人間狩り

著者 :
  • KADOKAWA
3.55
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本棚登録 : 265
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041075234

作品紹介・あらすじ

有栖川有栖氏、推薦!
第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作が登場。

それは、誰もが味わえる後ろめたい悦び。
ネットを利用して、凶悪事件の“元”犯人に私刑を下そうとする〈自警団〉。
これは正義か?
現代人の深層を刺激するサスペンス・ミステリ!

14歳の少年が少女を殺害、眼球を少女の親に送りつけた、20年前の女児殺害事件。その犯行映像が突如、闇オークションに出品された。当時の捜査関係者なら犯行映像を持ち出せたはず――人事一課監査係の白石は捜査を開始する。

カード会社で督促の仕事をする江梨子は、一本のクレーム電話をきっかけに、ある男の悪行をネットに晒した。動画は警察が動くほど話題となり、かつてない満足感を覚えた江梨子は、悪人を“炎上”させ懲らしめる〈自警団〉サイトにのめり込んでいく。〈自警団〉でも積極的に活動する少年・龍馬と、サイト管理人の弥生と親しくなった江梨子。三人は、次の獲物を決める。近頃、犯行映像流出騒動で話題の元少年Aだ。龍馬の活躍で元少年Aの素性を突き止めるも、事態は思わぬ方向へと転がっていき……。

凶悪事件犯行映像流出元を追う警察、私刑を下すべく元犯人を追う〈自警団〉。
二つの“正義”が重なったとき、本当の物語が姿を現す!

感想・レビュー・書評

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  • はじめましての作家さんでした。たまたま気になり手にした本でしたが、デビュー作だったそうです。
    引き込まれて読むことができました。
    少年Aが弁護士になっている設定から中山七里さんの小説に出てくる御子柴さんを思い出しました。
    他の作品も読んでみたいです。

  •  こういう小説を読むと、いつも少年法について考えさせられる。もし、自分の子どもが犯罪を犯したなら、もし、自分の子どもが少年法によって守られる年齢の子どもに被害を受けたなら。被害者と加害者では考え方が大きく変わることだろう。また、その犯罪者が社会復帰をしてきちんと反省をして全うに生きているのならば。逆に、何の反省もせずに罪だけ逃れて生きているならば。これもだいぶ考え方が変わってしまう。

     さて、物語は20年前に起きた少女殺人事件。加害者はその少女を殺害した後、目玉をくり抜いて被害者家族に送り付けてきた。加害者はすぐに逮捕されたが、きちんと裁かれることはなかった。加害者は14歳の少年だったのだ。
     そして現在、当時起きた少女殺害の映像がネットで売りに出された。映像を流出させたのは元少年Aの仕業か。それとも警察内部からの流出か。監察の白石が捜査に乗り出す。
     また、捜査と並行して<自警団>サイトの住民が動き出す。<自警団>サイトとは、警察が裁けないような犯罪者をネットにアップし晒しものにするものだ。カード会社で督促業務を行う江梨子は、あるクレーマーのことを晒し、<そこからサイトの管理人の弥生、それからカリスマの龍馬と知り合い、元少年Aに迫っていく。
     この2つの物語が重なる時、事件は思いもよらない展開を見せ、一気に解決へと向かっていく。

     いやぁ、面白かった。それぞれの正義や、少年法の是非を突きつけられ、大いに考えさせられた。また、同時にエンターテインメントとしても存分に楽しめる作品だった。作者の次回作にも大いに期待したい。

  • 久々の大ヒット!
    ページを捲る手が止まらない。
    そして読後冷めやらぬ昂揚感。

    残酷な内容を含むので、本作を面白いと言うと語弊があるが321頁ずっと面白かった。

    良く練られた構成、作者の手中に嵌りまんまと騙されてしまったが、それすらも心地良い読後の爽快感。

    ただのミステリーには終わらず、少年法、復讐の是非、本当の正義についても考えさせられる。

    第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してのデビュー作だが、ぐいぐいと惹き寄せられる展開に読書の醍醐味を感じた。
    デビュー作にしてこのクオリティの高さ。

