パラダイス・ロスト (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008263

感想・レビュー・書評

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  • キレッキレ・スパイ第三弾
    これまでは短編だったが、ちょい長の中編「暗号名ケルベロス」が面白い!優劣がころころひっくり返るのが斬新でつい魔王スパイを応援してしまった

    ■謎を解くことは本来それだけで完結するものではない。解かれた謎は、謎を解いた者に責任を突き付ける。謎は解かれた。さあ、お前はどうする

  • 粉塵爆発、最近ではミステリーによく登場する。条件は3つ、日本人ならみんな知っているとあるが、そんなことはない。少なくとも私は江戸川コナンに教えてもらった。「酸素」、「爆発下限濃度以上の可燃物の粉塵」、「最小着火エネルギー以上の着火源」。
    雑誌に連載されていたからか、同じ表現が繰り返されるのは避けてもらいたかった。

    本作の4つの作品の中で、暗号名ケルベロスは中編、しかし本の題名はこの中編ではなく、失楽園である。その意味は読んでみればわかる。私が題名をつけるなら「トラッキング」だ。

    容易に見つけられないものは容疑者本人にみつけさせればいいんだ。優秀な獣は猟師が追い詰めたと思った時に逆に追い詰められている。
    柳広司氏に読者である私も追い詰められているのかもしれない。

  • 相変わらず読みやすく面白い! 全ていい感じのオチなので疲れていてもダメージないです。ありがたい。

  • シリーズ3作目。
    「暗号名ケルベロス」は驚いた。そういう決断とは。
    D機関のスパイにああいう感じの心意気を見たのは初めてかもしれない。

  • シリーズ3作目とは知らず今作から読んでしまった。
    でも読みやすい文体で初めてでも読みやすかった。
    D機関の異能っぷりがずば抜けていて、それぞれの対処の仕方が鮮やかで痛快。
    短編それぞれに登場する人物は同じ人?それとも別の人物?
    すべての話は関連していて、シリーズ一作目、物語の始まりが気になる。

  • 面白い。
    面白い面白い。
    エンタメ小説として、シリーズものとして、オススメ。

    シリーズ3作目。そろそろワンパターンになっても良さそうだが、そうはならないようによく工夫された短編群。

    1本目は、スパイなのにいきなり記憶を無くしたところから始まる「誤算」。秘密を守ってナンボの立場なのに、記憶がなかったらあなた、何を言っちゃいけないか、わかんないじゃん!という見事な設定。
    2本目「失楽園」は、優れたスパイは必ずしも自ら動く必要はないという話。周りがこちらの思うがままに動いて、事態を解決させてしまう話。
    3本目の「追跡」は、我らが結城少佐の正体が相手スパイによって明らかにされてしまうのか?という、鼓動が早くなってしまう話。
    4,5本目は初の連作「暗号名ケルベロス」。

    全てがシリーズ初。見事。

  • 過去二作と比べると、華麗さがないように感じました。
    また、誤算で「結城中佐の気配を借りた」ってそれはちょっと・・・と感じてしまいました。

    ただ、失楽園や暗号名ケルベロスなど、今回も読み応えがある作品でした。

  • ジョーカーゲームシリーズ第三段
    これも楽しめました。

    5編が収められています。最後の暗号名ケルベロスは前編、後編となっています。連作短編集なのに、なぜわける?(笑)
    なので、物語としては4つ。

    ■誤算
    フランスのレジスタンスに絡む物語。
    どこまでが想定の範囲でどこからが想定外(誤算)なのか?
    引っ張ります(笑)

    ■失楽園
    シンガポールのラッフルズホテルで起きた事件をめぐる物語

    誰が英国人実業家の宿泊客を殺したのか?
    単純に探偵役がそれを解決したのでは、スパイものになりません。その背景に動いていたところがポイントです
    そんなにうまくいくか?って思いますが、この設定はすごい

    ■追跡
    D機関を立ち上げた結城中佐の生い立ちに迫る物語。結局、結城中佐の過去は明らかになるのか?それを追っていた人物はスパイとして拘束されます。
    結局、踊らされていただけなのか?
    これまた面白い設定、展開でした。

    ■暗号名ケロべロス(前、後編)
    エニグマの暗号が絡んだ物語
    太平洋のハワイ海域で、朱鷺丸の船上の摘発した英国スパイ。しかし、突如イギリスの軍艦が表れて朱鷺丸への停船命令が。立場が逆転した英国スパイでしたが、突然、謎の死を遂げます。
    なぜ、彼は殺されたのか?
    それとも自殺なのか?
    殺されたとしたら、犯人は誰か?
    どちらかと言うとミステリー色の強い物語でした。

    ということで、今回も楽しめました。
    まだまだシリーズは続く様です。

  • 今回は個人的には、今までの「小気味いい」部分がだいぶ減っちゃったかなあ、という感じでした。
    時代も、前回で真珠湾攻撃が起こっていよいよか!と思ったら、どうやらちょっと戻った?
    それにしても、ちょくちょく出てくるD機関のメンバーに選ばれるための試験(階段の数とか)。あんなの、現実に答えられる人ってホントーにいるのだろうか……。ごく少数だけど、いるんだろうなあ。

  • シリーズ3作目。

    記憶を無くしたり、
    ほとんど登場しなかったり、
    何年も前から仕込まれていたり、
    あらゆる犠牲を覚悟した上で踏み込んだり…

    2作目までとは異なるシチュエーションでも、
    スマートで優秀なスパイ達が活躍する。
    相変わらず面白い。

著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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