ある晴れた夏の朝

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036432004

感想・レビュー・書評

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  • #ある晴れた夏の朝
    #小手鞠るい
    #偕成社
    #読了
    1月5日にして、今年1番の良書に出会ったかもしれない!と思っています。 日系アメリカ人のメイがなぜ日本語を勉強し、日本に来ることになったかが描かれている。しかしその理由は壮大にして深い。原爆投下の是非について討論する高校生の姿。

    唯一の被爆国として私たちは歴史を能動的に学び、自分の考えを持ち、対話し行動できているか。そのように投げかけられていると感じた。太平洋戦争のみならず、中国や韓国、アジアの国々に日本がしたことを含め、数字で表された事実のみならず一人一人の思いにも目を向けられているか。

    素晴らしい本に出会いました。しかし答えはここにはない。探し続けることが大切なのだ。やっぱり読書って最高。さまざまな本が出版され、手に入り、そして自由に読める平和な社会が続くよう行動していきたい。

  • 原爆の是非についてー。
    この重いテーマを扱い、アメリカの高校生が、原爆肯定派、否定派に分かれ、ディベートを行う。

    日本人として、日本人の両親の元に生まれ、日本で育ち、当たり前のように、原爆=悪と思い続けてきた私にとって、アメリカ人の思想に触れられるのが、とても新鮮な出来事だった。中には、日本にルーツを持つ生徒もいて、様々な考えに触れることができた。
    歴史上の出来事について、徹底的に調べ抜き、自分の考えを持つこと、それを人に伝えること、意見を戦わせること、全てのできごとに、意味があると思う。
    最後は予想できる展開だったけれど、原爆について考える全ての人に読んでもらいたい。

  • 小学館児童出版文化賞を受賞された作品とのことで、読んでみました。
    いやあ、なんだろう。平和な世の中に生まれてよかったな、とのほほんと考えていた自分が恥ずかしいというか。今の日本だって決して平和ではない。差別意識はなくならず、関係の冷え込む隣国があり、米軍基地は日本に点在している。本や新聞を読み、知ることをやめないこと。周りに流されず、自分の考えを持つこと。個人として人とお付き合いし、相手の考えに敬意を払うこと。そんなことから、行動していきたいと思いました。

  • ディベート
    日本ではあまり聞かない言葉ですが、1つの題材に対して、賛成か反対かをグループに分かれて討論し、その討論を聞いている人がどちらが興味深かったか投票をして勝ち負けを決めます。
    原爆投下に賛成か反対かを討論するディベートでのやりとりの中で第二次世界大戦が、色々な立場からどう見えていたのかがわかります。教科書の中で学ぶこと以外にも戦争が人々にもたらした悲劇を知ることができます。
    何事も知ることで、世界が広がる。違う目線からの考えを知ることで、自分の考えも深まる。令和元年に中学生の課題図書として選ばれただけの本で、全ての中学生が読んでおくべき本だと思いました。

  • 「広島と長崎への原子力爆弾投下はほんとに必要だったのか?」をテーマに日系アメリカ人を含む8人のアメリカ人学生の討論会の話。

    自分は日本人なので、そもそも肯定という考え方すら考えなかったが、肯定派の意見も理論的で納得できる内容もあった。戦争のこと自体ほとんど知らないし、調べたことはなかったので事実を知ることもとても大事だと思う。色々と考えさせられる内容だった。

    「憎しみを断ち切るには、互いに相手を許すしかない。相手を許し、愛さなくてはならない。」という
    思想をみんなが持って愛することができれば、世界は平和になる。まずは自分の身近なところから愛を持って生きていこうと思う

  • ある晴れた夏の朝
    著作者:小手鞠るい
    発行者:偕成社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    平和へと続く人々の思いは万国共通のものなのだと改めて感じた作品。

