ことばと文化 (岩波新書)

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  • 岩波書店 (1973年5月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (209ページ) / ISBN・EAN: 9784004120988

みんなの感想まとめ

言語と文化の関係を深く探求する本書は、私たちがどのように言葉を通じて世界を認識し、他の文化とどのように異なるかを明らかにします。著者は、言語が物の存在を認識するための鍵であり、単なるラベル以上の意味を...

感想・レビュー・書評

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  • 言語学者で慶應義塾大学名誉教授の著者により記された本書は、わたしたちがことばによってどのように世界を捉えているのか、またそれがいかに他言語・他文化と異なっているのかということについて述べられています。

    しばしばわたしたちは、ものというものの存在がまず先にあって、それに対応づけを行うようにことばというレッテルを貼っていくのだというような錯覚を覚えます。
    しかし、実際はその逆で、ことばがあるからものを認識できるのだと述べられます。

    例えば日本語では「湯」「水」「氷」をそれぞれ区別しているのに対して、英語では「water」と「ice」としか区別されません。

    一方、日本語では「ワニ」としか呼ばないものを、英語では「alligator」と「crocodile」と呼び分けています。

    このように、ものにことばを与えるということは、人間が自分を取りまく世界の一側面を、他の側面や断片から切り離して扱う価値があると認めたということにすぎず、ことばの構造やしくみが違えば、認識される対象も当然ある程度変化せざるを得ません。

    ことばが違うということは、単に単語が異なるという意味にとどまらず、文化に違いがあって、ものの考え方に違いがあって、仮にある一点において一致する部分が見られたとしても、それを自国の文化の中で過度に一般化してはならないということです。


    以下、本書の序文からの引用ですが、

    「私の考えではいかなる学問領域の入門書でも、それは既に知られているさまざまな事実の単なる躍列ではあり得ないし、またそうあってはならない」
    「入門書とは、その学問特有のものの見方を示すものでなければならない。そしてものの見方とは、動的な精神の働きに他ならないのであるから、入門書はそれを書く著者に固有な、ものの見方と切り離すことができない。」

    本書はまさしく言語学の入門書として良書でした。

  • «「私にとっての普通」は万国共通では無い»
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    こちらの本が出版された当時と今とでは違う部分もあるかと思いますが、「無意識に日本人的な尺度で外国語や外国の文化を日本のそれと比べている」という指摘は、確かに今の自分もしてしまっていると、ハッとさせられました。
    日本語を教える上でも、外国人と交流する上でも、自分のものの見方は相手とは全く違うのだという意識、それから、自国と他国の文化や考え方に優劣は無いのだという意識を持って、自分を卑下せず、かと言って威圧的にもならずに接していきたいと思いました。

    以前講義の中で紹介されていたので読み、今回は再読です。言語に関わるお仕事をされる方やこれからされる予定の方、言語関係のお仕事に興味がある方に、特におすすめしたい1冊です。

  • ことばと文化の結びつきは面白い。それがわかる。言語学というものの面白さに触れることができる素晴らしい一冊。

    まえがきの部分に
    「入門書とは、その学問特有のものの見方を示すものでなければならない。そしてものの見方とは、動的な精神の動きに他ならないものであるから、入門書はそれを書く著者に固有なものの見方と切り離すことができない。」ⅲ
    とある。入門書とは平易な言葉で誰でも理解できるようにその学問のことを述べるものだと思っていた。この文章から、多種多様な入門書が同じ学問領域でも存在していることが頷くことができる。入門書といえばこれ!というようなものよりも入門書を比較して読むことで、その領域をさまざまな観点から観察できることの方が重要なのではないかと思った。


    本書の中からも数個、
    「ものにことばを与えるということは、人間が自分を取りまく世界の一側面を、他の側面や断片から切り離して扱う価値があると認めたということにすぎない。」39
    したがって、言語を研究することはその言語を使用する国や地域の文化をも研究することにつながるのだ。日本語ではオノマトペや人を表す言葉が多いことから何が言えるのか、何を重視してきた文化なのかを考えることができるということだ。

  • ことばの背景には必ずそのことばのもつ文化がある。だから、他言語に同じような言葉があったからといって、一対一で翻訳できるわけではない。動物の例が出ていたが、なるほどと納得するところがあった。また、後半では、一人称、二人称等の概念について述べてあるが、こちらも納得。自国、他国ともに文化を知り、言葉を知らなくて、翻訳などはうまくできないだろう。生理的に嫌悪感をもたらすような言葉遣いをしてしまう事もありうるわけだから。
    まずは日本語について知るには、文豪の作品を読むといいかもしれないとこの本を読み終えて感じた。

  • 2024/4/27-6/26.

