ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 121
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736147

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】震災と原発事故、若者の就活、特定秘密保護法、従軍慰安婦問題、表現の自由……著者の空前絶後の傑作。日本が直面する問題を何よりわかりやすくほどき、一歩先の未来にむけて深く広く考える、大評判の朝日新聞論壇時評の新書化。

感想・レビュー・書評

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  •  2011年4月28日から2015年3月26日にかけて朝日新聞に掲載された「論壇時評」をまとめたもの。
     東日本大震災の直後からイスラム国の日本人人質事件の渦中の時期までということになる。
     膨大な読書量を誇る著者らしく、幅広いジャンルの書籍のなかから様々な文章や言葉を引用し、今まさに目の前で進行している出来事や(キナ臭い)社会の雰囲気、事件、事故等を考察している。
     その考察内容に賛同できるかどうかは別にして、きちんとバランスを保とうという強い意志を読んでいて感じることが出来る。
     勿論、たまにそのバランスが揺らぎ、アグレッシヴな顔がちらりとのぞくこともあるが、声を荒げて何かを主張するようなことはしていない。
     最初から最後まで真摯な態度で貫かれており、好感が持てると同時に、ここに展開されている著者の考察を改めて自分なりの方法で考え直してみたくなる。

  • 「人間は考える葦である」
    を 改めて 思った

    その場に立ち止まって ん? をしてみたい
    車に乗る生活が当たり前になってしまうと
    気になることを見かけても
    車を停めて、降りて
    ちょっと そこに足をとめて
    立ち止まって考えてみる
    そんな「仕組み」と 
    遠ざかってしまう

    常日頃 できれば
    「歩く速度」で考える生活でありたい

    「本」を読むこと は
    立ち止まって「考える」
    でもある

    こんな今(2015.9.17)だからこそ
    じっくり考えたい
    わたしたちは まだ間に合う
    そうありたいために
    今こそ 考えたい

  • 「民主主義ってなんだ!」「民主主義ってこれだ!」とSEALDsがシュプレヒコールしたからでもないのだろうが、改めて民主主義という言葉が注目されている。国会が民主主義を拒否している場面が多すぎるからだけでなく、実際現代が戦後民主主義の危機だから、なのだろう。

    高橋は東日本大震災の直後からたまたま朝日新聞紙上で論壇時評を始める。今年の3月までの文章を集めた。

    震災、原発、特定秘密保護法、若者の就活、ヘイトスピーチ、従軍慰安婦、などをテーマにしながら、言及するのは評論家の文章だけにとどまらず、マンガ、映画、ウェブから多く採る。その方法は正しいと思う。今さら、評論誌で世論が出来上がっていると思っている人々はほとんどいないだろう(しかし、単純意見を求めようとしていることが民主主義の破壊に手を貸していることも、人々は気づかなくてはならない)。

    閑話休題。私は、在特会のレポートを書いた「ネットと愛国」(安田浩一)で指摘されている「彼らの大半は、頼りなげでおとなしい、普通の今時の青年だった」というのに注目した。「彼らは「奪われた」という感覚を共有している。仕事や未来や財産をだ。誰が奪ったのか。それは特権を持っている(らしい)「在日」や、なぜか優遇されている(らしい)「外国人」や、権力を握っている(らしい)メディアや労働組合だ。彼らは「奪われた」ものを取り返すための「レジスタンス」をしている、と信じている。」安田浩一のこの指摘は的を得ていると思う。そしてれが「一般社会でも広がっている」という指摘は、私もうーんと頷かざるを得ない。しかし、高橋は「ほんとにそうなのだろうか」と反論する。ただ、その根拠は各々述べているが、明確ではない。(77p)

    「衆議院選挙東京第25区の候補者に会って質問できるか、やってみた」という動画を高橋は泣きながら見る。1人の無名の青年の試みを自分で撮影してYouTubeにUPしたものらしい。私も感動した。(119p)

    2014年3月18日、台湾立法院で行われた学生たちの立てこもりの一部始終の記録番組を見て、高橋はこのように感想を記す。
    「民意」をどうやってはかればいいのか。(略)学生たちがわたしたちに教えてくれたのは、「民主主義とは、意見が通らなかった少数派が、それでも「ありがとう」ということのできるシステム」だという考え方だった。(196p)

    その暮れの自民党が圧勝した衆議院選挙で、「選ぶ人も党もない」と言って棄権した森達也に共感しながらも、高橋はしりあがり寿の「とりあえず、選ぶ候補者には全く自信がないけど、「民主主義を諦めてないぞ」ってことだけで投票にいく。投票先は民主主義だ。クソ民主主義にバカの一票」という行動と共にする。私には、彼らがそこまで悩むのが不思議でならない。彼らと同じように自民党独裁を防がなくてはならないという共通認識はあるのだから、棄権は自民党を利するだけというのは分かり切っている。悩む暇はない。自民党と正反対の投票行動をすれば済む話なのではないか。しかし、私は古いタイプの人間なのかもしれない。私の周りの若者も「この一票はバカだ」ということで棄権した。流されて投票する人よりはよっぽどいいが、しかし私はそれこそバカだと思う。バカ一票を投じるべきだと思うのである。ここに高橋と彼に共感する若者と、私との剥離がある。
    2015年09月5日読了

