鹿の王 水底の橋

著者 :
  • KADOKAWA
4.12
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本棚登録 : 1848
感想 : 219
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071182

作品紹介・あらすじ

なにより大切にせねばならぬ人の命。
その命を守る治療ができぬよう
政治という手が私を縛るのであれば、
私は政治と戦わねばなりません。

黒狼熱大流行の危機が去り、
東乎瑠帝国では、次期皇帝争いが勃発。

様々な思惑が密かに蠢きはじめているとは知らず
オタワルの天才医術師ホッサルは、祭司医・真那の招きに応じて、
恋人ミラルとともに清心教医術の発祥の地・阿房那領へと向かう。

ホッサルはそこで、清心教医術に秘められた驚くべき歴史を知るが、
思いがけぬ成り行きで、次期皇帝争いに巻き込まれていき!?

異なる医術の対立を軸に
人の命と医療の在り方を問う意欲作!

感想・レビュー・書評

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  • 『鹿の王』でまんまと上橋菜穂子さんにはまったわたくし、次は何にしようかと揺れ動く乙女心の最中でありんす
    『守り人シリーズ』にしようかな〜、『獣の奏者シリーズ』にしようかな〜、それとも『十二国記』いっちゃおうかな〜てな感じです

    ま、いずれにしろまずはちゃちゃっと『鹿の王』の外伝を片付けちゃいましょうかね
    と読み始めた『水底の橋』
    そんなちゃちゃっと気分で読めるような物語ではありませんでした!ほんとすいません

    ファンタジー小説というのはもちろん架空世界の物語ではありますが、やはり現実世界を映す鏡でなくてはいけないとも思うんですよね
    そう思った時に「ヴァンとユナのそれからが読みたかったよう」というただのミーハー心を恥じました
    そっちやないねん!と
    ホッサルとミラルのそれからを描くほうが現実世界の医療や様々な問題への気付きがあるのだと
    そしてその気付きとはやっぱり女は強いな〜って違うわ!敵対し受け入れがたいと思っていたものの中にも、真摯に向きうことで得られる逆転の発想や知見もあるということ
    ただ闇雲に否定し拒絶するのを止めて、時には協力し、時には切磋琢磨することが光差す未来に繋がるんじゃないのってことなんかな〜

    あと『十二国記』は上橋菜穂子さん違うわバカタレ!

    • ひまわりめろんさん
      1Q84O1さん
      こんにちは!

      おかげさまで決まりました!
      『獣の奏者シリーズ』にします
      闘蛇と王獣にやられました!
      なんのこ...
      1Q84O1さん
      こんにちは!

      おかげさまで決まりました!
      『獣の奏者シリーズ』にします
      闘蛇と王獣にやられました!
      なんのことか一切わかりませんが乙女心は画数の多い漢字に弱いのですw
      2022/11/13
    • 1Q84O1さん
      そりゃそうですよねw
      まだ読まれてないので闘蛇も王獣も・・・?何って?おもいますよね
      とにかく凄いっす!
      きっと乙女心を満たしてくれると思い...
      そりゃそうですよねw
      まだ読まれてないので闘蛇も王獣も・・・?何って?おもいますよね
      とにかく凄いっす!
      きっと乙女心を満たしてくれると思います♪
      2022/11/13
    • ひまわりめろんさん
      了解です(`・ω・´)ゞ
      『図書館の魔女』の外伝読んだら行きます
      了解です(`・ω・´)ゞ
      『図書館の魔女』の外伝読んだら行きます
      2022/11/13
  • いゃ〜、面白かった!
    「鹿の王」のスピンオフ作品です。あとがきにもあるように多くの読者がヴァンとユナのその後を読みたい(私もその一人)という意見があるようですが、今回の主役はオタワル人医師のホッサルとミラルの物語。

    ホッサルとミラルがオタワル医術と清心教医術の政争に巻き込まれながらもそれぞれの医術の良さや命のあり方を学び、成長する姿が熱い!
    ミラルがなんかとても良いのです♪

    上橋さんの物語はところどころに刺さる言い回しがあり、大好きです♪オススメ!

