選書947 嫌韓問題の解き方 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.25
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630476

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アマゾンのレビューでは、中身を見ずに出版社と表題だけで条件反射したとしか思えない下品なコメントが並んでいるが、韓国という国について”嫌韓本”でよく見られるステレオタイプな罵詈雑言を一度廃して考え直してみようというコンセプトには共感できるし、学ぶところも多かった。

  • 小倉紀蔵が良かった。

    樋口の章は別に参政権とかどうでもいい

    嫌韓問題の解き方が知りたいのだ。読者は。

  • 『嫌韓問題の解き方――ステレオタイプを排して韓国を考える』

    【版元】
     著者:小倉紀蔵/大西 裕/樋口直人
     ISBN:9784022630476
     定価:1512円(税込)
     発売日:2016年6月10日
     四六変判並製 264ページ 選書947

     2005年ごろから日本で起きた「嫌韓」という現象。「嫌韓本」が書店コーナーに作られたことは記憶に新しい。とりわけ、2010年以降、伝えられたのは、歪み、ステレオタイプ化した「韓国」の姿だった。
     日本に吹き荒れた「嫌韓」論調や「ヘイトスピーチ」はなぜ起きたのか。そもそも日本人は、どのように韓国を認識してきたのか。歴史的にみた韓国と日本の違いや、韓国人の意識構造、韓国政治の現実、大統領の「リーダーシップ」、エリート主義から変貌する市民社会、在日コリアン問題などを分析すると、リアルな韓国が見えてくる――。
     「韓国通」3人の学者による、客観的かつ冷静な韓国分析の決定版。
    http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18137

    【目次】
    目次 [i-iv]
    はじめに――小倉紀蔵 [003-008]

    I 韓国文化・思想、日韓問題――小倉紀蔵 009
    第1章 韓国文化の特徴とその変容 011
    1 変化する韓国 011
    変化の速い国/日欧米の変化を圧縮して達成
    2 日本人の韓国認識の変化 013
    韓国に対する意識の増加/「嫌韓」の登場/嫌韓の問題は何か/「嫌韓」が出てくる仕組み/反・嫌韓派の危うさ
    3 日本との比較、その変容 021
    問1 同じ儒教文明圏に属するか?/問2 同じ漢字文明圏に属するか?/問3 家族制度は同じか?/問4 学歴社会の歴史と実態は?/問5 中央集権体制――朝鮮王朝時代と江戸時代の違いは?/問6 格差社会・少子高齢化、その実態は?

    第2章 変化と不変化の韓国社会――エリート支配、市民の権力、道徳性 037
    1 変革とその主体 037
    軍人、民衆、市民/知識人エリートの役割/エリートの様相/士大夫型メンタリティ
    2 「北学の軸」と「東学の軸」 043
    抗日運動家への「敬意」と「負い目」/朝鮮王朝の評価と歴史観/「東学の軸」/理は封建的、気は近代的/「北学の軸」/急進的な認識で配流/プレモダン化するポストモダン/近代に抑圧された道徳の復活/「サムスンこそ実学」/韓国の二重性

    第3章 日韓相互の眺め合いに対する解釈 059
    1 韓国人は「反日的」なのか 059
    暴力的な問いに対する、暴力的な答え/インプットの問題/おおむね正常な思考回路/対日感情の構成要素/韓国新聞のウェブ日本語版
    2 嫌韓論調 068
    ベストセラーになった嫌韓本/日本保守の認識の劣化/戦前に回帰する論調/「政治が悪いから夫が浮気した!」
    3 「日韓モデル」の構築を 074
    発想の転換/東西時代に起こる「対抗近代」/韓国若者の「地獄朝鮮」/ヨーロッパの「歴史和解」/中韓がもっとも隠蔽したいこと/日韓がなすべきこと/戦略的思考が欠如する日本/官僚主導、利益誘導型/日韓共同で積み上げてきた努力/「知の共同」のための三提言


    II 韓国政治、イデオロギー、市民社会――大西裕 
    第4章 政党政治の変容――地域主義からイデオロギーへ 097
    1 イデオロギー対立の時代? 097
    なぜ党派対立が生じるのか
    2 政治とのインターフェースとしての政党 099
    政党というラベル/有権者に政策を「売る」
    3 政党組織の変化 104
    憲法的存在としての政党/政党ボスの存在しない組織
    4 政党支持構造の変化 108
    投票行動を規定する「地域主義」/血縁・地縁・学縁の切れ目/日本同様、高齢者ほど保守的/三八六世代の登場
    5 対立の果実 120
    FTA締結に反対した進歩派

