- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006030827
作品紹介・あらすじ
著者は日韓・日朝の関係をオープンな相互批判の場に引き出すことこそ相互理解の王道であると考え、隣国人の有り様に直言を投げかける。李朝以来の伝統に留意して韓国の反日意識や政治風土を批判的に論じ、日本人や在日朝鮮文化人の安易な韓国・朝鮮認識をも戒める。また時調(短歌)やパンソリなどを通して、民族のエトスの核心的な部分にふれている。
感想・レビュー・書評
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1970年代の後半から80年代の前半にかけて執筆された著者の論考を収録している本です。
知韓派の立場から、韓国・朝鮮の歴史にもとづいて、民族意識と反日感情を冷静に考察しています。また、韓国・朝鮮の植民地支配に対する反省を語る良心的な日本人のなかにも、朝鮮情勢を知らないために誤った認識に陥っている例や、在日コリアンの祖国についての認識が韓国に暮らす人びとの国家に対する意識と乖離していることなどについても、率直に語られています。
「民族意識」という概念は、日本と韓国・朝鮮の関係を読み解くための一種の操作概念と理解するべきなのでしょうが、やや無頓着にこの概念が用いられている印象があります。そうした引っかかりをおぼえるところがあるものの、おおむね興味深く読むことができました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
韓国の民族主義には2つの流れがある。1つは大統領が掲げるもので、熱烈な国際競争を生きていくために、国民に団結を求める求心天としての民族主義であり、もう1つは民族主義史観と言われるような場合の民族主義で蔑視を受け屈辱をなめた近い過去に失われがちだった自律精神と誇りの回復を図るものである。