AX アックス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084427

感想・レビュー・書評

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  • 腕のいい殺し屋 兜

    家庭では奥さんの一挙手一投足に
    ピリピリと気をつかい
    空気が波立たないように
    涙ぐましい努力をする男。

    ギャップがたまらん。
    夜食には何がベストか!を
    魚肉ソーセージを熱く語るとこはぷぷっぷ。
    多かれ少なかれ、世の男性は、
    波立たせない努力あるかも・・・
    夫婦あるあるが満載です。

    最後まで奥さんと子供のことだけ
    考えているんだよね。
    克巳がノート 
    (奥さんの取説的な?)を読むとき
    泣き笑い状態!

    医師はほんとやなやつ!
    安全なところで操っている。
    最後の落とし方はすっきりした。

  • 殺し屋の話なのに、ユーモアがあって楽しく読めました。
    主人公は殺し屋なのに、恐妻家で妻の前では従順で、波風を立てぬよう常に気を張っている。

    そんな主人公が、仕事を辞めようとするが、一筋縄ではやめられず。。

    主人公の兜は公平であることにこだわり、優しく面白い性格だが、殺し屋の腕は一流でそのギャップがなんとも言えない面白さでした。

    所々にギャグが入っていて、最後には家族愛も感じられる楽しい作品でした。

    そして、殺し屋の周りには殺し屋が多すぎる!笑
    怖い世界だなと思いました。

  • 超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない「兜」。息子の克巳が生まれてから、彼は引退を考え始める。殺し屋と家庭の間で揺れ動く兜の姿を、エンタメと人間臭さたっぷりに、ほのかな哀愁を添えて描く全5話の連作短編。

    散りばめられた仕掛けが最後に向けて言葉通り“生きてくる”ところはさすが。後半で兜と克巳の視点が交差していく構成のスピード感は読む手を止められなくなるね。中盤の『Crayon』も松田とのやり取りやその結末の切なさと温かさが入り混じる雰囲気が好きだった。

    兜の恐妻家っぷりは最初は滑稽に見えてたなあ。奥さんを起こさないために物音を立てず魚肉ソーセージを食べる姿はなんとも言えない哀愁が漂ってた。なぜそこまで…という疑問がわかって振り返ってみると、見える景色が全然違ってくるね。
    克巳が父の努力を知って庇おうとするのもよかった。でも、克巳も感じ取っていたように、兜は自分の努力が認められるとかではなく、妻に居心地よくいてほしいという思いで常に動いていたところが素敵だった。

    「そいつの努力では変えられないからだ。どうにもならないことを攻撃しても、フェアとは言えない。そうだろ?」
    「親っていうのはいつも、しまった、と思ってるんだよ」
    という言葉たちも好き。温かく真面目で、少し抜けてる兜の雰囲気がいいよね。

    「苦しむのはいつだって自分以外の誰かで、責任があるのはいつだって自分以外の誰か、と信じているのだ。」
    この言葉も社会に生きていて感じることが多いよね。兜は助けたい人たちの未来のために自分の責任を負った。ぼくもやれるだけのことをやっていこうと、そう感じた一言だった。

  • 伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ!

    今回の殺し屋は家庭的な父親で恐妻家!?

    恐妻家といえばモダンタイムスの主人公もそんな感じだったような気がしますが・・・奥さんが怖いとなんでこんなに面白いのか?自分が結婚してるせいであるあるなのか?そもそもの落語で語られるぐらいなので日本の伝統芸能の様なものなのか?


    一方で懐かしい人や懐かしい話が出てきます。

    殺し屋シリーズは安心して読める一冊です!

  • 満を持して読んだ殺し屋シリーズ3作目。めちゃくちゃ面白かった。シリーズを重ねるごとに面白くていまだに成長し続ける伊坂幸太郎すごい。
    今回の主人公の兜は今までの殺し屋とは違い、家族がいて、殺すことに罪悪感を抱いているのが物語のキーポイントだった。割と常識人寄りの天道虫や槿でさえ、殺すことに悪気は感じてないから、より一般人よりの感性をもっていると思った。あと、恐妻家であるけど、妻がめちゃ怖い人ではなく、気分屋で言いたいこと全部言っちゃうような伊坂ガールなのも良かった。伊坂幸太郎の書く女の人が好きなので。
    そしてあんなに話をやって愛着が湧いてきたところで一言で兜があっさり死んでしまう衝撃。克巳と妻のことを考えると可哀想でならない。でもそれだけでは当然終わらなくて、このあとどうなってしまうんだと思ったところで最終章FINEで全てが収束していく美しさに心を奪われてしまう。
    正直なところ、ボウガンは気付いてしまったけど、それでも兜と克巳の時代が交差して、二人で恐ろしい医者を倒す展開には熱くなった。クリーニング屋は完全にやられた。奈野村さん最高!
    作品全体としては、随所に伊坂エッセンスが散りばめられていて、特にラストの登場人物を救済するような短い過去編は処女作の「オーデュボンの祈り」を思い出して、初期の頃と作風は少し変わっても芯はブレない事を認識出来てなんだか感動した。

  • 殺し屋なのに奥さんが怖い
    奥さんにビクビクしながら生活している殺し屋が面白くてクスクス笑いながら読んだ

  • 殺し屋シリーズは、どれも面白い。
    特に『AX アックス』は、主人公の兜が佳境に入った時あっさり〝死んだ〟と書かれてあったのも〝殺し屋〟としての生き様だなと感じた。

    殺し屋シリーズは、持っも増えても良いと思う。

    私にとって小説は、日々辛いことがあっても手軽に現実から乖離することが出来るアイテムであるので現実離れしたストーリーは特に好きだ。
    共感できる人と出会いたいです。

  • 主人公は殺し屋なのに、妻に怯えて生活してるのが面白すぎた。

  • 最近読んだ本で1番面白かった!

    凄腕の殺し屋なのに恐妻家、死ぬことは怖くないが妻に怒られるのは怖いほどの。

    文具メーカー営業として働きながらも引退するために仕方なく仕事を続けていて、三者面談に遅刻しそうになりながら依頼をこなす様がナチュラルで面白い笑

    アシナガバチが更に危険なスズメバチだったのを残念に思ったのが、妻の見立てを訂正しないといけないから、というのも好き、

    因縁の医者との10年越しのやり取り、息子克己のハンコと兜のハンコの表現に泣けた

    絶対また読みたい1冊

  • 途中までは短編小説みがあって伊坂幸太郎さんにしてはいまいち伏線回収とかないなぁ〜ん〜。って思ってたけどやっぱり終盤に近づくにつれて面白くなってきて伏線回収あって最後には感動してジーーンってした。

    兜の奥さんに対する愛、息子の克己に対する愛、家族っていいなーってなる家族の温かさ
    殺し屋が主人公なのに愛で心が温まる不思議なお話でした。

    兜と友達だった奈野村が息子の命と引き換えに兜の命を狙ってて兜が自ら飛び降りたところにも友情とか優しさを感じたけど、終盤に奈野村が克己の家の近くのクリーニーング屋を経営していて兜の背広にGPS入れてって奈野村が兜にしてもらった恩返しを克己にしてて色々繋がってて本当に愛に溢れた一冊でした。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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