跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041068991

感想・レビュー・書評

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  • 伝われ、気持ち。

    自閉症という言葉に、実際のところどんなイメージを抱いているだろうか。会話ができない人は、何も考えていないのだろうか。障がい者とどのようにコミュニケイトしていけるだろうか。様々な疑問を抱きながら読み始めた。

    簡単に理解できたとは思わなかった。自然に対して、人に対して、社会に対して、著者の感じていることや考えたことが述べられている。それは特殊な体験ではない。ただ、程度が異なるものではあるかもしれない。著者と私とそれからこの社会で生きるたくさんの人が抱えている困難や不安、また希望や喜びがここで語られている。自分の中にある言葉を外に出して届けることと、届けられた言葉を受け止めることのありがたさを感じた。

  • 同僚からのおすすめ読み。
    重度自閉症で会話ができない著者のエッセイ+インタビュー。会話ができないからといって、その人が言葉や感情を持たないわけではない、むしろこんなに豊かな世界を生きているということを教えてくれる一冊。

    自閉症の方が何かに気を取られて集中してしまうことや、繰り返し行動で落ち着くことは知識としては知っていたが、当事者の言葉を知るのは初めてかもしれない。著者は普通に会話しようとすると発話する直前に頭が真っ白になってしまうそうだ。定型発達が「ど忘れ」し続ける感じではと書かれていた。
    自分の行動をコントロールできないが、同時にそれを俯瞰的に認識し定型の反応と比較を試みてもいらっしゃる。「モノと融合する感覚」「デジャヴが続いているような感じ」など、え〜それってどんな感じ…とわからないことが多いが、症状の中で不意にすごく共感できる部分があるのが不思議な感じだった。著者も「僕が特別なのではなく人間にもともと備わっているものなのでは」という意味のことを書かれていて、そうなのかもな…と思った。

    文章的な相性なのか、情緒的に綴ってあるエッセイ部分は読み下しにくく感じ、読み進めるのにやや難儀した。インタビュー部分はすんなり入ってきたし、この部分により自閉症への理解が深まったと思う。

    前向きに生きる著者の姿勢や努力はもちろんだが、同じくらい親御さんや周囲の方の取り組みの賜物であるというのが伝わる内容だった。さらにアマゾンレビューの自閉症のお子さんを持つ方々の投稿を読み、同書の真価を知った。自閉症はコミュニケーションをとるのが難しい場合が多く、親御さんは我が子が何を考えているかわからないことにかなり思い悩むそうだ。この本には自閉症の著者自身が経験した苦しみ、子供の頃こうしてほしかった、こう感じている、ということがはっきり書かれているので、相当数の自閉症者のご家族の救いになっている。症状に個人差が大きいとはいえ、家族の対応が変わることでの自閉症者本人への好影響は計り知れないだろう。

    自閉症に限らず、他人がどんな世界に生きているかということは想像することしかできないが、想像することで少し世界は変わるんだと信じたい。

  • いつか読んだ書評集から、だったか。自閉症の人に対する理解を新たにさせられる一冊。細かい内容はさておき、その思考回路の一端に触れられるだけでも一読の価値あり。

  • 自閉症の方が考えていることを知る事ができてよかった。どんな人であっても自分の思いや考えを伝えたり知ることは大切な事だと思った。

  • 自分の気持ちをきちんと伝えられないからといって、感情や思考が無いわけじゃない。

    会話ができない障害を持つ人だけではなく、子どももそうだし、コミュニケーションの苦手な人もそうですよね。

    自閉症のことを良くわからないから知りたいと思って読みはじめたこの本。
    読んでみたら、自閉症についてだけではなく、自分の持っている思いを表現することの大切さ、というものを思い知らされました。

    世の中に暮らす人たちみんなに読んでほしい。

    とりわけ、これからの社会を動かしていくことになる若い人たちには、ぜひとも読んで欲しい一冊です。

  • 【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001744833

  • 知らなかった事と
    思い出した様々な事。

    心にスッと入ってくる言葉の数々

  • 2019.10.19

  • 自閉症の方の言動や「こだわり」の理由、世界の見え方、感じ方など新しく知れたことがたくさんあった。「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです」という表現が印象的だった。伝えたいことや「こういう風にしたい」という思いがあっても、うまく体を動かせない、言動を制御できないというのは私には想像ができないくらい辛いのだろうけど、それでも前向きに生きている筆者は本当に強い人なのだろうと思った。

  • 自閉症の人が何を考え生きているのか、よくわかる一冊。

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著者プロフィール

1992年生まれ。重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングによりコミュニケーションが可能。著書『自閉症の僕が跳びはねる理由』が現在30か国以上で翻訳され、世界的ベストセラーに。

「2020年 『世界は思考で変えられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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