    6.人を表すことば がとても興味深かった。私は自分のことを表す一人称をそこそこ持っていて、状況や環境によって使い分けているけれども、それは日本語特有のものであり、随時「自己規定」しているのである。日本語の自己規定の対象依存的な構造。
    一人称に留まらず、人称代名詞の充実さ。

    最後3-4ページが非常に興味深くて、何度でも読み返したい。察しの文化、思いやりの文化と言われる日本人の美徳と欠点。その根本にある、対象同化の心的構造。それは、相手に対する甘えであり、依存である。息を吸うように相手の気持ちを察し汲むことに長けているが故に、相手にも同様の言動を求めてしまう。それは、期待外れだったときの不満やストレスに繋がってしまう。
    結局「あなたのため」は自分のためであるということ。

    相手の出方を伺ってはじめて自分のスタンスを示すのは、わたしもままやること。日本人が自己主張が苦手なのは、他者の意見を軸に考えてしまうから。

  • 書かれたのが1970年代ということもあって日本と外国の対比に ん?と思うところも何箇所か出てくるけどそれでも読みやすいし言ってることもわかりやすい。言語学ってこういうものなんだろうなーっていうのがわかる。言語学全体を全然知らないから何ともわからないけど。

  • ♠共時的展開と通時的展開、種の基準と比較基準と期待基準と適格基準と人形の基準、呼格的用法と代名詞的用法、虚構的用法など様々な具体例を挙げながら外国のことば、そして日本のことばを分類していて分かりやすかった。
    ♠本文では触れていなかったが、愛憎を表す呼格の比較文化的研究というのも面白そうだと思った。(可愛い子について日本では猫かわいがりと言うが海外では豚の子と表すところもある、など)
    ♠ことばの「意味」をことばで伝えることは不可能だけれど、「定義」はことばで伝えられるというのはなるほど〜と思った。(本文の例を引くと、”渋い”ということばは説明出来ないが”未熟な柿を食べた時の舌のさすような感覚”といい伝えることは出来る)

  • 日本語と英語。
    同じ概念を表すように見える言葉でも、違いがある。
    そのことばの表す範ちゅうの違い・・・その違いがどこから来るのか・・・。
    ことばの問題は、そのことばを母語とする人々の文化にもかかわる。

    この本の中で言語学的に特に注目すべき点は、親族名詞の使用ルールをきちんと体系化したところ。
    たとえば、「父」にあたる人は「息子」とは呼べないけれど、「息子」にあたる人は「お父さん」という呼び方をするとか。
    そういう制限のことをキチンとまとめている。

    日本語がいかに上下関係を意識した言語かっていうことが親族名詞を見ることでもわかる。
    それがそのまま、日本人の思考を表してて、言語の面白さを再確認させられた本。

  • 今後も何度か読み直したい本。
    外国語を勉強しているとどうしても不可解なもの(言葉やルールなど)が出てきて、それに気持ちが引っかかって勉強する気が失せることがある。
    この本で「それは文化も違えば言葉のルールも違うから」と気付かされた。人間にとって言葉は万能のツールのようなものだと無意識に思っていたけれど、その固定概念を覆される。
    「そうだったのか」の連続でどんどん読み進めてしまって、くせになる。
    「言葉は生き物」と言われることにより深く納得できる。本当にDNAみたいだ、と思った。

  • 言語のシニフィエには社会的コンテクストによって左右される要素が多い。
    辞書に書かれた意味とは有る意味で死んだシニフィエなのだろうか。

    この著者は社会と文化の立場から”ことば”を研究した社会言語学者だ。
    内容も面白く、読みやすい。
    しかしこの本で興味が湧いた人には社会学が向いているのかもしれない。
    そしてこの著者も社会に囚われ過ぎている感じがする。
    言語学を学ぶなら著者以外にも多くの言語学者の著作を読まなければならない気がする。

    誤解のないように書くが読み物としてはとても良い本だ。
    だけれども、言語学に興味があるなら時枝誠記、池上嘉彦、外山滋比古、ソシュール、デリダ、ハイデガーなども併せて読むべきだと思う。

  • 気になっていた論文の参考文献にあったので読了。
    私たちが当たり前だと感じることすらないくらい当たり前のことが他国では違うのだと言うことを言語というフィルターをとおして理解らせられた。
    中学校の英語で英語が苦手になってしまう人はこの本に書かれているような文化の違いを学ぶことが出来ず受験のための暗記ゲームをさせられているからなのではとこの本を読んで思った。

