三秒間の死角 下 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010747

感想・レビュー・書評

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  • スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」の共著の長篇ミステリ作品『三秒間の死角(原題:Tre sekunder)』を読みました。

    『制裁』、『死刑囚』に続き「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」の共著の作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    〈上〉
    驚愕の結末へ、ノンストップで疾走する!
    英国推理作家協会賞受賞作

    犯罪組織から刑務所に麻薬密売の拠点を築くよう命じられた警察の密告者「パウラ」。
    政府上層部の後ろ盾を得て順調に商売を始めたが、やがて入所前に彼が関わった殺人事件を捜査する「グレーンス警部」の追及の手が伸びて……

    〈下〉
    『死刑囚』を超える北欧ミステリ最高峰。
    スウェーデン最優秀犯罪小説賞受賞

    政府上層部は保身のために「パウラ」を切り捨て、彼の正体を刑務所内に暴露した。
    裏切者に対する激しい攻撃を受けた「パウラ」は、入所前に準備した計画を実行に移す。
    その行動は誰にも予想のつかない大胆不敵なものだった!
    -----------------------

    本作品はストックホルム市警の「エーヴェルト・グレーンス警部」と「スヴェン・スンドクヴィスト警部補」が活躍するシリーズの第5作… 2009年(平成21年)に発表された作品です、、、

    本シリーズを読むのは、第1作の『制裁』、第3作の『死刑囚』に続き3作品目ですが、本作品がイチバン愉しめましたね… 面白かったです。


    麻薬密売組織を内部から壊滅させるために極秘の潜入捜査を任じられ、麻薬密売組織の中枢まで上り詰めた優秀な警察の潜入捜査員「ピート・ホフマン(パウラ)」… 彼が身分を装って組織に潜入している最中、買い手として現れた男が別の潜入捜査官だと判明し、「ホフマン」の制止もむなしく男は組織の人間に銃殺されてしまう、、、

    潜入捜査が見破られれば己も死ぬ… しかし、更に踏み込んだ危険な任務を遂行しなければならない、「ホフマン」にはかけがえのない家族がおり、絶対に失敗できない。

    ストックホルム市警の「エーヴェルト・グレーンス警部」は、「ホフマン」が潜入捜査官であることを知らず、彼を凶悪な犯罪者と認識して捜査を進める… 「ホフマン」が組織に見破られないよう布石を打った偽装が完璧であるほど、警察に追い詰められる… 「グレーンス警部」が捜査を進めれば進めるほど「ホフマン」の脅威となる、、、

    それでも「ホフマン」は最後にして最難関の任務を果たすべく、ある計画を実行に移す… 重罪刑務所に麻薬密売の拠点を築くべく、法務省上層部の極秘の後ろ盾を得て、アスプソース刑務所内へ潜り込み商売を始めたが、その正体を知らぬまま、入所前に彼がかかわった殺人事件を捜査する「グレーンス警部」の追及の手が伸びるや、法務省上層部は保身のために「ホフマン」切り捨てを決定する。

    政府上層部がとった「ホフマン」切り捨て策は、彼が潜入捜査員であることを刑務所内に暴露することだった… たちまち裏切り者に対する容赦ない攻撃が始まる、、、

    「ホフマン」は、刑務所長の「レナート・オスカーション」を殴打して、自ら完全隔離区画へ収容されるが、そこも安全ではなかった… ここに至り、「ホフマン」は入所前に準備した計画を発動させることを決意する。

    生き延びるために彼がとった行動は、誰にも想像さえつかない緻密、かつ大胆なものだった! 驚愕の結末へ向かってノンストップで疾走する刑務所サスペンスでしたね、、、

    最悪の事態を予測して周到な対策を講じていた「ホフマン」が、強い意思と信念を持って、当初の目的の遂行と刑務所からの脱出を試みる行動、生き延びるための孤独な闘いに感情移入しつつ、一部の情報しか知らされず、限られた情報の中から「ホフマン」の狙撃を判断する「グレーンス警部」にも感情移入してしまい、どっちに肩入れして良いのかわからないまま、双方の立場になって読み進めました。

    図書館の本に分解して隠して持ち込んだ約5cmのミニガンを使い、看守長の「マルティン・ヤコブソン」や敵となったヴォイテク配下の囚人を人質に立てこもり… 「グレーンス警部」が狙撃兵「ステルネス」を使った狙撃を強行、狙撃後の謎の大爆発、、、

    その後、「ホフマン」が事前に手配していた郵送物により「グレーンス警部」に真実が知らされ… 「グレーンス警部」は、検察官の「ラーシュ・オーゲスタム」とともに警察上層部や法務局の関係者を追い詰めていく。

    これまで読んだ本シリーズの中では、最もエンターテインメント性が高く面白かったですねー 終盤の「グレーンス警部」の活躍にもカタルシスを感じましたが… 銃殺された後、爆発により粉々になった(はずの)「ホフマン」が計画していた作戦の全貌を知らされたときの驚き、そして、喜びはうまく表現できないほどでした、、、

