- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041013335
感想・レビュー・書評
-
ゾクリと怖い…というよりは、昔話を読んでいるような感じ( • ̀ω•́ )やっぱり怖いのは人か。憎悪や執念。短編集でお話がいくつか収録されているのですが、どのお話も最後は決着するのでホッと一息つける物語です(ノω`)2016.06.02読了。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2016.3.30
-
怪奇ものにはまって以来、ちょこちょこ探しては読んで、という感じなんだけど、貸してもらったので読んでみた。そしたら意外と面白くてびっくり。正直宮部みゆきってミステリーなイメージしかなかったので、興味がなかったんだけれど、とても人の心がにじんだ、優しいお話が書ける作家さんなんだと思った。文章もとても上手だし。どの作品もやりきれなさとか、悲しさとか、それを救いたい人々の優しさとか、色んな思いがつまっていてあっという間に読み切った。怪奇風だけど、やっぱり最後は人間なんだなあ、とやりきれない思いになる。
個人的には野槌の話が一番好き。 -
「ばんば憑き」ですよね。
2年前に読んでいたこと忘れて2巡目読破。
短編ですが、長編などでおなじみの人物なども
登場して宮部氏ファンには合間読書としても
楽しめる作品。
そして、2巡目でもほろりとくる。
日常に「正解」や「正しい答え」なんてものは
存在しえず、
その辺の「結局これでよかったのかわからないけど」的
尻切れトンボな結末ではありますが、
それは実生活でもそうだし、
そもそも答えを見つけたくて小説を読んでいるのでなく
グレーな現象を自分の中に留めて置く
やり方や気持ちの整理のつけ方とかを
想像の中で練習しているんじゃないかと
そんな(どうでもいい)ことを読後に考える。
度量というのは、了見のせまい人間には示せない特質で、それは自分の中に矛盾や葛藤を抱えても
存在していき続ける強さみたいなものかと思う。
この地球や宇宙みたいに。
一見カオスだけど、矛盾に満ちた世界が完璧だという
相互関係性を生み出しうる素地。
日常は自他共の感情や思考のカオスで、
それを選り好んでいく個体があるってだけの
単なる活動にすぎず、その感情や思考にも、
選ぶ行為にも善悪はない。
選ぶ個体の志向であり、嗜好にすぎない。 -
どこかで読んだような気がするんだけど?
-
2011年2月ばんば憑きとして刊行。2014年6月に改題して文庫化。6つの短編。再読。「ばんば憑き」がホラー色が強いものの、他5編はファンタジー色が強い話で、6編全てが面白く楽しめた。てっきり新作かと思いました。改題はやめてほしい。
-
怪談話ってどうかな、と思って読んだんですが人の念とは恐ろしいと思う一方で意外と本当にあったんじゃないかと思うくらい惹きつけられてしまいました。怖かったですけどね。
-
「別れるけれど、消え失せはしない。亡き人びとはこの世を離れて、だからこそ永遠のものとなるのだから」(384頁)再読。実家本。短編集。物語自体ら怖いとは思わなかった。身近なものが突然動き出したら怖いけど。いつの間にか引き込まれて読了。時代の人々が読んだ黄色表紙等を読んでみたくなった。当時はどんなあやしの話があったのだろうか。ともかく、さらっとすとんと収まって、しみじみとした読了感。著者の他作品を読み返すのもひとつの手。ごちそうさまでした。
-
発行済の「ばんば憑き」の、改題ということで、騙し討ちだとレビュー上では評判はかなり悪い。
しかし、中身は秀作揃いであることは変わりない。
私の場合ハードカバーで購入したが、貸した相手が会社を辞めてしまったので回収できてないので、わたりにふねだった。
つまり、何度読んでも面白い小説集なのだ。
そして、前回は表題作をばんば憑きにしたのは少々もったいなかったのではないだろうかと思う。
ばんば憑きは、女性の愛憎悋気の醜さ、男の弱さが描かれた後味の悪い物語だった。
確かに他の話に比べ、頭一つ抜きん出た物語だとは思う。
最初と最後で主要登場人物への目がガラッと変わる。ぞっとするような不可解さもいい。サイコスリラーとしても読める。
しかし、他の話は「坊主の壺」を除き、どちらかというと子供が絡んだ優しく切ない話揃いだ。
ぼんくらシリーズの政五郎が出会う怪異譚「お文の影」は、別の本に収録されている「灰神楽」の続編だが、子供達の影踏みの中に影が一つ多いということで悲しい子供のたったひとりの「友達」のことが語られる。
優しい「さあ爺」の言葉に救われるが、子供のことを考えると哀れ過ぎる。
それを「博打眼」の元気な女の子の話が明るくしてくれる。
怪獣譚だが、子供を助けようとする政吉さんや竹兄の優しさ、父親の誠実さに怪獣誕生のおぞましさがかなり和らげられる。
次の「討債鬼」は三島屋シリーズの青野さんと行然坊の話だが、うまく収まったとはいえ、とある登場人物だけがなんの頑張りもしないでしゃあしゃあと利を得る結末がけったくそわるい。
はっきりいって、あの人だけは続編でひどい目にあえばいいと思う。
他の人が基本好い人揃いだから余計ムカついた。
そして最後は京極センセーがオブザーバーについたのか妖怪から便利やさんに仲間の妖怪を退治してくれるようにという依頼。
途中拍子抜けした部分もあったが、ラストシーンで納得した。
そして、この作品中、約3本、子供の虐待が絡む話がある。
婦女暴行も2件あったが。
宮部みゆきの書き方はエグくはないが、凄惨だ。
そして、ここ数日ニュースを賑わしている忌まわしい事件を観て、報道がどこまで真実かは分からないが被害者の子供が彼らに重なる。
自分の都合でもてあそんだり、八当たりしたり、邪魔扱いにする大人。
妻を亡くし、男手ひとりで娘をそだてている源五郎右衛門、従業員含め家族として助け合う誠実な善一、望まぬ男との子供を命懸けで守る儚げな吉乃、皆が皆、そんな親の元大人たちの間で育っていく幸運に恵まれるわけではない。
宮部みゆきは子供の虐待を時々取り上げる。
同時にそれを怒り悲しむ人に自分の言葉を代弁させるかのように書く。
この小説集の表題作が変わることで、また違った読者が読んでくれたらよいな、と思う。