語感トレーニング――日本語のセンスをみがく55題 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313052

感想・レビュー・書評

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  • 「空」と「天」似たような意味を持つ言葉だが、
    "スケールの大きな「天と地」も「空と地」になると、
    一瞬「空き地」に見えて、雄大な雰囲気は消える"
    なるほど、仰る通り。
    個々には些細な意味の違いでも、文章の中に組み込まれると、
    大きく印象が変わることもある。
    言葉の持つ微妙なニュアンスの違いを楽しみながら、
    大変面白く読みました。

  • 意味とは少し違う,意味の周辺に存在している「語感」についていくつかの例を挙げて説明した本。単純な言葉の意味を超えた意味がとても奥深い。読み終わると同じ作者の『語感の辞典』が欲しくなってしまう。ちょっと残念なのは引用の例に偏りが多いこと(特定の人の話題がよく出てくる)。辞典を書くような方なのだから,そこはぐっと我慢して他の例を引用してほしかった(単に僕がその方を知らないからなのかもしれないけれど)。

  • ちょっと安っぽいタイトルだし、読み始めは小馬鹿にされた感じもあったのだけど、最後まで読むと満足できた。似て非なる言葉や言い回し(場合によっては同意語と解される言葉)の微妙な違いや使い分けについて掘り下げている。決して新しい語彙や知識を得られるわけではないのに、語彙力....というか語彙の運用能力が増した気になる。言葉の意味を知るだけでなく、言葉の使い方を知るという意味で、いろいろな発見があった。

  • 語感に関する55問があり,その解説で日本語の語感を説明している好著だ.問題はほぼできたので,ほぼ正常な語感を持っているものと感じたが,ここまで詳しく丁寧に言葉自体を考えていく姿勢は素晴らしいと思った.「語の感じ」の分類として<日常語>,<文章語>,<俗語>の3段階を挙げ,さらに<雅語>と<口頭語>を加えていたが,納得できるアイデアと感じた.

  • 普段何気無く使っている言葉。
    それでも、時々言葉の持つ微妙な語感に迷う時がある。そんな時読むとすごく勉強になる一冊。

    語感辞典もチェックしたいと思う。

  • わかりやすくて、読みやすかったです。
    各項目の冒頭についているキー・クエスチョンも、楽しくてよかったです。

  • 日本語は面白い。例えば同じような意味を持つ言葉でも重さが違っていたりするものばかりである

    「仕返し」はいたずら程度でも使えそうで、「返報」は「報復」ほど大きくはなく、「報復」は重大な行為を連想させる。
    「復讐」となると、さらに根強い恨みのこもった雰囲気が感じられる。 P.38

    仕返し < 返報 < 報復 < 復讐

    日本語の使い方について55ものクエスチョンが登場しますがどれも秀逸で面白い

    ※ブログではいくつかを紹介
    http://toyop129.blog48.fc2.com/blog-entry-1278.html

    クエスチョンの難易度はそれほど難しいものはなく楽しくすすめられるのも良い
    様々な問題を考えているとき「違和感のある言葉」「おさまりのいい言葉」に気付きます
    日本語について改めて考えてみると気にもしていなかった日本語の奥深さや味わい深さがわかります
    無意識に言葉を選択しているが「どんな言葉を選んできたのか」で文章には人柄がにじみ出るのが興味深い
    きっと同じテーマについて考えてきた文章も読んでいると誰がどれを作っているのかわかるかもしれません

    難点がひとつ。クエスチョンの回答は見開きページ内で完結したほうが親切に思う
    問題と回答のページを行ったり来たりは面倒臭いのだ

  • 日本語の、「意味」ではなくその後ろ?にある、意味だけでは説明できない語感に焦点を当てて、その使い分けについてかいた本。

    一般的な法則性とかではなくて、どちらかというと具体的にこの語とこの語はどう違う、とかなので、あんまり難しいことを考えずに読めます。

    トレーニング、というタイトルですが正直これを読んだからと言って日本語うまくなるとは思いませんが、何というか日常的に意識させてくれるきっかけにはなるかと思います。

  • おもしろかった。壮年以上の年齢にならないと「そうだ、そうだ」とはならないかも。経験と知識があってこそ語感のおもしろさがわかる気がする。あらためて言っていただくことで、こんなにも日本語を自分が選択して表現しているのかと、いまさらながら驚きです。

著者プロフィール

1935年、山形県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。国立国語研究所室長、成蹊大学教授を経て、早稲田大学教授(日本語研究教育センター所長)、現在は名誉教授。日本語文体論学会代表理事、現在は名誉顧問。主著に『日本語レトリックの体系』『日本語文体論』『日本語 語感の辞典』『日本語 名表現辞典』『日本語 笑いの技法辞典』『新明解 類語辞典』『類語ニュアンス辞典』『美しい日本語』『日本語の勘』『日本語名言紀行』など。

「2023年 『文章作法事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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