- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022513106
感想・レビュー・書評
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ほろっとする話もあれば、ゾワゾワ怖い話もあったり、名義それぞれで作風も色々で粒揃いでした。どのお話も余韻が残り、その余韻の味わいも様々。
最後のお話、「エヴァ・マリー・クロス」を読み終えた後の変な動悸がまだ治らない。。
お気に入りは、「山羊座の友人」と「宗像くんと万年筆事件」。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ストーリーテラーなのは間違いない。初期の乙一はいろんな物語が混然一体となっていた。やがてその物語の傾向によって乙一は分岐していく。分岐した乙一が久しぶりに一堂に会したのがこの本だ。小品ばかりなのが物足りないけれど。ストーリーテラーなのは間違いない。それは揺らぐことがない。でもたぶん、彼の興味は物語を紡ぐことそのものにあって、物語で何かを伝えたいという想いはあまりない。ような気がして仕方なかった。
という意味でも、テイストとしては山白朝子さんが好きだ。
いつも弱者が主人公。物語はそこから始まる。 -
乙一・中田永一・山白朝子・越前魔太郎、解説に安達寛高。
4人の著者の、うん?
まあ、分かる人だけニヤリとしようじゃないか。
家内制手工業…。
異色なアンソロジーに間違いない。
中田永一が2本とも好み。表題作「メアリー・スーを殺して」。厨二秒を抱えた人にはぷすぷす刺さるんじゃないかと。同人通った身にはあうあうしましたね。 -
最初、「乙一」しか目に入らなくて、アンソロジーかと思っていました。しかし、ちゃんと見たら「乙一」「中田永一」「山白朝子」「越前魔太郎」て。しかもご丁寧に解説は「安達寛高」。もう!ばか!すき!
乙一「愛すべき猿の日記」父の形見のインクの瓶から始まるめくるめくステップアップストーリー。やり出したらえええ、そんなばかな、というほどどこまでも突き進んでいくタイプの主人公ですね。「僕はまだ十八歳だぞ。」がやけにおもしろかった。
乙一「山羊座の友人」コミックの方を先に読んでいたのだけど、やっぱりおもしろい。コミックスもよく表現されていたけど、原作だと文章のユーモアがぴったりはまってやっぱりいい。妙に爽やかな印象だけどどこかすっきりしない読後感は相変わらず。
中田永一「宗像くんと万年筆事件」小学校の事件ってなぜこう胸をくすぐるのだろう…。場所が「学校」である以上、痛みも当然備えてはいるのだけれど。夏川さんはちょっとかわいい。しかしこの先生はだめだな。宗像くんシリーズの続きを待ちたい。
中田永一「メアリー・スーを殺して」わかりすぎて痛む心を痛快に救済してくれるが如き、輝けるストーリー。やり出したらえええ、そんなばかな、というほどどこまでも突き進んでいくタイプの主人公その2。
山白朝子「トランシーバー」いい話だ。苦笑するしかない子どもの口ぶりがいい感じに微笑ましく、ただの感動話で終わらないようにしてくれている。
山白朝子「ある印刷物の行方」3DプリンタとSTAP細胞。もっと怖い…現実味のない終わり方をするのかと思っていたけど、思いのほか現実的な結末だった。
越前魔太郎「エヴァ・マリー・クロス」『魔界探偵 冥王星O』懐かしい…。
やっぱり「乙一」の話が好きだなあ。次点で「中田永一」。 -
4人の作家さんのアンソロジー本かと思いきや、書いている人は全部同じ。作品のテイストによって名義を変えているそうです(ちなみに、解説の「安達寛高」も同じ人)。
どういう基準で使い分けているのかはいまいち分からなかったけど、私の印象としては途中まで白乙一、最後の2作品が黒乙一っぽいと思いました。
まぁ、黒乙一はもっと容赦なくグロいんですけどね。でも、「印刷物」や「人体楽器」の描写はなかなかショッキングでしたよ・・・。
この中で一番好きだったのは、表題作の『メアリー・スーを殺して』。ラストに希望と可能性を感じるお話は、読後感がいいですよね(真っ白な気分になれる)。
『山羊座の友人』と『宗像くんと万年筆事件』は学校が舞台なんですが、色々と切なかったです(この年頃の子達にとっては、狭い世界が全てでいっぱいいっぱいなんだな、とか。大人は味方じゃないんだな、と思って)。 -
豪華メンバー(笑)によるアンソロジー。名義がちがっても、どれもこれも乙一らしい作品で、長年のファンとしては読んでてたのしかったしうれしかった。
時事ネタや最新技術も入っていたりして。
安達さんによる解説が客観的でおもしろかったです。 -
これはある意味奇跡のアンソロジーだ。
「悲しみ」というものを「4人」の作家が、いろんな角度からいろんな深さで描いていて。そしてそのどれもが全て美しい。水彩画の美しさではなく幾何学の美しさでもなく混沌とした原色の渦の中にある透明なガラスのような美しさ。
美しくて面白い。久しぶりに小説の中に入り込んでしまって、今、自分がどこにいるのかわからない感覚を味わいました。 -
7編収録してある短編集。学生時代に「山羊座の友人」を読了しており、乙一さんが好きだったのとタイトル、表紙が気に入り、手に取りました。タイトルの「メアリー・スーを殺して」が面白く、幻夢にふさわしいと感じました。他の短編も面白く、様々なストーリーが楽しめます。乙一さんのファンにはおすすめです。