人が見たら蛙に化れ

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022576866

感想・レビュー・書評

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  • 骨董に関わる人達を描いた作品。といって美術館に並べられたり一点数千万もするような品々の世界からは遥かな下方、埃まみれ泥まみれでごそごそと蠢く人間に焦点を当てているのが村田さんらしい。
    ガラクタ紛いの品物を売り買いする骨董品屋、旧家の蔵に眠る掘出し物を探して回るハタ師、埋もれた窯跡を人目を盗んで掘り返す堀り師、縁遠い世界を覗き見ているようで楽しく、掘出し物を発見する場面には胸が高鳴る。
    三組の男女の行方は何とも苦く、進んでいく女の後ろ姿の強かさと置き去りにされる男達という構図にも村田さんらしさが光っている。

  • 現代の「宝探し」物語。
    なりゆき上仕方ないのかもしれないが、できればハッピーエンドになってほしかったなぁ。

  • 村田さんの作品 初めて読みました。
    楽しかったです。

  • 美に魅せられた人たちの悲喜こもごも。
    骨董や絵画の世界でそれを生業として生きるというのは対象がつくられて何百年何千年経ってる可能性があるわけで、その途方もない力や美しさを目の当たりにしているのだからさぞやご本人たちも美しいと思ったらそうでもない。むしろ、美しいものを前にしても人間が生活することのつらさとか汚れとかが際立って目が離せない。どんなに美しくてもモノはモノ。汚くて目を背けたくなっても惹き付けられてしまうのは、生身の人間の儚い生の方なんだなぁと思ってうれしいようなむなしいような。
    登場人物たちには、どんな職業についていてもいいがとりあえず困ったときのために貯金はしとけと言いたい。

  • (2001.06.10読了)(新聞連載)
    (「MARC」データベースより)amazon
    幻のお宝を追って、九州の山里から萩、ロンドン、フィレンツェへと3組の男女がさすらいの旅に出た。モノ恋いか、人恋いか、美の蛙と道行きの切なくておかしい「骨董小説」。『朝日新聞』連載を単行本化にあたり加筆訂正。

  • とても面白かったです。
    作者の美術に対する造詣の深さと、美術品の表現の豊かさによって、自分もその美術品に相対しているようなわくわくを感じることが出来ます。
    方言が聞きなれない感じで、四国あたりの県かな?と思っていたら地元が舞台のことが多く、驚きました。作者の出身が福岡でも北の方なのでちょっと方言が違うのかもしれません。

著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生まれ。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子文学賞、1997年『蟹女』で紫式部文学賞、1998年「望潮」で川端康成文学賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞、2021年『姉の島』で泉鏡花文学賞をそれぞれ受賞。ほかに『蕨野行』『光線』『八幡炎炎記』『屋根屋』『火環』『エリザベスの友達』『偏愛ムラタ美術館 発掘篇』など著書多数。

「2022年 『耳の叔母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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