滅びの園 (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA
3.91
  • (61)
  • (76)
  • (59)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 595
感想 : 90
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041064320

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 素晴らしい能力、望みの叶う世界、何十億円というお金…そういうものが良きものとして描かれてるのはわびしい。
    夜市、雷〜、秋の牢獄、草祭、金色機械はどれも読み直すほど好きだった。スタープレイヤーはよくわからなかった。万能な世界や多大な報酬を求めてることはもうわかった。わたし自身、人間の描写が好きなので派手でも世界観だけだと物足りなく感じてしまう

  • 疲弊したサラリーマンが異世界に迷い混み、居心地よく暮らしていたら、元いた世界がとんでもないことになっていると知らされる。異世界と現実世界それそれで話が進み、謎を残したままラストへ。あの人どうなったのか、とか本当はどんな施設か、など気になることがいろいろあるのが良い余韻。久々に読んだ恒川作品はとても面白かった!

  • 奇妙な雰囲気のSFと言おうかファンタジーと言おうか。突如地球上に現れた「未知なるもの」と、地上を席巻する地球外生物・プーニーを巡る戦いの物語。地上で増殖し人間を滅ぼしていくプーニーは、どこかしら滑稽に思えるけれどやはり恐ろしいなあ。その対処にも決定的なものがないという絶望的な状況が重いのだけれど、作品としてはそれほど暗くなく、少しわくわくするような読み心地です。
    そして「未知なるもの」に取り込まれて生活する一人の男。逆に理想郷のようなこの世界とそこに現れる魔物の意味、そして世界の核がいったいどこにあるのか。こちらは穏やかな印象のように思えつつ不穏な要素をはらみ、これまたどきどきさせられる展開。
    あまりSFやファンタジーには馴染みがないのだけれど。幻想やホラー好きなら好みに合う要素がいっぱいありました。

  • 夢中で読んだ。日常からとんでもないSFに吹っ飛んでるのに「ああ、あるかもね」って読み進める不思議。
    理剣くんの告白は胸熱。

  • 図書館に買ってもらった。

    誠一という人間を核として、彼の希望の世界が存続していた。ブラック企業と悪妻との往復の生活をしていた彼の希望は、想念の世界があらわすように、将来の不安がなく、人々は友好的で、妻は自分を愛してくれて、可愛い子供もできる、という人によっては些細な幸せと呼べるものだったのだろう。
    彼は冒頭で自殺こそしなかったが、結局世界に殺された。

    彼が膜に包まれ落ちてきたのは、メタ的にはエピローグを語る人物が必要だったということだろうが、物語的には、彼にまた「希望」を抱かせて、「未知なるもの」が復活するようにしたのではないか。人はどれほどの絶望からでも、生きていれば何らかの希望を抱く。誠一が最後に見た「家族」の姿もそうだろう。

    「逆転」していたら、だれも誠一の所に行かないだろうな。誠一の「絶望」を糧に、地上が幸福に包まれていたら。誠一は「神」「キリストの再来」なんかと呼ばれて、教科書に載って、先生辺りが「今日も神様に祈りましょうね」とかなんとか言ったりして。

  • なんというか一言ではあらわせられないくらいテーマ性のある作品だったなあ。人間の欲望…世界の終わりはあなたの絶望…。次作も楽しみにしてます。

  • プーニーという謎の生命体に支配されつつある地球。
    この話はそのプーニーに知らず知らずの内にとりこまれ、その中で生活するようになった男性やプーニーを退治しに行く者、プーニーに家族を殺された人、プーニーの中に入り、核を壊そうとする人々の物語。

    こうやって書くと、まるっきり現実味のない話で、書きようによっては荒唐無稽で陳腐な話になってしまう。
    だけど、この本は冒頭部、プーニーの中に入ってしまった男が「いつの間にか」自然ととりこまれていたように、読んでいる私もすんなりとこの世界観に入り、陳腐だと読んでいて思うこともなかった。
    どころか、読んでいて何となく哲学的な要素を感じた。

    プーニーの中は意外にも過ごしやすい。
    山に行けば金塊やら宝石がころがっていて、それを売ればお金になる。
    だから特に働かなくてもいいけれど、人々が働いているのは役割のため。
    だというのや、
    プーニーの中にいると魔物が時折現れて悪さをするけれど、それはプーニーを退治しようとする地球人だったりする。
    ・・・というのは読んでいて考えさせられる。
    どちらが悪というのは、その人の立場によって変わるんだな・・・と思うし、単純に、お金のために働くのじゃなく役割のために働く、というのはどういうのだろう?と考えさせられる。

    何だかんだと自分の中で思考を巡らしつつ読んでいるとあっという間に読み終えてしまった。

  • 恐ろしいまでに 面白い
    話が展開するたびのどのエピソードも心惹かれる
    ファンタジーのようで 妙にさっぱりとした現実感も

    作者のリアリティラインは 絶妙

  • 今まで読んできた、恒川ワールドとは違う感じの物語。でも、これはこれで好き。あまり語りたくないので胸の内に秘めて。

  • 今までの恒川さん作品とは少し違ったような。良い意味でです。
    たまにパンを焼くのですが、発酵途中の生地を見るとプニーを思い出します。

全90件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

恒川光太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×