ことばと文化 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.79
  • (91)
  • (102)
  • (135)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 1391
レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004120988

作品紹介・あらすじ

文化が違えばことばも異なり、その用法にも微妙な差がある。人称代名詞や親族名称の用例を外国語の場合と比較することにより、日本語と日本文化のユニークさを浮き彫りにし、ことばが文化と社会の構造によって規制されることを具体的に立証して、ことばのもつ諸性質を興味深くえぐり出す。ことばの問題に興味をもつ人のための入門書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本語と英語。
    同じ概念を表すように見える言葉でも、違いがある。
    そのことばの表す範ちゅうの違い・・・その違いがどこから来るのか・・・。
    ことばの問題は、そのことばを母語とする人々の文化にもかかわる。

    この本の中で言語学的に特に注目すべき点は、親族名詞の使用ルールをきちんと体系化したところ。
    たとえば、「父」にあたる人は「息子」とは呼べないけれど、「息子」にあたる人は「お父さん」という呼び方をするとか。
    そういう制限のことをキチンとまとめている。

    日本語がいかに上下関係を意識した言語かっていうことが親族名詞を見ることでもわかる。
    それがそのまま、日本人の思考を表してて、言語の面白さを再確認させられた本。

  • ことばの背景には必ずそのことばのもつ文化がある。だから、他言語に同じような言葉があったからといって、一対一で翻訳できるわけではない。動物の例が出ていたが、なるほどと納得するところがあった。また、後半では、一人称、二人称等の概念について述べてあるが、こちらも納得。自国、他国ともに文化を知り、言葉を知らなくて、翻訳などはうまくできないだろう。生理的に嫌悪感をもたらすような言葉遣いをしてしまう事もありうるわけだから。
    まずは日本語について知るには、文豪の作品を読むといいかもしれないとこの本を読み終えて感じた。

  • 言語のシニフィエには社会的コンテクストによって左右される要素が多い。
    辞書に書かれた意味とは有る意味で死んだシニフィエなのだろうか。

    この著者は社会と文化の立場から”ことば”を研究した社会言語学者だ。
    内容も面白く、読みやすい。
    しかしこの本で興味が湧いた人には社会学が向いているのかもしれない。
    そしてこの著者も社会に囚われ過ぎている感じがする。
    言語学を学ぶなら著者以外にも多くの言語学者の著作を読まなければならない気がする。

    誤解のないように書くが読み物としてはとても良い本だ。
    だけれども、言語学に興味があるなら時枝誠記、池上嘉彦、外山滋比古、ソシュール、デリダ、ハイデガーなども併せて読むべきだと思う。

  • 今後も何度か読み直したい本。
    外国語を勉強しているとどうしても不可解なもの(言葉やルールなど)が出てきて、それに気持ちが引っかかって勉強する気が失せることがある。
    この本で「それは文化も違えば言葉のルールも違うから」と気付かされた。人間にとって言葉は万能のツールのようなものだと無意識に思っていたけれど、その固定概念を覆される。
    「そうだったのか」の連続でどんどん読み進めてしまって、くせになる。
    「言葉は生き物」と言われることにより深く納得できる。本当にDNAみたいだ、と思った。

  •  文化に対する言語の影響を独自の視点から論じた,この分野の書物としては古典中の古典と言ってもよいものでしょう。大学生のときに一度読みましたが,約20年ぶりに再読しました。一度目の読書の記憶は皆無と言って良いので,ほぼ初見という印象です。
     書かれたのが40年以上前ということと,私がこの分野が専門に近く,それなりの背景知識を有していることの2点を踏まえて言うならば,かなり独自の論陣を張っているなという印象です。言語相対論という名称で知られている,言語が事象の認識に対してどのような影響を与えているのかを研究する分野にかんして,教科書的な内容でなく,鈴木氏が独自に研究・調査して得られた観察や知見が本書には多く盛り込まれています。この点では,この本はこの分野の通り一遍の知識を身につけるには適してはいないと思いますが,鈴木氏の観察眼には感心させられますし,なるほどと思わせる記述がいくつもあります。
     難点を挙げると,話があっちこっちへ飛んで一つのトピックを一貫して論じていないことがままあり,まるで鈴木氏の講演を聞いているような印象を持ちました。しかし,これは著者の伝えたいという気持ちがほとばしっているとも取ることができます。鈴木氏のあふれ出る好奇心・探求心から様々な文献を渉猟し考察した結果が生き生きと記述されており,難点を差し引いても一読に値します。

