし王子に助けられハッピーエンド。

    「王女と牡山羊の物語」も末っ子最強パターン。三人の王女が花婿を探すことになり、それぞれ窓からハンカチを落すが末娘だけがどうしても牡山羊に落ちてしまう。仕方なく山羊と結婚するが、夜になると山羊はイケメンに変身。ただそのことを内緒にしてくれと言われたのに、諸事情により姫がバラしてしまったので山羊男は行方不明に。最終的に姫が山羊男を探し当てるのだけど、なぜ山羊にされていたのかは謎のまま。

    そして「王子と大亀の物語」も同じく末っ子もので「王女~」の男子版。三人の王子が矢を射て落ちた家の娘と結婚することになるが末っ子だけどうしても亀の家に。そこで亀を花嫁に迎える。甲羅を外すと美女に。これもまたなぜ美女が亀になっていたのかは明かされないまま。

    波乱万丈でなかなか面白かったのが「金剛王子の華麗な物語」なのだけど、出てくる女性がもれなく王子を好きになり、一夫多妻の国ゆえ次々と結婚の約束をして、最終的に出てきた女性全員と結婚しちゃうので、せっかくシンドバッドばりの冒険ものなのに日本で子供むけとかにはできなさそうな(苦笑)

    「乙女「心の傑作」鳥の女代官の物語」は今までになかったパターン。「心の傑作」と呼ばれる歌の上手い美女トーファが、悪魔たちの頭イブリースに攫われるも、悪魔たちの前でワンマンライブ。琵琶を弾きつつ、風や花、鳥や昆虫などの歌(詩)を次々と20曲ほど吟じ、おひねりをたんまりもらって無事帰国するという。作品の大半を彼女が歌った詩が占めていて、ストーリーはあまりない。異色作。

    13巻に続く「バイバルス王と警察隊長たちの物語」第一の警察隊長が語った話がいきなり百合カップルの駆け落ち話でびっくり。

    ※収録
    第881夜-894夜:のどかな青春の団欒(頑固な頭の少年と小さな足の妹/足飾り/王女と牡山羊の物語/王子と大亀の物語/エジプト豆売りの娘/解除人/警察隊長/誰がいちばん寛大か?/去勢された床屋/ファイルーズとその妻/生まれと心)
    第895-904夜:不思議な書物の物語
    第904-922夜:金剛王子の華麗な物語
    第922-925夜:滑稽頓智の達人のさまざまな奇行と戦術
    第926-937夜:乙女「心の傑作」鳥の女代官の物語
    第937-940夜:バイバルス王と警察隊長たちの物語(第一の警察隊長の語った物語/第二の警察隊長の語った物語)

  • 不思議な話や恋愛物語歴史物語、笑い話までバラエティーに富んでいて最期まで飽きずに読めました。特に古代の中東を舞台にした物語は少ないのでその地方の文化を知れるところも魅力です。

  • 原書名:LE LIVRE DES MILLE NUITS ET UNE NUIT

    のどかな青春の団欒
    不思議な書物の物語
    金剛王子の華麗な物語
    滑稽頓智の達人のさまざまな奇行と戦術
    乙女「心の傑作」鳥の女代官の物語
    バイバルス王と警察隊長たちの物語

    編者:ジョゼフ=シャルル・マルドリュス(Mardrus, Joseph-Charles, 1868-1949、エジプト・カイロ、東洋学者)
    訳者:豊島与志雄(1890-1955、朝倉市、小説家)、渡辺一夫(1901-1975、東京、フランス文学者)、佐藤正彰(1905-1975、東京、フランス文学者)、岡部正孝(1912-、フランス文学者)

  • アラビア版シンデレラの足飾りいいねー!
    短いお話だけど、最後にピンを抜かれる時の描写がきらきらしくて好き。
    ハールーン・アル・ラシードの登場多めだったかな。
    愚王ではないんだろうけど、時に無茶振りで周りをぶん回すよね…。

  • やっと12巻目を読み終えました。
    この巻は、一般的に有名なお話は載っていませんが、「金剛王子の華麗な物語」がおもしろかったです。
    いよいよ最後の13巻目を読み始めることになります。

  • 2008/02/06

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著者プロフィール

とよしま・よしお
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。

「2018年 『丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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