ラウリ・クースクを探して

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022519269

感想・レビュー・書評

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  • 24/01/04読了
    ラウリを探し、その人生を紐解く物語。
    ミステリランキングに入っているのが謎だったのですが、読み終えて納得。よいラストだった。

  • 170回直木賞候補。読みやすかった。なにごともなし得なくて、なにものも残さなかったとしても、みんなちゃんと生きている。私もそういう一人。みんなそういう一人。良かったです。

  • 東欧の小国エストニアの学校で黎明期のプログラミングを学ぶ少年少女。

    全体主義国家ソ連の崩壊に翻弄されながら、真摯に力強く運命を切り開いてゆく。

    長年のわだかまりが解ける大団円に、彼らの幸福を願わずにはいられない。

  • 「国とは領土ではなくデータである。データさえあればいつでも、どこからでも国は再興できる。」という、ソ連に翻弄された小国エストニアだからこその発想。大国には真似できない国の在り方を知って、なんというか…唖然とした。あー、世界史の知識が足りなさすぎ…。

  • 結構前に読んだのに登録し忘れていた…
    ただの回想話かと思いきや二度三度と思わぬびっくりな展開があったり、パソコンと言う人情とは最もかけ離れてるデジタルな物が繋ぐ大人の青春ストーリー。

  • 三冊目の宮内悠介。どうしてこの小説家はこんな物語の舞台と主人公を設定出来るでしょうか?「あとは野となれ大和撫子」の中央アジアの架空の王国アラルスタンの後宮での日本の少女の大活劇、「かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖」では大正時代の実在の芸術家の集まり「パンの会」での芸術青年たちの推理劇…今回はデジタルガバメントで存在感を増すエストニアでのコンピュータを巡る青春劇です。もしかしたら一番、不意をつかれたかもしれません。道具立てがBASICを使ったMSXでのゲーム作り。その頃起こり始めた世界のコンピューターオタク第一世代のシンクロニシティです。ただそれがエストニアというソビエト連邦に連なる共産国を舞台にしていることが特異な物語となっています。現在のIT立国まで至る縦糸が,ソ連の崩壊、エストニアの独立という変化という横糸と編み合わされて唯一無比の物語になっています。しかし主人公たちの喜び、恐れ、怒り、傷つき、後悔、喪失はなんらこちら側と変わらなく普遍的なものです。だから胸苦しくなるのです。三作読んで、なんとなく気づいたのですが…もしかしたら作者は見た事も無いような舞台で、青年少女が大人になっていく、という永遠のテーマを描いているのかもしれません。そして翻って考えると、あちら側、こちら側というボーダーはなくなり、もはやこの小説を読んでいる日本という国も内乱のアラルカンや大正デモクラシーど真ん中の時代や独立直後のエストニアを特殊な舞台と言っていいの?ってことを言っているようにも思います。ウクライナ戦争やガザ地区を彼岸と思っていることに揺さぶりをかけてくるような気がします。

  • 久々の一気読み。国籍で壊れていく友人関係。そもそも国籍って何?区別しなければならないもの?一緒に生きていてはいけないの?自分の力ではどうにも出来ない社会情勢に翻弄された才能ある若者達。今世界中のみんなで読みたい一冊でした。

  • ラウリ・クースクはエストニアで生まれた。言葉を話すのが遅かったが、鉛筆と紙を与えるとおとなしく数字を書き連らねた。千を超えても万を超えても上機嫌に数字を書き続けていた。五歳の時に、父親が勤め先から壊れたTRS-80のコンピュータを持って帰って来た。数日父親があちこちをいじっていたらなんとか直ったようで、ブラウン管につないで電源を入れると黒地に白の文字が浮かび上がった。それからラウリはコンピュータにとりつかれた。学校に行くようになると算数はともかく国語ができなかった。そして学年が進むとロシア語が入って来た。ロシア語が嫌でたまらなかった。学校にコンピュータが入ってきてラウリは得意なものができた。そんなラウリに担任の先生は、放課後コンピュータが置いてある部屋を使っていいと許してくれた。ただし、そのかわりロシア語を頑張ってもらわないといけないと言ったが…。コンピュータの好きなラウリが動乱期のエストニアでどう生きていったかを描く。

  • 現代の天才、だと勝手に思っている宮内氏の新刊が出た。本作、大作というものではなく、気軽に読めるものだが、素朴でかつ非常にリアリティある現在進行形な物語、他にありそうで無い何故か涙無くして読めない友情物語だった。
    何気ない日常が、国家や時代で切り裂かれてしまう、という話は物語としてはよくあるかも知れない。よくあるかも知れないものを、改めてさらりと描いてしまい、何かしらの新鮮さが付加されているのが、ある種の宮内氏の得意とする表現の一つなのかも知れない。
    エストニアがIT先進国であるのは今や有名だが、バルト三国とロシアの歴史は個人的に知らない事が多く、2023現在も進行中のウクライナ戦争にも繋がる、学びだった。
    余談で内容と全く関係ないが、クラブでかかっている音楽がドラムンベース、というのがまたリアリティと時代性があり、さすがだなーと思った。

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著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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