  • 第六章が大変面白かった。日本人の言語文化から考える、「自己規定の対象依存的な構造」による日本人の性質。「相手に同化し、甘えることに慣れている日本人は、つい自己を相手に投射し、相手に依存する。そして相手もまたこちらに同調してくれることを期待してしまう」

  •  
    ── 鈴木 孝夫《ことばと文化 19730521 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004120985
     
     鈴木 孝夫 言語社会学 19261109 東京 20210210 94 /慶応大名誉教授
    …… 慶応大医学部から文学部に転じ、イスラム研究の権威で言語哲学
    の井筒 俊彦に師事。米エール大など欧米各国の大学で研究員や客員教
    授を務め、慶応大教授、杏林大教授などを歴任。
    https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/329372
     
    (20210218)
     

  • 自称他称と文化の関わり方、面白いね

  • 国や地域によって異なることばの特徴や力についての記述がおもしろい。表面の発音や単語の違いだけでなく、文化背景も踏まえたことばの発生や変容について考えられる

  • 良著。まえがき,1~5章・6章1節6節,あとがきを読んだ.

    <印象的なものを列挙>
    1,2章:文化によって各言葉で各事象概念を包括できる範囲が異なる.よって文化によっては区別されない事象概念を区別する文化があるために文化によって言葉の数が異なる.

    3章:名詞は人によって着目ポイントが異なるので動詞や形容詞の方が定義しやすい.言葉の意味は個々人の体験に基づくため言葉の定義を言葉で示すことができても意味を示すのは至難の業である.辞書ではよく説明のループが起きている(特に基礎語(これ以上分けようがない言葉)において多い).

    5章:文化によって感じ方が異なる(この例ではイギリス人と日本人の動物観.犬を手放すとき,イギリス人は殺し,日本人は捨てる).若干冗長な体験談だったものの,本書で一番言いたいことを分かりやすく伝えていると感じた.外国に見習えみたいなことを言う人も多いけど,文化ありきの言葉でもあり,歴史的背景を見たら,大して立派でもなかったり,日本にそぐうか不明なのも多いと書いてある.

    6章読んだ部分:この章は言葉ありきの文化にも少し触れている.人の呼び方から文化を考察している.日本は他国と比較して一人称二人称が役職や親族種別など多岐にわたっており,人を呼ぶ度に役割を定義していることになるため,極めて縦割社会で責任転嫁しやすい文化.相手に対して自分の立ち位置が決まるため,自分の意見を決めるのが不得手.一方,相手を思うが故に,おもてなし・ありがた迷惑などの言葉も意味をなす(これらはそういう文化がないと意味がない言葉と言える).

    ーーー
    5月頃に一回1/3位読んで中断.11月頃にまた読み始めた.通勤時間の気分転換程度に丁度.12/14に読み終わった.

全122件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

鈴木孝夫(すずき たかお)
1926年、東京生まれ。慶應義塾大学名誉教授。専門は言語生態学、言語社会学、文化意味論、外国語教育等。慶應義塾大学医学部予科、同大学文学部英文科卒業。慶應義塾大学教授、イリノイ大学、イェール大学教授、フランス高等社会科学研究院客員教授等を歴任。著書に『ことばと文化』(岩波書店)、『武器としてのことば』『閉された言語・日本語の世界』(新潮社)、『人にはどれだけの物が必要か』(中央公論新社)、『あなたは英語で戦えますか』『鈴木孝夫の曼荼羅的世界』(冨山房インターナショナル)ほか多数。

「2019年 『世界を人間の目だけで見るのはもう止めよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木孝夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
綿矢 りさ
遠藤 周作
綿矢 りさ
有効な右矢印 無効な右矢印

ことばと文化 (岩波新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×