    • facecollaboさん
      いいね有難う御座いました。
      いいね有難う御座いました。
      2023/08/21
  • あらすじはおススメされた人から聞いていたものの、6月頃から積読状態でした。しかし、8月6日前後「ヒロシマ原爆投下から77年が経った今、私たちは」関連のニュースを見て、自分自身の「読みたい」スイッチが入り、8月8日、旅行に行く道すがら、電車に揺られながら1時間半で一気に読み切っていました。内容も易しく、展開もテンポ良く、多少あっさりとした幕切感は否めないかもしれませんが、物語としても楽しんで読むことができました。
    物語の面白さとは別に読みながら勉強になったことが3つ。⑴平和とは何か、原爆とは、戦争とはなんだったのかということについてのそれぞれの立場の捉え方⑵討論のコツや魅力的な話し方のポイント⑶日本語の魅力に関する新たな気づきです。この作品は是非、今の子どもたちに読んでほしいなと思います。特に⑴⑵の点に注目して読んでほしいです。⑴は戦争を知らない子どもが「原爆はダメ!」と誰かに与えられた道徳的模範解答に満足して思考停止状態になるのではなく、原爆肯定派、原爆否定派の意見をきっちりと聞いて、自分の頭で判断する力をつけてほしいから。⑵は感情論や人の話を聞かない今の不健全な討論番組や日本の議会の貧しい在り方ではなく、ディベートの健全な一つのモデルを知って、先の将来、レベルの高い議論や人を惹きつける話をできる人たちになってほしいからです。戦争について多面的に考える材料としても、話すの力を伸ばすきっかけとしても良い作品だと思いました。何度も言ってしまいますが、新しい時代を創っていく今の子どもたちにぜひ読んでほしい作品です。

    以下は印象的だった文章です。たくさんあります。もしよければ覗いてみてください。
    27ページ
    ○学校でいつも正しいことを教えてくれるとはかぎらない。
    ○異なる意見を持つ、ということと、友情とははっきり分けて考えなくてはならない。
    ○わたしたちはその差異を受け入れ、異文化を学び、成長していかなくてはならない、と。
    57ページ
    ○反対意見を主張するときには、まず、相手の意見のどの部分に反対するのか、ポイントをはっきりと示してから反論にとりかかること。
    58ページ
    ○ほんの少しだけ、間を置いた。間は、置きすぎてはいけない。ひと呼吸分くらいがちょうどいい。
    61ページ
    ○強調するべきフレーズやキーワードはゆっくりと、一語一語を明確に、あたかもおさない子どもに言い聞かせるように発音し、それ以外の部分は流れるような口調で。
    64ページ
    ○数字は嘘をつく。数字そのものは正しい場合でも、その数字が真実を正しく語っているとはかぎらない。
    81ページ
    ○笑いというのは、強い味方になりうる。笑うことで、人はリラックスし、相手に気を許し、共感をいだきつつ聞く耳を持つ、という状態になるからだ。
    82ページ
    ○早口で、たたみかけるように話しながらも、ケンは、処罰ーパニッシュメントーという言葉を発音するときだけ、スピードをゆるめて、前後に間を置いた。そのことによって、聴衆の心に、このキーワードがくっきりと影を落とすのがわかった。
    85ページ
    ○おだやかで、ひょうきんで、ユーモラス。スコットがそういう口調を選んだのは、もちろん意図的だ。
    108ページ
    ○エミリーは、時間オーバーというルール違反をあえて犯して、勝ちをねらった。勝つためには、手段を選ばない。そういうやり方が人々の共感を得ることもある、ということをわたしたちは学んだ。
    124ページ
    ○人は人種ではなくてまず、個人として存在している。メイも、そのことを忘れちゃダメだよ。過去のことを反省するのは、悪いことじゃない。おおいに反省しないといけない。だけど、引きずっちゃだめだし、とらわれちゃだめだ。
    126ページ
    ○敵意というのは、むき出しにされると、それだけで人々の心を傷つけてしまうものだと思った。同じことを述べるにしてと、とげを抜いた形で述べれば、逆にもっと説得力を持たせられるかもしれないのに。
    140ページ
    ○人間を、人種に分けて考えることを。そろそろやめなくてはならないと、わたしは思うのです。…人はまず個人であるのではないかと…。
    141ページ
    ○人種の違いなど、個人と個人の前では、ほとんど意味を持たない、ということです。
    164ページ
    ○一般論ではなかなか人を説得することはできない。けれども、個人的な語りは、個人的な思いは、個人の胸に届くのではないか。
    172ページ
    ○すべての運動というものは、ひとりひとりの行動から始まります。良い運動も悪い運動も、です。なぜなら、国家や国境というのは、ただの枠組みや線引きに過ぎず、集団をつくっているのはあくまでも、ひとりひとりの人間だからです。世界平和を想像するためには、ひとりひとりがじぶんの手で、自分自身の内面に、確固たる平和を築くこと。まずはここから始めなくてはなりません。
    184ページ
    ○日本語の世界は、そういうふうにはできあがっていないの。日本語の『私』は、まるで風か水か空気みたいに、自己主張をすることなく、『あなた』に溶けこむような形で、『世界』と一体化するような形で、存在しているの。
    ○自分がどう思うかよりもまず、ほかの十四人はどう思うのかを重視するというか、思いやるというか、そうやって思いやりながら、まわりに自分をあわせていくことができるの。個人よりも、十五人の調和を重んじるのね。
    192ページ
    ○I STILL LOVE THEM
    それでも、わたしは愛する。
    194ページ
    ○一冊の本には、それだけの力がある。
    ○一冊の本には人を動かす力があり、人を変える力もある。
    195ページ
    ○そして私も、平和を創造する一個人でありたい。
    ○あなたたちのリサーチと情熱があったからこそ、私たち肯定派もここまで進んでこられたのです。

