朔が満ちる

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022517678

感想・レビュー・書評

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  • 毒々しい感じの表紙
    父親からの暴力にたえる母と息子
    目が見えないと叫ぶ妹
    斧を振り上げ父を殺そうとする息子

    ここまでは、あっと言う間に読み進み
    さぁどうなるのか?と思ったら…

    丁寧に描かれてハッピーエンドだった。

    すごく良い終わり方だったけど
    そんなにうまくいくかなぁとか
    思ってしまう私は歪んでるのか?

    私も末っ子だからか?
    妹が目が見えないフリをしてたのは
    すぐに分かった
    末っ子はある意味、上手に生きていけるんよね

    お母さんの行動が、いちいちムカついた
    暴力をふるう父が最悪なのは
    もちろんだけど、とめたり逃げたり
    守ったりできんもんかなぁ?
    しかも原因はお前だろ?

    こういう人っておるよね
    私には理解できないタイプ

    梓の行動がリアルでよかった
    伯母さんと梓は似た系だよね

  • 家には秘密がこもる。その家族だけが抱えている秘密が。あらわにならなければ、その秘密は腐臭を放つ。この家もかつて、そうだった。母はその秘密を消すように、僕が家を出た後、必死であの出来事の痕跡を消してきたのだ。(p249)
    2022.01.07

  • 父親の暴力から生き残った主人公史也、生後わずかで児童施設にの門前に捨てられたヒロイン梓の偶然の出会により救われていくという話、二人とも親の虐待と育児放棄から逃れたサバイバーだったのだ。最近の児童虐待のニュースの多さから生まれた物語だと思うが、題名が納得いかないしやや偶然が多過ぎで詰めも緩い、きっとこのカップルは児童虐待も育児放棄もするようになると思ってしまう。この作者は「ふがいない僕」もそうだったけれど後半の詰めが甘いような気がしてしようがない。

  • 虐待を受けている子供、受けた子供が今も生きてることを再認識した。親は選べないんだなと。
    社会では、人と表面的に接することが多いので、小説は人間を深く表現していて貴重な芸術と思った。
    テンポが早く読みやすさはあるが、一つ一つのシーンをもっと細かく描いた方がもっと印象に残る作品になったんじゃないかなと思った。
    それぞれが有している社会にそぐわない何かを持って生きていくには相応しい人との関係が必要なんだと強く感じさせられた

  • 2021/07/15リクエスト

    窪美澄の作品は、好きなものもそうでないものも、もっと心の奥をえぐられるようなものが多かったが、これは最初を読んだ段階で、なんとなく次が予想できて、ラストまで予想できる、彼女らしくない作品に感じた。

    史也は酒を飲み暴れることの多かった父親を憎み、薪割り用の斧で殺そうとした。
    ところが斧の反対側で切りつけていたため致命傷にはならず、障害を負っただけだった。
    地域の駐在さんがいい人で、この家の抱える問題を知っていたため、お父さんが階段から落ちたんだ、と決めつけてくれた。そのおかげで、犯罪者にならず罪を償わず、弘前の叔母のところに居所を移し、その後東京の大学に進む。
    どうして妹は、兄の史也と一緒におばさんのところに行かなかったのか。
    どうして母は、この父を捨てて逃げなかったのか。

    ところどころ、腑に落ちない展開で、すっきりしない。

    なぜか東京で同じ出身地で同時期に虐待を受けていた2人が出会い、結びつき結婚する。
    虐待を生き延びた、妹も同時期に結婚する。
    最後は幸せな感じになるけど、安易すぎる感じの展開。
    叔母さんはどうして病気になって入院し、退院したのか。そのエピソードは必要だったのか。

    全体的にサラッと読めるが、特に印象的なところもなく、だからといって虐待を受けていた人が読んだら、こんなふうにうまくいかないよ!と思うかもしれないし。
    どっちつかずな感じで読了。

  • 24年1月11日読了

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00619681

    かつて中学1年の時に僕は、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、遂に斧で殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の千尋との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
    (出版社HPより)

  • 父の付き添いで病気にきて本を読んでいたらメンヘラということばが出てきた。メンヘラ?調べてみたらメンタルヘルスメントの略らしい。
    特徴を調べてみたら、ヨアソビの夜に駆けるの主人公のような症状だと思ってしまった

  • あらすじ通りの内容で"決別"と"再生"の物語。
    酒に酔った父からの壮絶な暴力。
    母と妹を守る為、13歳の史也は
    父を殺すしかない!と父親に斧を振り上げる…が?
    そして現在28歳の史也は
    東京でカメラマンとなり
    自分と同じ匂いのする看護師の梓と知り合う。
    梓にも秘められた過去があり。
    2人は徐々に自分自身の過去と向き合い、
    お互いを支えとして心の傷を乗り越えようと
    現実と対峙する。

    自分の感情には嘘をつけないし、
    それを踏まえて未来に進めばいい。
    痛みを知ってるからこそ大丈夫と…思う。

    2人の未来に幸あれ!(b^ー°)


    面白かったわ(゚д゚)(。_。)ウン

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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