    楽しみな作家さんの登場だ。

  • 「灰色の評決」が良かったので、既刊全て読みました。タイトル程の物騒さではなかったかな。
    とはいえ、小学生の女の子を殺害し両目をくりぬき自宅に送りつけたあげく、一部始終を録画しているという残酷な殺人からの幕開けです。
    物語はその録画のコピーが裏サイトで販売されており、どの様な流出経路で誰が売ったのかを追う警察監察官と、ネットで私的制裁を行っている人達の2本軸がどんどん絡まっていきます。
    一気読みでした。
    新作を追いたい作家さんに出会えるって、なんて素敵な事なんでしょう。

  • 14歳の少年が少女を殺害、眼球を少女の親に送りつけた、20年前の女児殺害事件。
    その犯行映像が突如、闇オークションに出品された。
    当時の捜査関係者なら犯行映像を持ち出せたはず―人事第一課監察係の白石は捜査を開始する。
    カード会社で督促の仕事をする江梨子は、1本のクレーム電話をきっかけに、ある男の悪行をネットに晒した。
    動画は警察が動くほど話題となり、かつてない満足感を覚えた江梨子は、悪人を“炎上”させ懲らしめる“自警団”サイトにのめり込んでいく。
    “自警団”でも積極的に活動する少年・龍馬と、サイト管理人の弥生と親しくなった江梨子。
    3人は、次の獲物を決める。
    近頃、犯行映像流出騒動で話題の元少年Aだ。
    龍馬の活躍で元少年Aの素性を突き止めるも、事態は思わぬ方向へと転がっていき…。
    (アマゾンより引用)

    正義をはき違えるなって思う。
    マジで。

  • 幼女殺害の少年が撮影した犯行映像がダークウェブで販売された。
    更生したはずの元少年Aが販売したのか?
    ネットで自警団を名乗り、法で裁けない悪を晒す男女。
    彼らがたどり着いた元少年Aとこの事件の真実は。

    少年法、被害者遺族、ネットでの晒し、その他の社会問題、様々な問題が盛り込まれ、どこに行き着くのかが気になり興味深く読みました。

    少年法の是非については毎度考えさせられます。
    被害者とその遺族の気持ちを思えば、更生なんて望まない、法で裁けないのなら私刑を厭わない、その気持ちはわかる気がします。
    何が正しく何が正解なのか、考えさせられました。

  • 少年のおぞましい犯罪を記録したDVDがインターネットで公表された事件を白石秀季が捜査する物語だが、山本弥生が主宰する≪ネット自警団≫が活躍して少年の正体を暴き出す.三田江梨子もその活動に加わるが、生活保護費をかすめ取る輩をネットに曝した実績ができた.白石は姪 玲奈と同居しているが、彼女の行動監視から龍馬と知り合う.龍馬も自警団で活躍している.被害者の母親が所在不明になっていることから、次第に真相が明らかになる.さらに、少年が弁護士になっていることを突き止めた弥生たちだが、話は最後に急展開する.色々な人の証言をベースに白石の推理が展開する過程が面白かった.

  • ネットに晒すことによって、法で裁かれない者を成敗する。こういう人間狩りを正義というのか…でも誰も幸せになれない。

  • 3月-12。3.5点。
    20年前に少女を殺害、眼球をくりぬいた少年。そのときの映像が闇オークションに。警視庁監察係が操作を。
    一方、法で裁けない迷惑行為をした人間を、ネットで晒すサイト運営者たち。元少年も晒そうと動くが。

    現代にありそうなストーリー。展開も速く、新人とは思えない筆力。次作も期待。

  • すっごく面白かった!
    Amazonのオススメにあったのであらすじを調べて図書館でかりました

    最近ニュースになっていたネットに犯罪者を晒す私的逮捕を題材にしているので現代の社会問題に深く言及しているように感じました

    それと、最初は関係ないと思ってた監察が出ることで物語の主軸が定まって、関係ない一般人が出ることで視点が変わって身近な立場の人が正義を盾にしてネットに晒す快感を覚える現実味が出てふたつの視点がいい感じに物語を動かしてるのが快感でした

    読んで損はしない作品だと思います(*^^*)

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著者プロフィール

犬塚理人(いぬづか・りひと)
1974年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。2018年に「人間狩り」で第38回横溝正史ミステリ大賞・優秀賞を受賞し、同年デビュー。2020年に『眠りの神』などがある。

「2021年 『灰色の評決』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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