    以上です。ここまで読んでくれてありがとうございました。

  • 2019年課題図書中学生

    アメリカの高校生が行った原爆肯定派と否定派による公開討論会の様子が発表者の一人であるメイの回想により語られる。

    原爆投下、戦争、人種差別などについて知識が深められるだけでなく、自分たちで調べ、堂々と発表する姿が日本の中高生にも影響を与えてくれることを期待したい。

    平和記念公園の慰霊碑の言葉、「過ちは繰り返しませぬから」を「WE JAPANESE shall not repeat the error」と訳して発表されたことには驚いたけれど、ちゃんと主人公の母親による「日本語は主語を省略する」という説明があり、そういう流れだったのかとホッとしました。

    読みながら、つい、アメリカ文学の翻訳かと思ってしまうことが何度もありましたが、アメリカ在住の小手毬さんだから書けた作品なのかと思います。

    小学校高学年からでも読んでほしい。

  • アメリカの学生が、原爆投下の是非について、ディベートで戦う話。

    原爆投下に対して、私が教科書で学んだこと、本を読み知ったこととは違うアメリカの教育。
    戦争を終えるためには必要だったという見解について知ってはいたものの、改めて読み進めると、気持ちが揺らぎます。

    戦争は、人類の犯した最大の悪だと思います。
    「過ちは繰り返しませぬから」の主語を、皆がきちんと理解して、今後あの様なことを二度と起こしてはいけないと後世にも伝え続けなければならないと思います。


    『われわれの共通の敵、無知や憎悪や偏見と戦わねばならない』『一冊の本には人を動かす力があり、人を変える力もある』
    特に印象に残ったフレーズです。

  • 昨年の中学生の課題図書。
    平和とは何か。原爆の意義は。
    平和の反対は戦争だけではない。本当の平和のためには色々な問題をしっかりと考えていかなければならない。
    もちろん平和についてもそうだが、自分の意見をしっかりもつことや、話し方や資料の提示の仕方、表現だけで人の心を動かせること。なんとたくさん学べる本か。多くの学生に読んでほしい本。

  • ついこの間原爆ドームに訪れたばかりだったので、なんとなく感情移入しやすかった、、、
    ディベートそういえば語学学校時代に先生が好きでよく授業中やってたな笑

  • 学生時代、ディベイトが最も苦手だった。
    時間的に、日本にも導入されたばかりというせいもあって「主張、ポリシー、自己哲学、持論展開。。」を声高に、しかも胸を張って相手を打ち負かす・・そんなものだと思っていた。

    評価でこの作品を5点としたのは、こんな素晴らしい作品は小説というより珠玉の教養本としてさらに広まっていってほしいと渇望するからである。
    ディスカッションに登場する高校生8人は肯定論者も否定論者も多種多様~ある意味これこそ地球の現状(もっともごくごく一部)であることを当たり前として認識させられる。
    高校生でありながら、ネット世代らしく、知識が豊富で読んだ事によって私も目から鱗が落ちた思いだった。

    戦争の世紀20世紀に起こった事象を簡略に、しかも周辺事情を交えつつ述べて、自己の在り方をプレゼンする彼彼女らに圧倒された・・しかも何という抑えた口調。
    狂言回しになっているメイの視線が初々しさの中にも徐々に気持ちが盛り上がっていくのが読み取れる。

    小手毬氏の作品は在アメリカに置いての日本を見つめる作品の視点が好きでたまに読むが偶然手に取ったこの1冊、時間的にも有意義な宝物に合えた気持ちが強い。
    孫が中学生になって読んでくれたらな。。

