外国語学習の科学: 第二言語習得論とは何か (岩波新書 新赤版 1150)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311508

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  • 第二言語習得に関するこれまでの研究をわかりやすく紹介している。紹介する姿勢も謙虚なもので、驚くような目新しい事実はないものの、外国語を学習している者であれば体験的に「わかる、わかる」ということを言語化してくれている。これまでの研究成果をあらかじめ知っておくことで、自分に適した効率的な学習方法を模索するきっかけになるし、言語習得の動機づけを維持することにも通じている。改めて言語を捉え直すいい刺激になった。

  • 久しぶりに読んだ新書というカテゴリーに属する本である。

    私は多くの外国語に触れてきたが、やはり日本語とそのほかの言語は違う。
    その違いについて今までぼんやりとした考えしかなかったが、それを整理することができた。
    それは、習得の方法にかかわっている。

    確実に私の中には「日本語ネイティブ」の神経しかない。
    なぜなら、私が生まれてすぐから聞いてきた言語は間違いなく日本語だからである。
    しかし、拙いとはいえ英語も話せるし、フランス語やロシア語だって知らない単語が英語以上に多いものの、短く難しくない内容ならば読むことはできる。
    一般に、日本の語学教育は読むことから始まり、書くことを経て聞く、話すへと進むことが多い。
    私の場合、英語、フランス語は現地(それぞれ最初はBoston、Montreal)ともに聞く方が先で学んだが、ロシア語は文法が先である(というより、まだ文法しかやってない)。
    ”どちらがすぐれた習得法なのか”
    それがこの本を読むにあたっての私の問題意識であった。

    予想としては聞く方が先の学習が優れているのではないかと思っていた。
    当然、その方が母語習得に近い順序であるためである。
    この本もどちらかといえばそれを支持している。
    しかし、一概にそれで終わるほど簡単な問題ではない。
    母語をベースにしなければ、第二言語は習得できない。
    それは語彙からしてはっきりしたことである。
    母語で分からないものを、他の言語でわかりようもない。
    近年多い、イングリッシュスクールや英会話教室に小学校低学年かもっと早くから通う子もいる現状で、本当に他の言語を習得すること、それを解明しようとする本である。


    新書だからではなく、まだ解明され切っていないからではあるが、この本を読んでも理論としては浅い。
    それでも言語学に興味を持つには十分すぎるくらいの実研究の結果数である。
    英語をはじめとする外国語教育者、言語学系の学部在籍者、他言語話者およびそれを目指す人。
    以上の人には特に楽しめる本であろう。

  • これからの語学教材作りは、こういう研究成果を踏まえないといけないんだろうなあ、と漠然と感じました。

  • 第二言語習得論を専門にしている人が書いた本。
    そんな専門分野があったんだというかんじですが、科学的に外国語習得法を研究しているようです。

    結局よくある英語勉強法の本と内容的に大差はなかったけれども、なんとなく科学に裏付けられると安心してしまう病んだ現代人だと自分を認識しました(苦笑)
    ・メッセージを理解する大量のインプット
    ・自動化(意識的な学習から無意識的な学習へのシフト)のための例文暗記
    ・外国語を学ぶから外国語で学ぶへの早期の切り替え
    ・乳幼児はすべての音を区別することが可能
    ・リスニングは他の3技能にも転移

    勉強法はあらかた見えて来たのであとは実行あるのみだ!!!

  •  本書は先にとりあげた『外国語学習に成功する人、しない人』の続編である。著者の白井さんはアメリカで長年にわたって第二言語習得の研究をしてきた人で、本書でとりあげられる問題の一つ一つに多くの研究の積み重ねを感じさせる。第二言語とは、母語に対する外国語のこと。いくつになっても第二言語という。この習得にかかわる事柄に対し、これまで多くの研究が行われてきた。外国語を学ぶのに臨界期はあるのか。インプットとアウトプットの関係はどうか。人種によっても違うのか。女性と男性ではどうなのか等々。一つ一つの問題に肯定否定の研究結果があったりして、読む側としても困惑しそうになるが、一方だけを強調することの危険性がそこからは読み取れる。子供の方が外国語学習に向いているのは、一つには遊び仲間を早くみつけ、そこで学べるのに対し、大人になればなるほど、そういう仲間をみつけにくいとか、アジア系の人々は自分たちだけでかたまってしまうので、なかなか習得ができないのだ等々、新しい見解が各所にみえる。外国語学習の効果的な方法は、暗記が大事だとか、イディオムをたくさん覚えることだとか、単文よりもダイアローグをたくさん覚えるべきだとか、インプットはもちろん大事だが、アウトプットを適切に行うことによってインプットに対する注意力が高まるとか、ある意味、常識的な意見も多いが、それをいわば科学的に証明してくれたというべきだろう。

  • (2008/9/23読了)外国語習得についての現時点での理論・学説を一般向けにコンパクトに概説。主観的な体験論と違って研究結果をふまえた常識的な内容。結論としては、ブロークンでない外国語習得を目指すならば、「大量で良質なインプット+アウトプットの必要性を感じること(実際に話さずとも、脳内リハーサルだけでも効果アリ)」が良いとのこと。

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