- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022577580
作品紹介・あらすじ
1835年9月、英国の軍艦ビーグル号がガラパゴス諸島を訪れた。巨大なゾウガメとイグアナたちが支配する"魔の島"で、上陸者が次々と奇怪な死を遂げる。敢然と謎に立ち向かった若き日のダーウィンであったが…。『種の起源』に秘められた謎が、いま明かされる。
感想・レビュー・書評
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ダーウィンを主人公に、はじまりの島で起きる殺人事件の推理が展開していく物語。
論理展開もしっかりしていてすっきりだし、展開・構成もおもしろいので推理が読みたい時は読むとよい。しかし驚愕と引っ張りこむ力に欠けるので★3つ。 -
翻訳小説のようで、読みごたえがありました。ダ―ウィンの博物誌として楽しかったし、キリスト教と進化論の対立も興味深かった。ただ推理小説としては、犯人の少年の描写が少なく、無理があるかなと思いました。
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いろんな要素が見事に構成されている
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書いてある内容も、文章も哲学的すぎて読むにくかった。なぜ世界が存在するのか、人はなぜ他のものを傷つけるのか、なぜ愛し合うのか、その答えが見つからない時、人は狂気に走ってしまうのでしょうか。
しかし、狂気に走るのも人間だからだ、と考えた時、神という存在こそがひどく恐ろしい存在に思えました。 -
科学がもたらす残酷な真実に耐えられない人たち、というモチーフは岡崎二郎にも通じる。ミステリの骨子は凡庸だが、舞台設定や構成が面白い。7.5
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睡眠を忘れて一気読み。
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柳広司はジョーカーゲームではまりました。
それから同氏の本を借りては読みを繰り返したなかでこの本に出会いました。
私はもともとミステリーはあまり好きではないのですが、柳広司の本は別でものすごく楽しく読めます。
もともとある独特の空気にプラスして、航海・船乗り・迷信といったような要素が加わっていてなんともひきこまれました。
再読します、もちろん。 -
図書館でパラパラと中を見て、ビーグル号とダーウィンの話だな、と思って借りました。
まあ、そうなんだけど、ちょっと違った。
その設定の上に想像力たくましく作り上げられた、娯楽要素と知的要素がほどよくブレンドされたミステリー、という感じでした。
「種の起源」を発表し、世に物議をかもしていたチャールズ・ダーウィン。
ビーグル号での世界探索の旅の中でいったい何があったのか、どんな「悪魔の囁き」を聞いたのか、英国国教会の関係者がビーグル号に同乗していた一人の男に話を聞きに行く。
そこで語られたのは世界のさいはての島で起きた、驚くべき事件だった――というお話。
隔離された島の中での殺人事件は、クリスティの「そして誰もいなくなった」のようであり、ダーウィンとアールのコンビは、ホームズとワトソンのようであり、なんだかミステリーの王道的展開。
謎解きもなかなか面白いのですが、未踏の地に踏み込んでいくイギリス人たちの混乱や恐怖、動揺ぶりこそ興味深い。
結構な厚さの本ですが、一気に読めました。
ダーウィン自身の苦悩に、もっと重点をおいてもよかったかも。
そこがちょっと物足りなかったかな。 -
進化論に行き着くまでの様子や,文化の違いを起因とする考え方の違いという部分は面白かったけど,引き込まれる感があまりなく,あれれ?と思っている間に終わってしまった。
トーキョー・プリズンのような,ぞくっとする感じが無かったかなあ。 -
割とさくさくと読み終わった。面白かったし、思ったほど嫌な気持ちにならなかった。
ただ典型的なワトソン役の人物の言動って個人的にはあんまり好きではないのでそこはちょっと辛かった。 -
最近柳広司にハマってます。でもジョーカーゲームは読んでないんですけど(そこ失格じゃない?)