  • 『鹿の王』の主人公の一人、医術師ホッサルの物語。

    「目の前に苦しんでいる患者がいて、自分が、治せる薬を持っているのに、使わないでいられるか?」
    患者の命を守るためあらゆる治療を施し最善を尽くすのか、それとも、患者の身を穢さぬよう心身を清め穏やかに逝かせてあげるのか。
    現代でも「安楽死」という言葉があるけれど、その答えは簡単に導き出せるものではない。
    病に苦しむ患者を前に、医術師として人として、どう接するのか。
    ホッサルとその恋人ミラルが悩んだ挙げ句に出した答えに、一筋の明るい光が見えるようだった。
    オタワル医術と清心教医術、歩んできた道は違えど、患者を救うという目的は同じ。
    表には見えてこないけれど、両者を繋ぐ一本の橋が水面下に確実に在り、橋渡しをしてくれるはず。

    今回のミラルはとても魅力的で今後も応援していきたくなった。
    そして次回はもう一人の主役・ヴァンの物語に期待したい。
    上橋さんの描く料理は相変わらず美味しそう。食べたい!

  • 文句なしに五つ星を。

    今回最終話となる「鹿の王」第4巻、『水底の橋』
    医療に関わる、真理の追求がテーマかと思う。

    現代でもそうだが、先進と言われる西洋医療と
    総合から体を判断し治療する漢方。
    そして、体の骨や筋肉関節などの動きを見て、治療する和の医療。

    いくつもの医療があるのだが、この本もまさに医療を考え哲学する本であった。

    人を救う、全ての人を救えるのか?

    私のように60歳もすぎると夫婦で死に向かう人としての生き方、死に方を考える。
    医療も考えるテーマの一つ。

    年々解明されることも多いが、まだまだ人の体は全ての秘密から明らかにされていない。
    そんな医療と死を考え、何を選び何を諦めるのかは
    人の生き方の哲学から決定するものだと、信じている。

  • この作家の作品を読むと、いつも温かい気持ちが湧いてくる。
    「鹿の王」を読み終えてからもうずいぶん経つので、
    正直、今回の主人公ホッサルがどんな性格の人物だったか
    忘れてしまっていて、最初少し戸惑ったけれど、
    お話の世界に引き込まれるのにそれほど時間はかからなかった。
    描かれていないこの先の物語が気になる終わり方だった。

    作者はあとがきで、一作を書き終えると
    空白になると書いておられたけれど、
    ぜひともこの続きの世界を知りたいと思った。

  • やっと読めた・・・満足です。
    今回も医療、命、いろいろ考えさせられた。
    自分の中で常識だと思っていたことが揺らいだ時、
    どう対応するのか。
    皆、それぞれの正義のために戦っている。
    何が誤っているのかは、どの立場で裁くかだ。

    その中でそうしたしがらみをすっと乗り越える人がいる。
    やっぱり女性は強いなぁ。

    • megmilk999さん
      しがらみをすっと乗り越える、という表現がとても的確で、自分の感想を府に落とすことができました。参考になりました。
      しがらみをすっと乗り越える、という表現がとても的確で、自分の感想を府に落とすことができました。参考になりました。
      2021/07/18
    • 葉明さん
      コメント、ありがとうございます。
      共感してもらえて嬉しいです。
      コメント、ありがとうございます。
      共感してもらえて嬉しいです。
      2021/07/18
  • 心の清らかさが難局を救う、という結末が、いつまでも心に残った。世の中がこういうものであればいいなと思った。

  • 背後には政治的思惑が渦巻いてはいるものの、主人公が医術師なので、医療メイン。

    まるで考え方の異なる、清心教医術とオタワル医術。
    最初は、清心教医術の考えは遅れていて、オタワル医術の方が優れているような気がしたけれど、だんだんと感じ方が変わっていく。

    医療にできることとできないこと。
    物理的な治療と、人の心の中。
    考えさせられるテーマ。

    事件が起きてからは、事態が一気に動き出して、一気読み。
    ミラルの気遣いには、ぐっときた。

  • ホッサルとミラルのその後をしっかりと描いた続編。

    実はレビューの完成後でログアウトされるという、ヤル気を削がれる事態が起きて、不貞腐れております……。

    医療の、科学としての面を重んじるホッサルと、ケアとしての面に気付くミラルが、それぞれの道に進んでゆく展開が良い。
    生死を司る立場だからこそ、権謀術数や政治的な面にどうしても絡め取られてしまうのだけど。
    反面、リムエッル祖父がいなければ、オタワル医術は保っていたのだろうか、とも思う。

    本当に必要とされることなら絶えることはない、というのは綺麗事のような気がする。
    かといって、病を使役することは、テロリストと同じ発想だよな、と思う。
    結局のところ、人間が識るということ、その純粋な好奇心が鍵のような気がする。

    水底の橋の両端を思う。

  • 鹿の王のヴァンのその後が気になるところですが、この作品はスピンオフといった内容でした
    ホッサルとミラル、医療に関わる話が中心です
    そこへ権力争いが絡んで・・・

    とてみ読みやすく面白かったのですが、物足りなさも感じました

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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