ペスト (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (556ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751329

作品紹介・あらすじ

一九四*年、アルジェリアのオランにペストが発生した。市門は閉ざされ、疫病が猛威を振るう。絶望と混乱と不正が満ちる中、医師リユーは治療に奔走し、それを助ける保険隊も結成される。理不尽な悪に抗う人びとの心理と言動を描き、巨大な災禍のたびに読み直される傑作。国際的なカミュ研究者による新訳が、作品の魅力を蘇らせる。

感想・レビュー・書評

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  • 作者自身はナチスドイツ占領時代のドイツを投影してこの作品を書いたようだけれど、コロナ禍で読むと感染下の都市の動きがリアルに描写されているのに驚く。
    きっとコロナ禍前に読んでいたらここまで共感はしなかっただろうな。
    私も医療者の端くれなので、リューの考えに共感。ヒロイズムに走る事なく、淡々と目の前の出来る事をこなしていく事が1番大切だと改めて実感した。

  • 要再読

  • 読むのに苦労した。
    今のコロナ禍で読まれる理由が何となく分かった。

  • 新訳刊行の紹介をみて購入。ものすごく時間がかかった。自分もあいにくの療養中なので集中力が途切れがちになりながらも、しっかりと胃の腑に落ちるに落ちてくるようなかみごたえのある読書体験となった。読みやすい訳文だった。

  • コロナ禍の今と被る内容で、リアリティがあった。
    ペストは季節の移ろいで解決したが、コロナはその兆しなく根が深い。
    新潮文庫よりも岩波文庫の方の信頼置けるので、待った甲斐があったり

  • 70年以上前に出版されたものが、今ふたたび同時代性を帯びたものとなっている。そしてナチスによるヨーロッパ世界の蹂躙になぞらえていた当時とは異なり、2021年現在においてはダイレクトにタイトルが示す「ペスト」、疫病の流行という点において時代とリンクしているというのは実に奇妙だ。

    我々がコロナ禍に身を投じてから既に一年以上が経過している。そのタイミングで届けられた新訳は、決してこのタイミングを狙いすましたものではない。これも歴史の妙といったところか。

    現代に生きる我々は、少なくとも2019年より前の世界では疫病というものを過去発生した惨禍であり、今後自分たちの人生にふりかかるものだとは捉えていなかっただろう。
    この「ペスト」における市井の人々もそうだ。通りにネズミの死骸が目立つようになっても、死者が目に見えて増え始めても、なかなか「それ」だということに気づかず、認めず、また認めた後に至っても「これは一時的なもので、すぐに過ぎ去るだろう」という楽観が、しばらくは通底していた。
    これは昨年、自分たちが持っていた感覚と類似しているように感じられ、背筋に薄ら寒いものが走った。

    もちろん、本書は偶然にも現在の惨禍と結びついた一点においてのみ評価されるものではない。災厄の中で群衆がどのようにふるまうか、個々人の心がどう揺れ動くかが巧みに描かれ、純粋に読み物として面白いのだ。
    そして、そのように娯楽として楽しめる文章から教訓を得たり、何か強大なものに打ち勝とう、という気持ちを燃やしたりすることにもつながっていく。かくも文学とは偉大なのだ。

  • コロナが何者か分からなかった頃、2ヶ月ほどが外出自粛を命じられ、どこにも出かけることができず、また、誰かに会うこともできない辛さを知っている私たちにとって、共感できる部分は多かったように思う。また、見えないものとの闘いは、恐怖心を募らせると共に、人間を支配していくということを感じ、感染症の種類は違えど、同じような環境に置かれた人は同じようなことを思うのだと痛感した。もし、今後また異なる感染症が流行した時にもう一度読みたいと思う本であった。

  • 結構分厚かったので、時間がかかった。
    オランで流行ったペストの話だが、現在のコロナの話と通じるものがあるとのことで、読んでみたが、まさにその通りだった。
    流行り始め、行政の対応、隔離、パニック、血清、、、
    その中で、医師であるリユーの細やかな心の描写も描かれている。過酷な状態になった患者と向き合う必要があり、それが幼い子供で苦しんでいる状況を見る、ここの描写は私もとても辛かった。
    病気の大流行は、昔も今も変わらず人を苦しめる、パニックにならないようにと思っても惑わされてしまう。この作品はかなり昔の作品だが、今に通じるものがある。これを読んで、戒めとしたい。

  • 2023/4/8読了。

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