坂の途中の家

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.77
  • (166)
  • (357)
  • (235)
  • (37)
  • (13)
本棚登録 : 2304
感想 : 330
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022513458

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公と被告がごっちゃになって、それに加え自分の育児辛かったことも思い出し…(書き忘れ)

  • 夫、義母、小さな娘と向き合う女の
    心持ち、苛立ち、驚き。
    気持ちの揺れがリアルで
    共感できて。。。
    ああ。。。そう、そう。
    たまらなかった。

  • 寝かしつけても起きて来る、全然言うことをきかずに泣き叫ぶ。子育てが終わってしまえば、そんな苦労も笑い話になるけれど、夫婦共に育てたとしても、子育て中は時折強い孤独感に襲われる時がある。この小説に感情移入してしまうのは、誰しもこの物語の登場人物になり得てしまう危険性を自らの経験を通じて知っているからではないでしょうか。

  • こんなに子供にあたるとはひどい。。。あーちゃんがかわいそうだったのと旦那が最低と思った

  • おそろしかった。
    自分には夫も子供もいないのに、まるで自分のことのように思えた。八日目の蝉もまだ読んでいないので、ぜひ読んでみたい。

  • 杉江松恋さんが2016年のベストミステリーと推されていたので期待して読んでみました。

    裁判員候補者として選ばれた里沙子。乳幼児の虐待死を巡るもので、都内に住む30代の女性が浴槽で8ヶ月になる長女を死に至らしめた事件であるという。現在の里沙子は専業主婦で、2歳になる娘の文香の育児に追われている。自分とさほど代わらない立場の人が裁かれる場にいるということに不安を覚えつつ、彼女は毎日裁判所に足を運び始める。

    途中、重いのでくじけそうになりましたが
    心理描写が凄いですね、よくあてる霊能者、占い師みたい
    角田さんのホームドラマっぽいのは読んで好みでなかったけど、こういうミステリータッチは好み。

  • 飛ばし読み

  • ‹ブックデータベースより›
    刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。

    ーーー
    乳幼児を浴槽に落として溺死させた事件の裁判員となった里沙子。
    その裁判を通して、今までしっかりと意識してこなかった自身の結婚生活や育児の「違和感」を見つめなおします。
    自分を助けてくれる、まっすぐな人だと思っていた夫の「悪意」を感じ取るようになったり、聞き分けのない娘にイラつく自分を被告人と重ねておびえたり。
    主人公が悩んだりイラついたりする場面が精密に描かれていて、読んでいて苦しくなることも。

    自分が恋愛相手にしてしまうかもしれないようなこと、そして相手がそのことに対して嫌な思いをするとしたらこういう思考経路をたどるのだろうな、ということも想像できて、ある意味「勉強」にもなりました。
    「傷つける」つもりはなくても、相手が傷つくことはあるのだ、ということを改めて感じます。

    とりあえず、恋人ともめているときに読むのはお勧めしません。

  • 面白かった。
    子供を殺してしまった母の裁判員に選ばれた主人公が彼女と自分を重ねて見ている、と重い内容で読みながら苦しくなったりしたけど読む手を止められなかった。
    苦しい苦しいと思いつつも一気に読んでしまった。

    小さな子供がいるわけじゃないのに思わず自分も体感したかの様な錯覚。
    読み終わって思わずふーと一息。
    この後の主人公が幸せでありますように。

  • こんなに読者で苦しい気持ちになったのは初めてに近い。
    辛いのに読むのをやめることができない。不思議な感覚だった。

    補充裁判員に選ばれて
    同じ小さな子どもを育てる女性として
    自分と被告人とを重ね合わせて
    子どもや夫との関係に自問自答していく姿は
    心が凍りつくようだった。
    自分も知らず知らずのうちに、
    逃げや心に蓋をして見て見ぬふりをして
    やり過ごしているのかもしれない。
    こうやって裁判という形で
    否が応でも向き合って自分を投影するうちに
    見えてくる目を覆いたくなる現実もあるのかと。
    胸にずしんとくるものを抱えての読了となった。

    八日目の蝉や神の月
    といい、ぐさりとナイフを突き立てられるような話。書いている作家さんはよほどタフな方なのだと思う。

  • 言葉って、ほんとうに難しい。
    何気なく発した一言が、思った以上に相手にマイナスの感情を引き起こし、すれ違い、誤解を生み、疑念がふくらみ、ついに最悪の事態に至って行く・・・
    言葉の持つ重みを、改めて感じさせられた話だった。

    しかし、裁判員を務めるのは時間的拘束もさることながら、精神的にかなり重たそうだ。

  • 「乳幼児の虐待死事件をテーマ」にした、これまたダウナーな作品。
    裁判員に選ばれた主人公が、夫との関係や育児に苦労する自分自身と被告人の境遇を重ね合わせる心理描写が抜群にリアルです。