ダーウィンが若かりし頃、ガラパゴス諸島を探検してる間の悲しき事件。
人の善意、良心ってのは時には凶器と狂気になるんだなぁと。
ちょっと切なくなったお話でした。
ゾウガメって本当に美味いのかなー?(そこ?) -
ガラパゴスで起こる事件をダーウィンが解決するという本作。どうも歴史ミステリっぽいなあ、と、歴史ミステリがあまり得意じゃない私は思ったけれど、あまりそんな感じじゃなかった。予想外にとっつきやすくて、しっかり本格ど真ん中。孤島の連続殺人・ミッシングリンク・アリバイ問題と盛りだくさん。舞台がガラパゴスなのにもちゃんと意味がありましたね。
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おもしろいけど、気迫に欠ける。
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昔読んだ翻訳ものを思い出させる文章。
「ダーウィン」でなくちゃいけない必然性。
仕掛け自体は目新しいものでなくても、
なんだかわくわくしながら読めた。 -
最近はまった、柳広司です。ダーウィンがビーグル号でガラパゴス諸島に行ったときのお話しです。次々と起こる事件に、「そして誰もいなくなった」な結末になったらどうしようと悩んでいました。私にとって、ダーウィンの言ったことは当たり前なことなんだけど、当時の人々にとっては、もうそれは「毒」になりうる危険なものだったんだと、少しわかった気がしました。■世界は不断に揺れ動いている。
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何かの書評で紹介されていて『ダーウィンが挑む連続殺人の謎』とあったので、手に取りました。著者の作品は初読み。設定が1800年代ということもあるかもしれないけど、随所に翻訳風の会話←う〜ん、古典作品の翻訳風というか・・があって、これがまたほんとに古典作品を読んでいるかのような錯覚にさせてくれ、面白く読めた。
以前、国立科学博物館で開催された『ダーウィン展』も見たことがあり、その記憶と本の内容が絡み合って、面白さが倍増したかも。他の作品も面白そうな題材なので、これからしばらく嵌りそうな気配濃厚。 -
ダーウィンの進化論。
異文化の交流による混乱。 -
すすす、すすす、
すす・・・推理小説かよ! -
ビーグル号がガラパゴス島に上陸すると,殺人事件が〜1835年,南米探検を終えたビーグル号はガラパゴス島に船長,船長付書記,士官候補,水兵,宣教師,博物学者,画家,コック,フエゴ島出身で文明に触れて故郷に戻ろうとして失敗した3名(内・女性1名)が上陸した。コックがイグアナを調理した翌日,宣教師がウチワサボテンに寄りかかった状態で結び目を後ろにした革紐で括られた遺体として発見される。コックが行方不明になって,ゾウガメの泉で溺死した。フエゴ人女性は足音を忍ばせて近寄った何者かにより,投げ玉で頭を割られた。船長を銛で殺した鯨捕りスペイン人が島には生き残っているというのだ。銛で突かれた捕鯨船長らしき白骨の近くには,まだ新しい足跡があった。犯人は,ダーウィンや英国文明社会に触れたフエゴ島出身の少年,ジェイミーであった。彼は熱病に耐えるために秘密で呑んでいたコカで狂っていたようだ〜なかなか,面白い展開だぁね。『贋作「坊ちゃん」殺人事件』で賞を貰って,これを書いたようだ。革紐が乾いて首を絞めるというのは,北米のインディアンに伝わる拷問方法だから,謎は解けちゃうね。コカが関わっているところが,前後の作品で出てきた阿片を思い出させる
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一番初めに生まれた海 を思い出した
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ダーウィンとガラパゴス諸島と殺人事件と。犯人は予想できたのですが、動機や方法は分からなかったです。読みやすかった気がします。
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図書館の本。
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トリックにはそれほど新奇さはない。
某氏によれば「よく推理クイズなどにも出ているもの」だという。
犯人も、確実に指摘は出来ずとも、これだけ伏線が張ってあれば見当くらいはつく(事実俺も可犯人が明らかになったときそれほど驚かなかった)。
舞台も、ガラパゴス島という点は珍しいが、それは「孤島の連続殺人」であり、見えない犯人、遠隔同時殺人、関係者全員のアリバイ、動機の不存在などなど……。
オーソドックスというか、テンプレ通りの状況設定といった印象を受ける。
しかし、この作品の本当に凄いところはそれを取り巻く全てにある。
事件解決の論理には、この作品がこの作品でなければならなかったと感じさせてくれる。
ガラパゴス諸島、19世紀、イギリス人と未開部族、そして探偵ダーウィン……これらは全て必然だったということ。
この状況が全て複雑に絡まりあい、一つの解決を導くことになる。
特に「存在しないはずの動機」の真実には感動すら覚える。
これほどまでに綺麗にまとまったミステリはなかなか見られない。
一読の価値アリ。