    第5章 大統領の強力なリーダーシップという幻想 123
    1 韓国の大統領は強い権力の持ち主なのか 123
    リーダーシップのあり方/選出のされ方/肝心なのは説得力
    2 どんな制度的権力を持っているのか 128
    大統領と議会の力関係/家族に徴兵逃れがいないか
    3 どんな党派的権力を持っているのか 133
    選挙制度のポイント/議会との「ねじれ」
    4 超党派的権力とは何か 137
    「我々」ではなく「彼ら」の大統領/ファンクラブの支持から誕生/実態とイメージのギャップ

    第6章 変貌を遂げる市民社会――エリート主義から多元主義へ  143
    1 韓国社会は過激なのか 143
    よりセンセーショナルな動きを伝える
    2 エリート主義、包括性、アドヴォカシー 146
    国家と市民の間/政治的な志向性
    3 政治的な市民社会の登場 151
    一枚岩ではなかった民主化運動
    4 「市民なき市民社会」からの脱却 158
    市民社会内部の構造
    5 市民社会と政治 166
    インサイド戦術とアウトサイド戦術/「普通の」多元社会


    III ヘイトスピーチ、在日コリアン、参政権・国籍――樋口直人 177
    第7章 排外主義とヘイトスピーチ 179
    1 なぜ在日コリアンが排斥されるのか 179
    在特会の衝撃/在特会の拡大と停滞
    2 誰がなぜ在特会に馳せ参じるのか 182
    在特会幹部のプロフィール/保守支持層から排外主義者へ/外国人を知らない排外主義者/近隣諸国に対する憎悪
    3 近隣諸国への憎悪 189
    右派論壇の関心をみる/冷戦後の「アジアシフト」/韓国への固執/「反日勢力」への敵意
    4 汚辱の歴史を抹殺する排外主義 198
    在日コリアンの否定

    第8章 在日コリアンの仕事の変遷 201
    1 在日コリアンを見る眼 201
    歴史のなかの在日コリアン/就職差別と成功した事業家の間
    2 エスニック・ビジネスの今昔 204
    在日三大産業の変化/自営業離れという現実/エスニック・ビジネスのアップグレード
    3 自営業からホワイトカラーへ 210
    移民の立身出世物語/ホワイトカラーは増えたけど
    4 「割を食う」のは誰か 213
    戦前・戦後世代の職業
    5 格差解消の光と影 216
    三世代かかった格差解消

    第9章 在日コリアンの参政権と国籍 219
    1 十八歳選挙権の影――カヤの外の外国籍生徒 219
    法律ではなく政治判断
    2 外国人参政権の日本的本質 222
    たなざらしにされた七十年―― 一時滞在者から住民へ/宙づりの移民たち/失われた参政権と国籍/国際基準からの逸脱
    3 日韓問題としての外国人参政権 228
    「過去の国民」の権利としての参政権/外国人参政権をめぐる三つのピーク
    4 「将来の国民」の権利としての外国人参政権 232
    「将来の国民」は参政権を欲するのか/離島が乗っ取られる?
    5 国籍原理の見直しという選択肢 236
    タブー視をこえて/「コリアン系日本人」の認知/複数国籍の導入
    6 外国人参政権の過去と未来 241
    逆風の中で将来を構想する/世間の良識を引っ張る構想を

    参考文献 [247-253]

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

小倉 紀蔵(おぐら・きぞう):1959年生まれ。京都大学教授。専門は東アジア哲学。東京大学文学部ドイツ文学科卒業、韓国ソウル大学校哲学科大学院東洋哲学専攻博士課程単位取得退学。著書に『心で知る、韓国』(岩波現代文庫)、『韓国は一個の哲学である』(講談社学術文庫)、『朝鮮思想全史』『新しい論語』『京都思想逍遥』(以上、ちくま新書)、『弱いニーチェ』(筑摩選書)などがある。

「2023年 『韓くに文化ノオト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小倉紀蔵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×