    どの家族も抱えてそうなボタンのかけ違いには、全子育て女性が共感すること請け合い。
    男である私も思わず「あるある」と膝を打ちそうになりました。

    虐待死というテーマに関しては、最終評議での主人公の言葉が、同様の事件に対するフェアなものの見方として印象に残りました。

    「わたしはやはり被告人に同情します。両親、夫、義母、友だち、医師や保健師、ほかの母親たち。ひとつボタンを掛け違えたばかりに、みんな、声も届かないほど遠い人たちに思えて、助けを呼ぶ声がどうしても出なかった。それはけっして見栄でもプライドでもなかったと思います。自分ひとりがどうしようもなくだめでおろかな母親に思えたんじゃないでしょうか。そのことをもうだれにも指摘されたくなかったんじゃないでしょうか。そして、助けを呼びたいのに呼べないことに、身近な人はだれひとり気づかなかった。そのことはわたしは同じ母親として心から気の毒に思います。だからといって赤ん坊を水に落としていいはずがない。同情できないのは、その一点のみです」

  • 裁判員制度と虐待。
    ホラーですね。

  •  突然選ばれてしまった裁判員裁判。補充とはいえ、幼い娘・文香を義母に預けてまで毎回裁判所に通わなければならなくなった里沙子。しかも対象となる事件は、自分と同じ専業主婦・安藤水穂が、幼いわが子を湯船に落として死なせてしまうというものだった。

     報道を見ても、他の裁判員の意見を聞いても、「夫や周りは協力的だったのに、水穂一人が悪者」といった意見が大多数の中、事件に関する証言を聞いていくうち、もしかしたらこうだったかもしれないではないか、なぜその言葉の裏に潜む悪意を誰も理解しないのだと、自分と重ねて水穂に肩入れしていってしまう里沙子。文香へのしつけのつもりが、ちょっとしたタイミングの悪さで夫に虐待扱いされてしまうなど、あまりにも水穂のケースとリンクする出来事が多く、里沙子の思考は致し方ないものであると思うし、読者側も、里沙子や水穂に共感を覚えてしまう人は多いのではないだろうか。夫のものの言い方が、額面通りにとらえていいのか、暗に批判する気持ちが含まれているのか。最後になってもどちらが正解だったのかわからず、読み終えてからも里沙子のように悩んでしまった。当事者にしかわからない悪意というのを描くのがうますぎる。

  • 3.5 なかなか理解しにくい話し。でも終盤は先が気になってどんどん読みすすめました。男性には共感しにくいのかな。

  • 延々と心の闇が押しては引く波のように繰り返される内容に辟易とした。
    確かに何がしたいでもなく、ただ相手を傷付ける夫というのはいそうではあるが、そういう人間社会にある闇を表現するのにこれだけの長いストーリーに仕立てる必要は感じられなかった。
    なんとなく宮部みゆきの『ソロモンの偽証』に似ている感じを受けた。

  • 角田さんらしく、なんともいえずリアリティのある本。テーマは育児と夫婦関係といったところか。結婚して子供を育てたことのあるる人なら共感するところが多いだろう。夫婦関係って、本当に対等であればよいですが、実際は力関係があって一方が相当我慢している、といったことがあり、それが歪を産んで取り返しのつかないことになる、というのはあると思います。難しいですね。あと、主人公の子供の女の子はかなり手が焼ける子で、これを読んでいると子供やいやになりそうですね。いくらイヤイヤ期だからといって、これはひどすぎだと思います。

  • 2017/4/16

    主人公の気持ちがよくわかりすぎて、すごく身近に感じた。
    裁判員裁判の話のようで、本当は夫婦の話。弱い人は自分の弱い部分を隠すために相手を蔑む。
    どうして夫という生き物は妻を孤独にして追い詰めるのかという疑問の答えはそれ。
    最後に主人公が少し報われたように思えて、少しすっきりした。

  • 2017.4.8

  • どうか幸せな最後でありますようにと祈るように読みました。
    子育て中のお母さんだけじゃなくて、いろんな人に読んでもらいたい。
    水穂が起こした裁判員裁判に参加していくうちに、自分の置かれている状況と重なっていく描写がリアルでした。
    子育て中に追い詰められる人って少ないのかな。私はよくわかったけれど。。。

  • 幼い我が子を死なせてしまった水穂と、その事件の裁判員となった里沙子。
    似ている点が多く自分と被告人との境目を徐々に見失っていく様子には、角田さんの小説だからこうなることはわかっていたのに苦しくてたまらない。
    子や夫や義母や実母に苛ついてしまうのはどこまでが普通でどうなったら異常なんだろう。そんなのは測れないし客観視するのも難しい。結婚も子育ても私には無理だ、と思ってしまった。私には角田作品は影響力が大きすぎるな。いつも感想が本そのものではなくて自分のことになってしまう。その没入具合が好きではあるのだけど。

