ユダヤ人 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004110798

感想・レビュー・書評

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  • 作中でサルトルが引用する、リチャード・ライトのことば「合衆国には、黒人問題など存在しない。あるのは白人問題だ」。この考え方には目を見開かされる思いがする。

  • 既読のサルトル(殆ど読み止しだが‥)の中でも格段に読みやすい。ユダヤ人が迫害される理由の構造的なものはなんとなく理解できた。反ユダヤ主義者に焦点を絞った分析は、ユダヤ人に限らず全ての差別に通じるし頷ける。ただここでは歴史的な考察はされていないので、ユダヤ人の根源や本質は全くわからない。サルトルによればそれは反ユダヤ主義者と周囲が作り上げた社会的構造に過ぎないらしいが。果たしてそれだけでこれほどの差別が根付くのか?疑問だ。解決策として最後に強引に畳み掛けて「社会主義革命を!」で締め括る。嗚呼これサルトルよ‥

  • ユダヤ人問題について平易に解説した本。しかしやや単純化の趣があり、最終的な解決方法が社会主義革命であるというのはいただけない。

  • ユダヤ人迫害の問題はユダヤ人にあるのか反ユダヤ主義者にあるのか。
    サルトルは反ユダヤ主義者こそがユダヤ問題を生み出しているのであると断じている。
    反ユダヤ主義者は階層的には中間層ないしそのちょい下くらいの人たち(ちょうど、ナチズムに共感していった層)で、ユダヤ問題を解決するためには、それら階級の解体すなわち階級闘争しかなく、よって社会主義革命なくしてユダヤ問題解決はないと結論している。
    えー!そうくるか?

  • ものすごく人種差別がわかる。
    ユダヤと反ユダヤ
    読んでいくうちに、凹みます
    筆者である サルトルが怒りに満ちています。
    もう何世紀も
    人種差別や偏見が続いてるという事実。
    とても昔の本だけど
    読みごたえはあります。
    ただ
    ものすごく句読点が多いのが気になりました。

  • [ 内容 ]
    世界中の人びとがユダヤ人に対して抱いている偏見は、実に古くかつ根強い。
    サルトルは、まったく新しい観点から、数々の具体的事実をあげて、この根深い偏見の源をつきとめ、ユダヤ人問題の本質をはじめて明らかにした。
    たんにユダヤ人問題のみならず、今日の人種問題に対して正しい解決の方途を示唆した画期的な書。

    [ 目次 ]
    1 なぜユダヤ人を嫌うのか(ユダヤ人を嫌うのは自由だろうか;嫌う理由があるのだろうか ほか)
    2 ユダヤ人と「民主主義」(抽象的民主主義の弱味;抽象的人間と具体的ユダヤ人 ほか)
    3 ユダヤ人とはなにか(人間の違いは、その状況と選択による;ユダヤ人の状況、人種、宗教、国家、歴史 ほか)
    4 ユダヤ人問題はわれわれの問題だ(真の敵は反ユダヤ主義者;われわれの目標は具体的な自由主義 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • ユダヤ人は外部から作られた、概念なのだろうか。

  • ユダヤ共同体は、国家的でも、国際的でも、宗教的でも、人種的でも、政治的でもない。それは、一つの半ば歴史的な共同体なのである。ユダヤ人をユダヤ人たらしめているものは、その具体的な状況であり、彼を他のユダヤ人達と結びつけているのは、状況の一致なのである。
    ・・・・・・『ユダヤ人』180頁

    反ユダヤ主義、日本では馴染みのない問題かもしれないが、世界中に蔓延り、確実に存在している問題。ユダヤ人というものがいかに造られ、利用されてきたのか。その現実とその原因を知るためにとても役立つと思う。

    理性的で批判的な態度は、ユダヤ人の特徴とされているらしい。だが、これも、非理性的な反ユダヤ主義者によって造られた性格といっていい。

    彼が相手と推論し、論争するのも、出発点において精神の一致を得るためである。彼は、すべての論争以前に、出発点となる原則について意見の一致を見ることを希望する。・・・・・・人が非難するあの絶え間ない批判行為も実は理性の中で、相手と共感しようという素朴な愛と、人間関係では、暴力は全く無用であるという、更に素朴な信仰とを求めているのである。
    ・・・・・・『ユダヤ人』143頁

    非理性的な人間は、理性的な論争を嫌う。それでも、理性的な人間は、理性的な解決を望む。理性的な人間と非理性的な人間との食い違いは、何もユダヤ人問題に限ったことではない。より身近で、いつでも、いつまでもある問題だ。

    何故、理性的な人間がより理性的になろうとするか。
    その原因を私はこう想像する。
    非理性的な人間によって、非理性的な迫害、理不尽な中傷を浴びせられ生きてきた人間は、理性的にならざるを得ない。理性的に自己の正しさを確立しなければ生きていけないのだ。もしそれができなければ、全てを諦めるしかない。

    無知と無理解と無思慮が、人を貶めるのだ。

    著者サルトルは、これはわれわれの問題だと言っている。
    彼にとってはフランスの問題であり、我々にとっては我々の問題なのだ。黒人作家のリチャード・ライトの言葉、「合衆国には、黒人問題など存在しない。あるのは白人問題だ」本書でも引用されている(187頁)この言葉を使うなら、「ユダヤ人問題は存在しない。あるのは反ユダヤ主義問題だ」ということになるだろう。

    非理性的で利己的な人間が齎す過ちを、見つめ直さなければならない。

  • 7,評価4.5
    入門書

  •  反ユダヤ主義者にとって、ユダヤ人は敵であり、かつ存在理由である。彼らは、ユダヤ人なくして存在し得ない。彼らは、敵を自ら作り、自分を正当な人間であると評価することで、自らの安泰を得る。敵たるユダヤ人と彼らは表裏一体であり、ユダヤ人に自由を認めない限り、彼らにも自由がないことに気づいていない。いや、むしろ自由を恐れている。自由に基づく責任から逃げている。
     以上のようなことが書いてあるわけですが、考えさせられる本であるといえます。ユダヤ人を迫害する人にかかわらず、我々は、他者なしに自己を認識できるのでしょうか。

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