IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2016年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040820583
感想・レビュー・書評
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請求記号 547.48/Sa 33
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新 書 S||007.3||Sak
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この手の中で一番わかりやすかった。
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【由来】
・MediaMarkerのトップページで
【期待したもの】
・坂村さんがIoTを解説する新書となれば、読まない理由がない。
【要約】
・IoTはオープンでなければ本来のビジョンを達成できない。そして、そのためにはガバナンスの取り決め方が重要になってくるが、この点において日本は弱いのが懸念事項。
・TRONな坂村先生の本。IoTの普及による素晴らしい世界の礼賛には若干の危うさを感じます。でも文明の発展ってのは、そういうもんかな。ガバナンスの意識の問題が、特に日本においては重要との指摘。でも、だったら日本ではなかなか進まないんじゃないかなあ。
【ノート】
・TORN:リアルタムOS に対してはタイムシェアリング
【HARA無双】
・最近、どんな事を言っているのか、気になるところですが。というのも、言ったことは貧弱ながら、すでに現実化していて、ユビキタスの夢も色褪せた感じなので。楽観主義は昔からですが、結局、敗北してしまう、負け癖は直さないとね。
【目次】 -
IoTに関する本は、何冊も読んできましたが共通点を見つけることが難しい。。。それだけ、まだまだ定義も曖昧なんだということが、よくわかります。裏を返せば、これから大きな変革を秘めている領域ということも言えると思います。
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カメラの例が分かりやすい。
シャッターがエッジノードで、画像処理はクラウド、画像の出力はネット経由で別ノード。
物は分解されネットで1つになる。
この時、シャッター、画像処理、画像の出力が同じベンダでは意味がない。カスタマがそれぞれの機能についてベストのベンダを選ぶべき(VRM?)。そのためには機能をユーザが自由にデザインできるように疎結合する仕組みが必須になる(オープンAPI?)。
IoTの壮大な理想像が初めて分かった。
加えて、IoT実現のために解決すべき技術的側面以外の問題点(ガバナンスの問題点)についても非常に熱く書かれている。僕としては、技術的な面よりこちらのほうに多く賛同できた。今後のイノベーションに向け日本は問題山積である。 -
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「アメリカでは、既存のクローズシステムの既得権益者を切り捨てるために、オープン化を実現する」
印象的なフレーズ。 -
年が明けてしまいましたが、私、この本のタイトルである「IoT」という言葉、昨年(2016)に初めて知ることとなりました。新聞や雑誌の見出しに使われることも多く、何のことかと思っていましたが、インターネットの進化形ということになるのでしょうか。
以前、コンピュータ、ロボット等が、ついに人間の支配を脱して自分の意志をもって行動して人間と闘うという映画(ターミネーター)がありましたが、この「IoT」はそこに至るまでの最初のステップなのでしょうか。
それはともかく、今年(2016)一杯は、IoTとは何なのか、人間と共存することは可能なのか、それにより私たちはどのような影響を受けるのかについて考えていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・IOTとは、ユキビタス、その前は「どこでもコンピュータ」、さらに前には、「HFDS=超機能分散システム」、今のインターネットが、ウェブやメールなどの人間のコミュニケーションを助けるものであるのに対して、コンピュータの組み込まれた「モノ」同士がオープンに連携できるネットワークであり、その連携により社会や生活を支援する、それがIOTである(p13)
・蒸気、電気(モータ等の電機化)、オートメーション(コンピュータ等による電子化)につぐ、第四の産業革命が、IOT化、部品製造から組み立て販売まで、すべての現場が連結され透明化されるとドイツでは言われている(p33、81)
・トヨタのカンバンシステムもIOTであるが、それは系列に閉じたIOTである。インダストリー4.0が目指すのは、標準化したカンバンによりドイツ、さらには世界中の製造業すべてが繋がる、系列に閉じないカンバンシステムである。閉じたIOTから、インターネットのようになることが、世の中を大きく変えるにあたって大切なこと(p35、64)
・現在最新の旅客機では、機体を構成する全部の部品に電子タグが取り付けられている、1台の飛行機は400-600万個の部品で構成されるが、これにより全世界において部品のメンテナンスが効率的にできる(p53)
・ネットに繋ぐ、をモノが単なる「物品」でなく、場所というようなケースも包含することを明示するために、IOE(Internet of everything)という言い方もされている(p69)
・電話という音声通信技術の導入で1.0、コピーやFAXという文書通信技術で2.0、コンピュータやインターネットというデジタル通信技術で3.0、そしてIOTで4.0となるだろう(p81)
・最近のインターネットでの「データ公開」は、人間が読むことを前提としてPDFなどによる情報公開ではなく、ネット経由でほかのシステムから利用できるAPI(システムを外部プログラムから制御するための命令群)を設置して、それを公開するというスタイルである(p121)
・日本の電力会社は、電力メータをネットワークにつなぎ、精緻な予測を行うことで、東日本大震災以前は、年間停電時間14分という世界でも例を見ない停電時間を達成してきた、欧米は50-90分、中国は13時間(p167)
・成功してしまった組織は、テクノロジーの変化にはついていけるが、最適化して既得権益の塊になった社会的なクローズドシステムが残り、変化に対抗する(p175)
・オープンでベストエフォートで便利だが、だれも究極の保証をしてくれないのは道路交通網も同じ、安全という意味では、毎年4000人以上の死者を出しながら、日本社会に未だに許容されている最大のベストエフォートシステムである(p234)
2017年1月2日作成