光炎の人 (下)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041949

感想・レビュー・書評

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  • 徳島の一少年が機械に憧れ、大阪、東京、そして満州へ出ていくという話。彼が惚れた技術を実現するために日々努力するが、時代の流れに翻弄されていく。
    久々に面白い小説に出会ったと感じた。純粋な動機が社会に触れていきだんだん汚されていく様や時代や運命に翻弄され見てられないなぁと思うこともあったけど、ひたむきな姿と目標を叶える姿は良い。

  • 容易く感想を文章化できないでいるのですが、

    彼女が現代日本文学の最高峰、至宝であるという評価は

    私の中でより揺るがざるものとなりました。

    凄まじい作品です。

  • 志をもって一生懸命生きている音三郎が自分では気付かぬうちに徐々に変化していく。その過程で自ら背負い込んだ爆弾がいつ爆発するかとひやひやしながら読み進めた。

  • ラストは、ここまで、、、、と衝撃

  • 女性作家で近代史を織り込みながら、ここまで書ける人をひさびさに見た思いがする。
    明治、大正、昭和の時代。農家の三男坊が技術工になるのを夢見て立身出世する希望希あふれた伝記ロマンを期待すると裏切られる。発明で名を成すという野心のため、純朴な工学少年は、故郷を捨て、組織を乗り換え、ついには満州へ。何度も挫折を味わい、老獪な中年となって己の技術が歴史的大事件に関与する段になって、彼は思わぬ展開を迎える。

    周囲の人物も魅力的に描かれ、闊達としている。
    主人公が野心的でないだけに、自分の背中に冷たい刃を突き付けつけられて半生を振り返ってみたくなるような気分になった。
    最後通牒を突き付けたのがかつての同郷の友人だが、歴史の流れを知る側としては、彼も安泰ではない。

    あくまで過去の架空人物の生きざまながら、現代に通じる諸問題を投げかけている。主人公がLEDの開発者に重なった。

  • ドッカンとお腹に穴を開けられたような気持ち。
    少年が電気に魅せられ、知識と技術を身につけ武装し、どんどん視界が狭くなっていく。寄生する叔母には終始苛々して、怒りをぶちまけてやれ!と思っていたけど、いざそうなるとすごく辛かった。
    いつになったら優しいトザをまた見れるのか。誰か彼を踏みとどまらせる人間はいないのか。男の野心が大きな歴史の渦に絡めとられていく。
    今までの木内さんの温かい滋味あふれる作風とは異なり、涙よりも、叫び出したい悲しさが残る。

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著者プロフィール

1967年生まれ。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年『茗荷谷の猫』が話題となり、09年回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、11年『漂砂のうたう』で直木賞、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他の小説作品に『浮世女房洒落日記』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』、エッセイに『みちくさ道中』などがある。

「2019年 『光炎の人 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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