  • 広島、長崎への原爆投下の是非について、アメリカの高校生がディベートしたという物語。
    物語形式のため様々な歴史的出来事がすうっと頭に入ってきて、その都度考えさせられる。
    最初は、日本人として、この物語とともに原爆投下について考えていたが、次第に人種や民族関係なく、一人の人間として考えるようになっていった。皆さんにも是非、読んでほしいとおすすめです。とても心に残る本に出会えたことに感謝したい気持ちです。

  • #原爆
    #肯定派と否定派

  • 綺麗に締めくくられているし、アメリカ人として、世界としては原爆に対してはこの落とし所でいいのだと思うものの、日本人としては「過ちは繰り返しませぬから」という部分は戦争を始めたこと、軍事主義の人間に国の手網を渡してしまったことも含めて「過ち」を繰り返さないと言っているじゃないかなと思いモヤモヤ考えてしまった。戦争自体を否定はしているから、そうとは取れるけど、なんだか綺麗にまとまり過ぎててやや消化不良気味な感じ方をしてしまった。原爆にテーマが核として陣取っているからかもしれない。テーマがテーマだけにもうちょっと後味の悪さが残ってくれても良かった気がする。もっと過去を振り返ざる追えない後味の悪さが。

    ただその最後の爽やかさや前向きな終わり方が戦争や核兵器について考えるキッカケになるにはいい本だと思う。
    サラッと読める上に教科書だけでは学べない部分や忘れてしまいそうな史実も盛り込まれていて夏休みの課題図書とかに良さそうだなと思った。

  • 原爆について、自分は知らないことがたくさんあったと実感した。

    8人のそれぞれのディベートやその根拠となる資料は、新しい視点や歴史、文化、人種、など考えさせられる話題を提供してくれた。

    来週末、修学旅行で長崎に出発する。こどもたちに、しっかりと学びのある旅行にしてもらいたい。

  • アメリカの高校生たちが公開討論で広島長崎への原爆投下の是非について闘う話。主人公は日本人の母をもつ高1女子。
    原爆だけでなく日本の加害の面やナチスドイツ、人種差別まで取り込んだ内容。
    核兵器を持つことが平和につながるという発言をする生徒もいる。核抑止力。
    友だち同士でありながらこのように意見をぶつけ合うのはアメリカが舞台だからこそ。
    思考停止しないための一冊。

  • 良い本だと思う。
    広島、長崎に足を運びたいと思いながらここ何年も経っている自分。
    なぜ行ってみたいのか、なぜ実現していないのか。
    知りたい、知りたくない、が心の中で戦っていることも気づいている。

    この本を読んで、太平洋戦争について、原爆投下について、今の世界情勢について、やはり知りたい、知らなくてはならないことを痛感した。
    自分自身の興味が一気に高まった気がする作品だった。

  • のどかなタイトルとは裏腹に、内容は、原爆投下が是か非かを論じたものです。

    南カリフォルニアの日本語補習校の生徒のひとりが、現地校の中国系の生徒に、「日本は中国で残酷なことをしたのだから、原爆投下されて当然」と言われたそうです。

    長い間、この生徒にどう対処すればいいと言えばいいのかと悩んでいましたが、この本が答えになりました。感謝しています。

  • アメリカの学生がディベートをする形で、原爆投下を巡る議論を展開していく。ディベートに参加する生徒たちの立場は様々だが、それぞれの主張の内容やそう主張する理由には納得感がある。
    中高生が原爆を巡る議論を概観するには、最良の一冊。
    もっと深く知りたいときは参考文献もついているので、自分で調べてみるのも良い。

  • 子供が学校で戦争、原爆を学んだ時に、渡したい本

  • 広島、長崎への原爆投下の是非をアメリカの高校生がディベートする話。うまい具合に論点がぶれて、人種差別、ナチスや中国侵攻などとの相違点などにも話が及び、客観的データや歴史的背景に何があったかなど勉強になる(相反する歴史認識の有無は気になるけど)。日本人の著者というバイアスは少し感じつつ、読んで良かったと思える本でした。

