国民国家のリアリズム (角川新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821696

作品紹介・あらすじ

国家の将来のビジョンを描いた上での国防や国益の議論がなされていない昨今。注目を集める国際政治学者とナショナリズムをテーマにした作品を世に送り出してきた作家が、トランプ時代の日本の針路を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 猪瀬、三浦両氏による対談。都知事が小池氏となり、トランプ大統領誕生半年後に出された本で、東京オリンピック誘致や森友学園問題、稲田防衛大臣時代の日報問題にも触れられている。猪瀬氏は、明治以降の歴史や全共闘に参加した体験を基に話されていることが興味深かったし、三浦氏は、政軍関係や憲法問題など自らの研究テーマや当時のテレビ出演、セミナー、勉強会での話題や母親としての視点からの意見が印象的であった。社会は国民国家が中心的アクターであって、健全なナショナリズムの必要性と、現在の状況を的確に読み解いていくリアリズム的な基盤を持つことの重要性をわかりやすく説明しており、参考となった。猪瀬氏の「まえがき」と三浦氏の「あとがき」が素晴らしく、感銘を受けた。

    「(三浦)そもそも、大学には「軍」とか「戦略」と名のつく研究をすることすら、憚られる雰囲気があります」p28
    「(自衛隊)陸海空が戦前の日本軍みたいにタテ割になっているから、それぞれ予算が既得権益になっている。だから本来は国家防衛戦略を作成して、既得権益を一度解体しないといけない」p34
    「軍人だから戦争をするのではなく、専門家だから戦争を抑止できる能力があると考えなければいけない」p37
    「(戦後の日本)要するに「お国のため」あるいは「人のため」という人と、無責任に批判したり揚げ足取りをしたりする人たちとの戦いだったのではと思っている」p104
    「(猪瀬)国民国家にとって言語と伝統文化は重要な要素で、そこにしか拠り所はないと僕は思っている」p122
    「(三浦)戦後を否定する気はありません。パブリックマインドのある自律的な個人が育てばよかったのにと残念に思っているのです」p156
    「(猪瀬)森鴎外の発想の根底には「国家は形式である」という考えがあったと思う。形式の一角が崩れると、たちまち秩序は崩壊する、と述べていた」p183
    「(三浦)日本人は誰かのせいにして生きてこられたから、全体で負荷を共有するとか、それができなければ選択を迫られるといった考え方がピンとこないのかもしれません」p221
    「「お受験ママ」というのは、たしかに出世はもたらしてあげられるかもしれないけど、本当の実力や志は育てられないのです」p230

  • 猪瀬さんはいいがちょっと三浦さんはなあ、わかりにくいような

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著者プロフィール

国際政治学者。1980年神奈川県生まれ。東京大学農学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。専門は国際政治。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。著書に『シビリアンの戦争』(岩波書店)、『日本に絶望している人のための政治入門』(文春新書)、『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書)。

「2017年 『国民国家のリアリズム 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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