  • 言語が違うということは、世界を見るフィルターが違うということ。
    生まれたときから見ている世界を違ったフィルターを通して見ているとすれば、言語の違いが単純に「言葉が通じない」以上の意味をもつことがわかる。文化も考え方も、ものの捉え方も変わってくる。
    とりわけ、日本語における人称代名詞が、日本人の文化や考え方に多大な影響を及ぼしていることがわかった。
    自分のことを「ママ、パパ」「お姉ちゃん」など生得的階級が上のものは、自人称としてその階級を誇示するために使用することができ、ゆえに日本人は年齢、生まれもった資格(性別、階級)を重んじる文化が発達した。
    また、対象と同化することで自分の位置付け(自人称)を決めるため、相手に同調、忖度する文化が育ち、「気が利く」「思いやりがある」などのヨーロッパ語には直訳できない言葉が生まれた。

    いま、欧米化が進んで、これまで日本人が良きとしてきたものが、同調圧力、意見がない、繊細すぎて疲れる、などのネガティブな部分にフォーカスされつつある。
    これらの考えが進んで、よりグローバル化が進めばこれからの日本語はもっと変わっていくかもしれない。

  • 本書に『問題とはそこにあるものでなく、視点を設定した時はじめて出てくるものなのである。』(p.180)とあるように、日本語をながめる時の新しい視点を与えてくれる一冊

  •  
    ── 鈴木 孝夫《ことばと文化 19730521 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004120985
     
     鈴木 孝夫 言語社会学 19261109 東京 20210210 94 /慶応大名誉教授
    …… 慶応大医学部から文学部に転じ、イスラム研究の権威で言語哲学
    の井筒 俊彦に師事。米エール大など欧米各国の大学で研究員や客員教
    授を務め、慶応大教授、杏林大教授などを歴任。
    https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/329372
     
    (20210218)
     

  •  文化に対する言語の影響を独自の視点から論じた,この分野の書物としては古典中の古典と言ってもよいものでしょう。大学生のときに一度読みましたが,約20年ぶりに再読しました。一度目の読書の記憶は皆無と言って良いので,ほぼ初見という印象です。
     書かれたのが40年以上前ということと,私がこの分野が専門に近く,それなりの背景知識を有していることの2点を踏まえて言うならば,かなり独自の論陣を張っているなという印象です。言語相対論という名称で知られている,言語が事象の認識に対してどのような影響を与えているのかを研究する分野にかんして,教科書的な内容でなく,鈴木氏が独自に研究・調査して得られた観察や知見が本書には多く盛り込まれています。この点では,この本はこの分野の通り一遍の知識を身につけるには適してはいないと思いますが,鈴木氏の観察眼には感心させられますし,なるほどと思わせる記述がいくつもあります。
     難点を挙げると,話があっちこっちへ飛んで一つのトピックを一貫して論じていないことがままあり,まるで鈴木氏の講演を聞いているような印象を持ちました。しかし,これは著者の伝えたいという気持ちがほとばしっているとも取ることができます。鈴木氏のあふれ出る好奇心・探求心から様々な文献を渉猟し考察した結果が生き生きと記述されており,難点を差し引いても一読に値します。

  • 第六章が大変面白かった。日本人の言語文化から考える、「自己規定の対象依存的な構造」による日本人の性質。「相手に同化し、甘えることに慣れている日本人は、つい自己を相手に投射し、相手に依存する。そして相手もまたこちらに同調してくれることを期待してしまう」

  • 以前から興味を持っていた分野。
    英語を勉強しながらいつも疑問に思っていたことが、目から鱗が落ちるように解決し、また自分の中でこうではないか、と考えていたことが専門家の意見と一致していたりして、とても収穫があった。私自身、英語で話そうとすると思わず単語帳の訳と自分が言いたい日本語の文章とを照らし合わせてしまうのだが、それでは間に合わないどころか、相手に全く伝わらないことがある。例えば join は中学生で習う基本単語で「参加する」だが、どちらかというと新しく入るイメージだというのは、ネイティブの先生に教えてもらってつい最近知った。つまり団体への協力や大会への参加には使えない。
    やはり言葉は生きているから、なるべくその社会の中で使ってこそ、本当の意味が分かるのだな、ということを学ぶことができた。

  • 課題で読んだけど面白かった
    言葉はその言語を使う人々の性質を反映させているとわかった

  • 図書館。「閉された日本語」鈴木孝夫先生本への横展開。

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著者プロフィール

1943年岩手県生まれ。三菱系エレベーター会社を経て1967年に独立創業し、鈴木エレベーター工業(現在のSECエレベーター)を1970年に設立。独立系エレベーター保守会社という新しい業態を日本に誕生させる。エレベーターの構造を知り尽くす「技術屋」で、ビジネスの面でもエレベーター業界の風雲児として活躍する。

「2017年 『技術屋が語るユーザーとオーナーのためのエレベーター読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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