衝撃! EUパワー 世界最大「超国家」の誕生

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023304451

感想・レビュー・書評

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  • EUを新しい時代の一つの国家として捉えることから、その巨大な影響力について書かれた本です。

    現在のギリシャ問題についてのカギがないかと思って読んだのですが、、、「ギリシャの加盟時に詐称したという噂が流れた・・・」という程度の触れ方でしたね。この時点ではそれ以上書けなかったってのは良くわかります。

    一番衝撃的なのは、ロシアがEUへの加盟する可能性が高く、加盟した瞬間にEUが日本の隣国になるということでした。そうなったら、どうするんだろうか?経営者や政治家は、今から考えていかないといけません。

    アメリカ、中国、EUの間で、等間隔の距離を置く外交が必要なわけですが、国際関係でバランスをとるのって日本人は下手ですからねぇ・・・。(汗)

    現在の世界観を広げるには必読です。

  • ギリシャ問題で揺れるEU。そもそも経済格差がある国々が一緒になることに無理がある、という論調も最近は聞かれるが、本書を読んで認識を改めた。このような短期的な危機は繰り返される可能性はあるが、長期的にみたら、EUという塊が経済圏として、また政治的安定をもたらすものとして、世界の中でなんと大きな存在感を持っていることか。最終的にはロシアをも含めることを意図しているというEU。もしそうなったら日本にとっても隣国となることを考えると、EUとの付き合い方はもっと真剣に考えるべきだろう。
    また、最近はTPPの議論が高まっているが、EUのような大きな経済圏と比較して考えると、日本が単独で生き残る道は、大局的にはやはり自由貿易圏に参加することなのではないかと思う。現在の日本は内向きで、どことなく孤立化の道を選択し続けているようにも見える。経済はやはりグローバルな視点でも考えなければいけないとあらためて認識。

  • 内容自体は他のメディアなどでも見ていたが、まとまっていてわかりやすい。
    今後のEUの動向や付き合い方を考えるにはとても参考になる。

  • 私も、日本として魅力のあるマーケットはEUだと思います(サービス以外は)

    特に最近ギリシャの債務超過の話題がホットだから興味深かった。

    自分はオーストリアに1年住んでいて、ドイツ系思考に触れる機会が多かったから、
    特にトルコ人に対しては(低賃金労働者の流入で自国の失業者を増やすという観点から)一種の差別意識みたいなものを植えつけられた気がします。
    一方で、トルコ人っていうのは本当に日本人と似ていて、他のヨーロッパ人がWe Europeansという認識の元Uniteしようとしているのに対して、「トルコ人」という枠から外れられない人が多い。

    「日本人としての~」「トルコ人としての~」ではなく、「私として」というのが本当は先にくるべきものなのだろうけど、相手を”自分とは違う人・理解してくれない人”と無意識に認識してしまうと、
    (私はこんな大きなコミュニティに属していてね、そこでは普通なんだけど、)「日本人としては、こうしたい」
    とかいう発想になってしまうのだろうな、と思ってる。

    特に、EUの法律の授業のときに、
    キプロスの話題になったとき、トルコ人きまずそうだったな。。
    ギリシャ人ってキプロスのこと、あまり自分の島って認識していないけど、
    トルコ人って(当たり前かもしれないけど)キプロスに希望を託しているから凄く意識している。

    そんな昔の記憶がよみがえった本w

  • EUの強さ=ユーロの強さだと思う。

    厳しい条件(マーストリヒト条約)を守り続けているからこそ、ユーロの信頼は揺るぎないものが“あった”。(今はないのか。。。w?)

    上手に東欧などをEUに取り込んで、EU域内での経済を強くしようとする方向性は間違ってないと思うけど、今後も一枚岩でやっていけるかの一番の課題は「イスラム教国家」を取り組むかどうかの判断にかかっていると思う。

    トルコなんかを上手にEUと融合させることができれば、この本で主張していることはもっと真実味が持てる気がする。。。と書いているときにギリシャの財政赤字が問題視されているけど(笑)

  • 大前さんが通貨統合を果たした「超国家EU」について書いた本。
    以前からEUを高く評価していたかと思いますが、本書では巨大経済圏としてのEUについて改めて分析評価を加えています。『東欧チャンス』や『ロシアショック』からもつながる内容です。
    ギリシャの財政危機が大問題になる前に書かれているんだと思いますが、これを読むとそれも何とか大丈夫なんだろうなと感じます。

    1993年夏、壁が崩壊してしばらくした東欧をまだ学生のときにギリシャからブルガリア、ルーマニア、チェコ、ハンガリー、東ドイツ、ポーランドなどを一人で周ったときのことを時々思い出しながら読みました。何とはなく、そのときの東欧を見ておかなくては、と思ったからなのですが、その頃と比べるとやはりずいぶんと変わっているんでしょうね。もう一度行ってみたいですね。
    また、その当時は内戦で通過すること叶わなかったユーゴスラビアから独立したスロベニアがEU加盟で成功していたり、クロアチアが高く評価されているのを読んでも隔世の感があります。

    「紛争の原因とされる民族対立や宗教対立は解決不能なほど高い壁に見えるが、グッドライフが手に入る状況が目の前に来れば、誰でもそんなものはほうり捨ててしまう」

    この100年間で2回もその地で大戦争を起こし、さらにはつい20年前まで高い壁で分断されていたヨーロッパがEUの旗の下で統合されていくのを見ると、正にそうなんだなと思います。世界の紛争問題でまず解決すべき課題は貧困問題なのかもしれないですね。

    * まだアラブ連合「AU」を作るべき、と主張していますが、「AU」はアフリカ連合なのでそろそろ大前さんは使うのをやめた方が...

    * 『ロシアショック』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/4062150263
    * 『東欧チャンス』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/4093875855

著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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