氷点(下) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003398

感想・レビュー・書評

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  • 思い込みが、こんなにも人生を狂わせるのか。人間の本質を見た気がする。

    みんな、確認をすればよいのにと思う。けれど、それは客観的にみているからであって、実際にはその立場にならないとわからないのだろうと思う。

    まさか、陽子が実は犯人の子供ではなかったなんて。犯人の子供だといった高木が、ひどいと思った。

    しかし、もとはといえば、院長の辻口が、妻の夏枝に不貞があったのか問いたださなかったからなのだ。夏枝も、聞かれたときにそんなものはないと答えればよかったのだ。

    ちょっとしたすれ違いが、こんなにも事態を大きくするのだと痛感した。小さなことが、だんだん積み重なっていくのだ。自戒をこめて。

    神の巡り合わせのような出会いのシーンにも驚く。教会に辻口がいくと辰子と出会ったり、陽子が出かけるタイミングで北原がきたり。セレンディピティがよく描かれていた。

    夏枝の自分のことしか考えない考え方も、すごくよく描かれていると思う。真実を伝えたらどうなるのか。そんなにばれないとよく思えるものだ。短絡的で、ネガティブケイパビリティがないのだ。でも、思考がせまくなってしまうと、そういうものなのかもしれない。私も同じであり、どうしようもない状況をじっと耐えうる力をつける必要があると思った。

  • 複雑化していく人間関係にも関わらず、どの立場の人間の心情も表現されており、読者がおいていかれることがない。これがこの小説の読みやすいところなんだろう。

  • 2020

  • 父親に薦められて一気に読んだが、夫婦愛や家族愛についてとても考えさせられた。名作。

  • 人を信頼し合うこと、本音を話すこと
    思い込むこと、背景を知ろうとしないこと

    どれもこれも難しいし、色んな形の信頼があるのだなと思った。
    陽子が罪の意識で自殺したけど、人を恨むよりも自分に責任を求めてしまう人なのだと可哀想に思った。運命を呪わない陽子がすごいと思う。

    さっぱりとなんでもいい方に捉えるように生きてきた陽子。
    自分にはない

    人の浅ましさがよく出ている人間くさい作品だと思った

    Twitterで見かけてよんだけど、難しい。目当ての答辞シーンまでまどろっこしくて長かったけど、よんでよかった

  • 思っていたのと違った…
    陽子ちゃんが犯人の子ではないのはまぁそうだろうなと思っていた
    そして死んでしまうだろうと思った

    助かってしまうのは本人が一番つらいのでは?

  • 夏枝やばい。
    でも、こういう状況だったら、私もそうなるんかなぁ。

  • 大学時代に読みました。
    泣いちゃったなぁ。

  • 4月に上巻を読んでからずっと積んでいた。
    うーーーん……。

    誰しもにさまざまな秘め事があり、どう考えているかは他人にはわからず、だから話し合って行動して思いやって愛をもって暮らしてゆくのだな、という感想はあるのだけれど、タイミングの問題なのかなんとなく消化不良のような……。
    陽子があまりにも光の存在であの世界で唯一前を向いてる子だったからラスト間際の氷点のくだりはやめてくれ〜っって感じになってしまった。夏枝!!!!!!やめんか!!!!!

    いや時代の流れもあるだろうけど
    結局この世界線だと殺人犯の子は色眼鏡で見られるのは変えられないってことね?本来の親が判明したら周囲の態度急変だし、北原くんも陽子は陽子だとか言った直後に殺人犯の親はたわごとだって諌めてるのがな。いやまぁ時代でしょうが……。
    あと何?最後なに?北原くん捨て駒?徹とくっつくん?さすがにかわいそすぎるんだが。いや徹は徹でひたすらひたむきに陽子を愛していてこれこそ「汝の敵を〜」の体現だとは思うのだけど。ここが裏テーマだったん?パパがなしえなかった人生テーマを徹がだれに教わることなく一途に想うのが。

    本ってタイミングあるから、、今読んだらなんか疑問点出てきてしまってこんな感じになってしまったけど、もしかして、もっと多感な時期あるいは子どもが同じ年頃になった時に読んだらまた違ったのかもしれないなー。

    え?続編あるやん
    ようよう気になったら続編も読みます……。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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