    さらなるカタルシスを得ることができましたね… ホントに愉しめました。

    「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」の作品、他にも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「エーヴェルト・グレーンス」
     ストックホルム市警警部

    「スヴェン・スンドクヴィスト」
     ストックホルム市警警部補、エーヴェルトの同僚
     
    「マリアナ・ヘルマンソン」
     ストックホルム市警警部補、エーヴェルトの同僚

    「ニルス・クランツ」
     ストックホルム市警の鑑識官
     
    「フレデリック・ヨーランソン」
     ストックホルム市警の警視正。犯罪捜査部門の長

    「エリック・ウィルソン」
     ストックホルム市警の潜入捜査担当官
     
    「イェンス・クレーヴィエ」
     ストックホルム市警のインターポール担当者

    「トール・エイナション」
     ストックホルム市警押収品保管室の職員
     
    「ラーシュ・オーゲスタム」
     検察官

    「ルードヴィッグ・エルフォシュ」
     法医学者

    「ポール・ラーシェン」
     刑事施設管理局局長
     
    「ウルリカ・ダニエルソン」
     裁判所管理局の職員
     
    「ヤコブ・アナスン」
     コペンハーゲン市警強行犯課の警部

    「レナート・オスカーション」
     アスプソース刑務所長
     
    「マルティン・ヤコブソン」
     アスプソース刑務所の看守長
     
    「リュデーン」
     アスプソース警察の警部補

    「ヨン・エドヴァルドソン」
     警察特殊部隊司令官
      
    「ステルネス」
     狙撃手
     
    「カーステン(イェンス・クレスチャン・トフト)」
     コペンハーゲン市警強行犯課の警部
     
    「ピート・ホフマン(パウラ)」
     警察の潜入捜査員

    「ソフィア」
     ピートの妻

    「ヒューゴー」
     ピートの息子

    「ラスムス」
     ピートの息子

    「ズビグニエフ・ボルツ」
     ヴォイテク・セキュリティー・インターナショナル社副社長

    「グジェゴシュ・クシヌーヴェック」
     実業家。犯罪組織ヴォイテクのトップ

    「ヘンリック・バク」
     ヴォイテクの連絡係

    「マリウシュ」
     ヴォイテクの一員

    「イエジ」
     ヴォイテクの一員

    「ステファン・リガス」
     ヴォイテク配下の囚人

    「カロル・トマシュ・ペンデレツキ」
     ヴォイテク配下の囚人

  • まあ面白い

  • ひょっとしたらと思いながら最後まで読み進む。
    題の意味もなるほどと理解でき面白かった。
    これからグレーンス警部の活躍が楽しみ。

  • <学生コメント>
    犯罪組織に潜入した警察官が、刑務所におけるミッションのさなかに様々なトラブルに巻き込まれる。それを切り抜けるための三秒は果たして長いものなのか、短いものなのか・・・死角がないように隅々まで読んでみてください。

  • グレーンズ警部が介入した時点で即座にピートを見限った点は安易過ぎると思ったが、前シリーズを読んでグレーンズ警部の執念深さをしれば納得できるのだろう。

    下巻はグレーンズ警部の物語となったが、主人公は彼であることを後から知り…
    私はピートが主人公だと思っていた(映画から入ったので勘違い)

    「三秒間の死角」というタイトルは映画では全然判らなかったが、原作を読めば非常に納得、且つ唸ってしまう位の素材で感動。

    グレーンズ警部の奥さんの経緯が最後まで意味不明なままで幕を閉じたが、これもシリーズものである故の私の知識不足。

    とにかく、これまで読んだサスペンスもので一番

  • アマプラで見たの忘れてた、本の方が断然良い

  • うーん。唸ってしまうような展開。北欧ミステリー、やっぱりすごいですね。

    ホフマンは、どこかしら、マーク・グリーニーのグレイマンを思わせるところがありますね。それだけでも、シリーズになりそうです。

    シリーズになると言えば、この作品は、グレーンス警部&スンドクヴィスト警部補シリーズの5作目。これまで、これほど面白い作品を逃していたのが残念。

    これより前の作品も読んでみたいと思います。

  • 下巻の巻き返しがすごい。

  • (上巻より)

    胃の中にドラッグを詰め込む運び屋は、
    もはや「常識」だが、
    刑務所にドラッグを持ち込む方法や、
    盗聴する方法、
    刑務所の中の様子が面白かった。

    エーヴェルト警部が恋人の死から立ち直る話でもあったが、
    そちらがかすんでしまうほどの面白さだった。
    というか、このシリーズで初めて面白いと思った。

    当然のごとく映画化されているらしいが、
    ニューヨークが舞台になっているあたりからして、
    残念。

  • 下巻は一気読み。面白かった!

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著者プロフィール

アンデシュ・ルースルンド 1961年生まれ。作家・ジャーナリスト。ヘルストレムとの共著『制裁』で最優秀北欧犯罪小説賞を受賞。

「2013年 『三秒間の死角 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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