  • 高橋源一郎という人に出会ったのも、そもそもは朝日新聞だった。

    東日本大震災で流れた卒業式の話で、なんだか、ストンと落ちたのが良くて、購入してみた。
    作家だと知らなかった。(すいません)
    最初は原発のことが多かったが、次第にそうではなくなってくる。
    もちろん、完全に消えてしまうわけではない。
    それが、今の、2015年の日本をよく象徴しているなあと思った。

    一つ一つが短くて読みやすい。
    若い人たちへの穏やかな眼差しが印象的だ。

    民主主義ってなんなんだ。
    原発と、その後ダークサイドを背負うことになった日本が、刻一刻と忘れ去ろうと試みだしていることの怖さに警鐘を鳴らす。
    ともかく、時間の限り考えましょう、と。

  • 2011年から2015年にかけて、『朝日新聞』の「論壇時評」に掲載されたエッセイ
    久しぶりに「核」のある本を読んだかな
    民主主義、なんか空気みたいになってしまって
    これではダメじゃん
    でもでもあまりにもいろんな問題が次々に
    自分の立ち位置がゆらゆらするの

    ≪ 耳すませ 小さな声に 目をひらけ ≫

  • 2011年から2015年にかけて、『朝日新聞』の「論壇時評」に掲載されたエッセイをまとめた本です。

    本書で展開される議論には大きな感銘を受けたのですが、それは必ずしも個々のテーマについての著者の「主張」に賛同するという意味ではありません。むしろ、冷静でいることが困難な時代に正気を保つための著者の「スタイル」に感銘を受けたと言ってよいと思います。「ぼくらの民主主義なんだぜ」というタイトルは、まさにそうした「スタイル」を端的に言い表わしています。著者がここでおこなっているのは、「制度としての民主主義」を学んだり批判したりすることではありません。著者が本書を通じて読者に示しているのは、自己の想像力を超えた他者の声を聴き取ろうとする「スタイル」としての、「ぼくらの民主主義」なのではないでしょうか。

    「論壇時評」という性格のため、本書には数多くの文献が参照されていますが、それらは著者の意見を補強するために担ぎ出されているのではないはずです。著者は、そうしたさまざまな声に耳をそばだてているのであり、読者に感銘を与えるのも、そうした著者の振る舞いなのではないかという気がします。

  • 証言や証拠探しに、フィクション(小説)を使うという発想に驚いた。
    それが本当に在ったことでないなら、複数の作家があちこちで従軍慰安婦の姿を小説に書くだろうか?という、問いの立て方にこそ、作家である著者ならではの嗅覚を感じる。
    早速紹介されていた本を読んでみようと思う。

  • 難しかった。でも、自分の意見とか、主張とかをちゃんと言えて、人の意見なんかも聞いて、それで世界を作っていく。
    それが民主主義なのかな??
    まだまだ勉強不足だなあ。

  • うーん、思っていたのと違うな。

    民主主義について考える本なのかと思っていたが。
    結局、反原発・反安倍だった。

    そういうことが読みたかったんじゃない。

    「ぼくらの民主主義なんだぜ」と銘打ちながら、内容は「ぼくの意見が聞いてくれないのは民主主義じゃないぜ」と主張しているように聞こえる。

    それが、イヤ。

    いやね、政治思想が合う・合わないじゃないのよ。

    どっちかというと私も原発は無ければ良いと思うし、安倍首相も強引だなと思う。

    でも、国民が間接的にせよ選んだ首相だ。

    ぼくの考えとは違うんだよなー、困ったなーと思いながらも国民が選んだんだから仕方ないかと思い弱々しく笑いながら現政権を眺めてます。

    それが民主主義だろう。

    民主主義を謳いながらイデオロギーに偏ったこの本は、ちょっと嫌な感じがしました。

    主張が悪いわけじゃないですよ。ただ、タイトルとのギャップがあるんじゃないかと。

    宗教学を学びに行ったら、 新興宗教を勧められた感じがする。

    そんな違和感を感じました。

  • 民主主義とはなんぞやと、深く示唆された内容ばかりで、勉強になった。自分なりの民主主義あみつけるために、何度も読み返すに値する本なのかもしれない。なんか明日からがんばろうかなと思うのは私だけだろうか?

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著者プロフィール

高橋源一郎(たかはし げんいちろう)
1951年、広島県生まれの作家、評論家。明治学院大学国際学部教授。1981年『さようなら、ギャングたち』で群像新人賞優秀作を受賞しデビュー。『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞、『日本文学盛衰史』で第13回伊藤整文学賞、『さよならクリストファー・ロビン』で第48回谷崎潤一郎賞を受賞。

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