ことり

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.76
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本棚登録 : 2081
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510228

感想・レビュー・書評

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  • このお話を気に入るかどうかは、
    主人公の小父さんに好感を持てるかどうかで決まると思うのだけど、
    わたしの場合、途中からどうにも小父さんを好きになれなくなってしまい、
    最後の方はちょっと読むのが苦しくなってしまった。

    前半部分のいくつかのエピソードはよいものもあり、
    淡々とていねいにつむいでいく様子は
    好きだった。

  • 小鳥の叔父さん。
    ポーポー語しか話せない兄との静かな生活。管理人の仕事のかたわら、お兄さん亡き後にボランティアで幼稚園の鳥小屋掃除をする。
    図書館司書への淡い想い。子取りの叔父さんという陰口。メジロ幼鳥。

    静かで、でもどこか残酷さも感じる。

  • 2016/02/17

  • 小川さんらしい静かな本だった。心がスーッと落ち着いた。
    静かで、寂しい、ひっそりとした一生だったけど、どこか幸福そう。
    ラストからもう一度最初を読み返すと、よりしんみりする。

  • ひとりで夜に読むのがぴったりの、溜息が出るくらい静かな物語。日中や人のざわめきの中で読んだら、静かな鳥のさえずりを聞き逃してしまいそう。小川さんはなんでこんなに素敵な本が書けるんだろう。小鳥に看取られた小父さん。大空に飛び出していった小鳥。始まりに繋がるラストが良かった。

  • 小鳥の小父さんが死んだ時から物語が始まる、小鳥の小父さんの物語。

    メジロの鳴き声の描写が多いんだけど、よく分からなかったので、you tubeで聞きながら読んだ

  • なぜかレビューを書きそびれていたことに後から気付く。今さら詳細は書けないけれど、淡々とした語り口調ともの悲しさが印象に残っている。

  • 小鳥の言葉を聞き取り、小鳥の言葉しか話さなくなった兄と、兄の言葉を唯一理解する弟の慎ましくも美しい日々の物語。兄が亡くなったあと、弟は兄弟でいつも行っていた幼稚園の小鳥小屋を掃除し子供たちから「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになった…暖かく、切なく、とても繊細な小鳥そのもののような人生を送った小父さんの生涯。

    読後は、大事に育てていた小鳥が籠から飛び出して行ってしまったような寂しさと余韻が残った。

  • とてもとても静かな物語。
    孤独な兄弟。兄は11歳の時に弟しか理解出来ない言葉で話し始める。
    不気味な男たちが現れる、虫や小鳥を自分の楽しみの道具としか見ない。
    兄がキャンデーの包み紙で作るブローチや、架空の旅行の荷造りの挿話が好き。
    色々な断片が悲しみと美しさで綴られていく。
    このお話好きだなあ。

  • 鳥好きにはたまらない一冊。通常の言葉を失った兄と、その言語を理解する唯一存在である弟。ふたりを繋ぐ小鳥のキズナ。どこまでも純粋に、自らの世界を守って暮らしている弟への、周囲の残酷な目。ことりの持つ、もうひとつの意味が切なく、腹も立つものの決して弟側には立てない自分がどうしようもなく。じわじわ染み入るように、入ってきました。

  • 2015/04/17
    移動中

  • 引っ越しは終われど落ち着かない日々。気分転換に図書館で借りてみた。小川洋子の作品は鎮静剤みたいな効果がある(鎮静剤飲んでみたことないけど)
    小説の世界にいる間、しばし、ほっとした時間

  • 小川洋子の小説は不思議。ありえないようで現実感がある。

  • 読んでいて、何もない人生なんてないのだな、と思った。
    小鳥の小父さんの人生は、顔見知り程度の人には退屈で虚しく思われるかもしれないけれど、彼の人生には確かに、慎ましいけれどきらきらしたものが幾つもあって、何より美しい鳥の鳴き声と兄の声に彩られていて。
    胸に染みた。
    静かだけれど、余韻の残る小説。

  • 久しぶりの小川さんの本。描かれる世界はこじんまりとしていながらも、細かな部分に広がりを感じさせ、それが綺麗な文章と調和しながら静かな優しさに包まれる。
    本来自由に空を飛び回る鳥が、自由を奪われながらも与えられた世界の中で必死に生きていく様子が、様々な組織に生きる私たち人間と変わらないということを暗示しているのかもしれない。

  • 小川洋子さんの本は、現実離れしているのに、読み進めていくうちに身につまされる思いになる。ストーリーの良し悪しはもちろんのこと、そうした世界観を作る才能は抜きん出ていると思った。

  • 小川洋子さんの本は2冊目。「博士が愛した数式」と同様に、社会の片隅にひっそり生きる人の繊細な喜びを、精緻な表現力で詠う。言葉は話せなくなったがボーボー語を話すお兄さん、小鳥を愛する小父さん、鈴虫の音に心惹かれた老人。それぞれに生き方が誇らしい。著者の彼らへの愛情が感じられる。しかし反面、それが本当に人間世界なのか、という疑問も心の隅に残る。

  • 悲しい、美しい話。家族の話。小鳥がモチーフの話。
    小鳥とは、私が持たない繊細さがあるんだな、と思った。主人公は自分を貫いた生き方をしたと思う。でも、悲しかった。

  • この作品は良い。
    美しいというより、綺麗という言葉が似合う。
    日本語がキラキラと、綺麗に散りばめられてる。小さな幸せの中に、薄っすらと悲しみが共存する本。

  • 多くの小川洋子作品と同じように、静かにゆっくりと読む作品。
    お兄さんの話すポーポー語、小鳥ブローチ、白いバスケット、、、ひそやかで、いとおしい世界があった。
    鳥好きな私としては、題名借りだったけど・・・読めて良かった。
    実家の庭に来るメジロさん、今年も元気に来てるかなと、ふとあのかわいらしい鳴き声に静かに耳をかたむけたくなった。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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