  • フェードインからの、感動的な幕引きです。歴史認識という際どいテーマに触れているので、読みながら心がざわつくのですが、終章の落とし方が素晴らしいと思います。

  • 原爆についてもっと考えたい

  • 原爆がもっと早く完成しても、ドイツやイタリアには落とさなかった。落としたのは唯一、アジアの小国、日本。これからも白人国家には使われない。それは、人種差別の意識そのもの。
    衝撃的で、忘れられない一言です。

    そして、思う。原爆の開発が遅れていたら、使われていたのは、朝鮮半島か、ベトナムか。やはり、アジアの小国。

    「原爆投下のディベート」:私は、肯定派が勝つと思っていた。理由は、①原爆の否定は、議論がない。”悲惨”で思考停止となってしまう。②戦後75年、未だ原爆が無くならないのは肯定されているから。
    最後で、平和の創造に向かう姿には、アメリカの持つ”パワー”、底力のようなものを感じることができた。私たち日本人には難しいのかもしれない。

    異なる意見を持つ、感じ方や性格や好みや主義主張、人種、民族、宗教などを含めて、人と人は異なっていることを前提とする社会、アメリカ。しかし、戦争をするのもアメリカ、差別するのもアメリカ。これもまた現実なんだ、という戒めも矛盾も感じながら。

  • アメリカ人の高校生達が、原爆投下の是非について公開ディベートをする。
    登場人物達は、それぞれ過去の事実をスタディーし主張をしている。日本では原爆投下=悪と学んできて、いままで自分が耳を塞いできた、原爆投下を肯定するアメリカ人の発想について学ぶことができた。また、アメリカ内でも日系、チャイニーズ、ユダヤ系、アフリカ系とルーツが違うと考え方も異なる事を改めて知り得た。
    争いの根底にある人種差別は重大な難しい課題であるが、「相手を理解する事」「相手を許し愛する事」「(人類が)過ちを繰り返さない事」を語り、未来に向けた世界平和への最後の2人の主張が胸に残る。

  • 頭を殴られたような衝撃。私は無知だ。アメリカの学生が原爆肯定派と否定派にわかれて討論。アメリカ人といっても多種多様。それぞれの角度や立場からの意見がある。加害者、被害者どちらかだけではなくそれぞれが両方の側面を持っているから誰が正しく誰がまちがっているかなんて単純な話ではない。でもいくら正義を語っても戦争は悪だ。核もダメだ。無知や偏見をなくすこと。そろそろ人種や国で括って考えるのではなく人類全体で考えなければいけないのでは。広島の慰霊碑にある言葉のように。人類が、過ちを繰り返さないように。知らないといけないこと、伝えないといけないことがある。読んでよかった。

  • アメリカに住む日系人のメイは、母親が日本人だがほとんど日本語は話せない。日本についての思い出もほとんどない。ある日、友人から誘われて広島に落とされた原爆についてのディベートに参加することになった……。

    まず、舞台がアメリカだというのが面白い。当然のことだが日本が舞台ではこんなテーマのディベートは成り立たないからだ。原爆は必要悪であった、日本が大戦中に行った非道を原爆賛成派は次々と挙げていく。これは日本人に改めて歴史について客観的に考えさせる。そして、アメリカならではの多様な人種ゆえの意見も述べられる。
    最後にメイの母親が日本人であるという設定が生きてくるのがとてもいい。そして、敵を憎むのではなく、愛することで平和をつくるという主張と、平和をつくるためには様々な文化を理解する必要があるという主張、「1冊の本には人を動かす力があり、人を変える力もある」という部分がとても素晴らしい。
    この作品が英訳されて出版される。多くの人に読んでもらいたいし、海外でどのような評価を得るのか、とても気になる。

  • 今までに読んだ、戦争と平和に関する本と違い、登場人物間の討論形式で進められていて、とても興味深かった。私の知らない歴史事実もあり、もっとよく知りたいと思った。再読したい本。

  • アメリカの学生が原爆肯定派と否定派に分かれディベートする。原爆は必ずしも悪ではなかったのか。戦争でこれ以上犠牲者を出さない為に、そして戦争を終わらせる為に必要だったのか。日本人以上にアメリカの生徒が原爆について考えているのがすごい、なるほど。

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著者プロフィール

1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。ニューヨーク州在住。
『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な著書に『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』(講談社)『星ちりばめたる旗』(ポプラ社)ほか、主な児童書に『心の森』(金の星社)『やくそくだよ、ミュウ』(岩崎書店)『シナモンのおやすみ日記』(講談社)など多数。

「2024年 『新装版 まほうの絵本屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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