  • 2017年読了

  • 子育て
    夫婦の関係
    育児中の環境
    裁判員裁判
    どれもシンドイ

  • 一気に読めた。ところどころ説明が長かったり、同じようなことの繰り返しで読むスピードが遅くなったり、億劫になったりしたが、基本的には、裁判員の補欠になり、それをきっかけに、主人公の気持ちの揺れ方、夫、娘、両親、義母・義父、友人との関わり方について考える機会を通し、自分自身の結婚生活、育児、社会とのかかわり方を見つめなおすという経緯が伝わってきた。

    関わった事件は、母親が育児ストレスか、周囲とのかかわりが持てなかったか(夫、義母含め)育児に対して自信を無くし、子どもを風呂で水没させてしまった事件。
    自分も2歳になる子供を持つ主人公里沙子が、被告人と自分を重ね合わせ、裁判員制度に関わっていく話。

    被告人の環境を推測し、客観的判断をしなければならないが、つい自分の結婚生活、育児、周りとの関わり方を重ねてしまうのは仕方がないが、里沙子自身、会社を辞め、育児に専念し、夫陽一郎に気づかっての生活、夫や義母からのプレッシャーなど、事件にかかわるまでは見つめてこなかったことを考えるということで、言葉にし、自分がどうありたいのか分かっていくことになって、いいきっかけになったと思う。

    気付かないうちに愛されている、大事にされていると思い込んでしまうが、母親・義母・夫にしても相手をおとしめ、傷つけ、そうすることで自分の腕から出ていかないようにしている。みんな、自分よりも賢く、成長していくことを阻むかのように、アドバイスをしているつもりが追い詰めていることになぜ気づかなかったのか。
    大事なのは、やはり自分で考え、どうしたいか言葉にすること。それを相手に伝える。話をすること。
    出来ない関係なら、そこまで。相手に合わせて依存を始めた段階で、関係は上下になり、家族であっても崩れる。

    裁判員は色々な年齢、立場の人の意見が聞けるし、今まで家の中にいた里沙子にとっては、夫から能力以上だと言われても、最後まで辞めずに続けたこと、被告人の判決までちゃんと聞けたことはとても成長になったと思う。離婚するのか、どうするのか、働くのか、働かないのか分からないが、新しくスタートしようとする終わり方でよかった。

  • 図書館で借りて半分しか読めなかったけど次予約の人がいるので一旦返却。198ページまで。まだ半分。面白い。また予約して一回りしてきたら続き読も。

    2017.4.15読了。重くて深い。思ったのは、小さい子どものイヤイヤって、ほんとイラつくよなってこと。だからと言って殺していいわけではないと作中の裁判でもまぁその通りの結果になったのだけど。これから子どもを持つ人は、子どもは寝ないし泣くし絶対出して欲しくない日に熱出すし疲労困ぱいで帰った日に限ってわけわかんない理由でかんしゃく起こすし叱るとなんなのこの人って目で睨んでくるものだと思っていてほしい。それでもそれを上回る幸せをくれるけど、それは贈り物だと思ってまずは頑張れ。

  • 夫と娘と三人で暮らす主婦、里沙子。ある日裁判員に選ばれる。我が子殺しのその裁判が進むにつれ、被告の女性と自身とが重なっていくようになり…。子供を産み育てた女性なら誰でも自分を投影してしまうような内容で、辛くなるけど、でもどんどん読めてしまう。無意識に閉じ込めないいた現実を突きつけられ、もう二度と元には戻れなくなる主人公が、それでもラスト清々しいと思える。とにかく読み応えあり。

  • 2歳の少々癇癪持ちの娘を育てながら
    裁判員の補欠に選ばれる
    旦那は娘の癇癪も見た事も無いし
    子育て特有のイライラも知らない
    公判中の子供を死なせた母親と
    無関心だった父親を探りながら
    自分の家と対比して見てしまう
    主人公
    ビールを飲み過ぎるシーンが
    印象的

  • 一気読み  今の自分の現状とマッチしすぎていて心が苦しくなってしまった
    母との葛藤 娘との葛藤がリアルすぎる
    吐き出せなかった思いをまさに代弁していて、これだから読書はやめられない

  • 3歳の子供を持つ父親としては、大変に衝撃的な作品であった。あまり事前に作品情報を知らないままに読み進めたが、最初は裁判員制度を題材にした話かと思いきや、多くの思惑がからんだ複雑な展開を見せ、最後まで楽しめた。
    とはいえ、ちょっと救いがない終わりに見えて、★5までは届かず。すごく面白かったんですけどね。

  • じわじわと恐ろしい。
    私は子供はいないけど、やはり結婚して旦那との会話で同じようなことを感じることはあった。
    誰にでもあることなのが、実感わきすぎてつらい。

全330件中 151 - 180件を表示

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

角田光代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×