スウィングしなけりゃ意味がない (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 355
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041076705

感想・レビュー・書評

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  • 第2次世界大戦前夜から戦中にかけ、いわゆる敵性音楽であるジャズに魅了されたドイツのティーンエイジャーたち、"スウィングボーイズ"の物語。
    懇切丁寧なガイド付き小説とは違い、あれ、これについてなんか説明あったかな? とポヤポヤしているとあっという間に置いていかれそうな、まさしくインプロヴィゼーションが連なるジャズセッションのような作品で、その音楽的なリズムとテンポが読み進むうちにドンドン心地良くなってくる。
    政治的思想は持たなかったと言われているスウィングボーイズだが、戦時下という特殊な状況だからこそ、純朴な魂が発する叫びには説得力が籠り、物語中盤、ベルゲドルフに収容されたエディが目にする数々の理不尽に対し「お前から逃れるまで、僕はお前のことを考える」と呼び掛けて締めるくだりに、それは凝縮されている。
    どこにも偏移せず、ひたすら自分がかっこいいと感じるものだけを追い続けた彼らの価値観が嫌悪とともに爪弾きにしたようなものは、絶対的に間違っているのではないですか、ということだ。
    まあこうして駄文を綴って分析するのも野暮の極みと思われる、どちらかというと右脳で味わうような作品かも。

  • 文庫化で再読。

  • 単行本で既読。

  • ナチス政権下ドイツの、新たな局面を見せてくれる快作。大戦に突入する中、あくまで自分たちのやりたいことを貫いた青少年。戦時には避けられない不条理や死の描写も出ては来るけど、抑制の効いた筆致の妙もあり、いかにも”戦争もの”というところからは、一線を画す仕上がりになっている。終戦とともに迎える本作のクライマックスも素晴らしく、ならではの読み応えある物語でした。

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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