女生徒 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 256
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

感想・レビュー・書評

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  • 初めの何話かは面白かったのですが、次第に怖くなってきました。女を書く太宰、太宰の書く女。どちらにしろ女以上に女な描写ではっとさせられます。こわいなぁ。でももっと読んでみたいなぁというのも少し。

  • 表題作について。現代だったら「むかつく」の一言で済ませてしまう微妙な感情をすごく絶妙に文章するなぁ、と感動。太宰先生の言葉はわかりやすいしツルッと入って来る。
    短編ひとつひとつの後味は悪いですが、他の作品集を読むと暗いだけじゃなくて、染みてきます。んん上手く言えない。
    太宰先生の作品がやっぱり好きです。

  • 手癖の悪い女学生、死期が間近に迫った妹を持つ姉、夫に対し嫌気が差した妻、自信家でオレ様な兄を持つ妹、意見が言えず気苦労の多い主人を持つ家政婦-様々な立場にある”女性”の告白体で書かれた14の短編集。

    どの作品も惹かれるものばかりだったけれど、表題の作品『女生徒』では、思春期ならではの多感な少女の心情が生き生きと描かれている。大人に近づく歯がゆさ、母親との距離感、周囲への反発、自分が何者か不透明な虚無感。周りの全てが煩わしいと思っているかと思えば、次の瞬間美しい夕空を見上げて感動する。そんな気持ちのムラが奔放で、旺盛で、まぶしく見えた。

    太宰治作品の印象を覆すも良し。女って良いなぁと、ほくそ笑むも良し。魅力的な1冊でした。

  • 女生徒、他の短編は何れも現実で体験し得る、現実的な内容である。
    そして此のヒロインの心描写が決して男性的で無いのは、太宰自身が相応の女々しさを所有しているからだろう。
    此処に出て来る人物各々が、女性特有の瞑想と現実の混沌を有っている。そして何処かヒステリックな性質を携えているのだ。簡潔に云えば、女性らしい悩みと思考回路で在ると云う事であるが。
    太宰は女々しいと云うよりも、女性の繊細さを具え過ぎたと言えるだろう。
    恰も女性作家が描いた様な箇所が多々見受けられる。

    太宰の執筆する短編は美しくないと感じる。彼には語りたい事が余りにも多過ぎるのだ。其れを作中で感じさせて仕舞う為に。
    然し口語の文体が非常に多く、それ故に非常に生々しさを醸し出しいる。
    憂鬱や衝動、妄想等が、女の其れとして多彩に含有された一冊だ。

    私が思うに、此の作品のヒロインは全て太宰自身なのだろうと感じた。
    太宰の抱える世間への茫漠とした恐れを詰め合わせた様な、強迫観念染みたモノを感じた。
    どの作品にも凡そは云える事だが、太宰の内部的な恐怖心は、作品に依って表出されているのだろう。

  • 太宰治をかたっぱしから読んだわけじゃないけど
    この作品はすごく好き。
    少女の心をすごく表現してる。
    意地が悪くて優しい。
    少女ってのはそんなものよ。
    太宰治のなかにはこういう
    女々しい部分があったんだと思う。
    作家っていうのは
    女性と男性を往来する中性的な
    生き物なのかもしれない。

  • 主人公の女生徒と自分が重なる。

  • これを読んでから太宰に惚れた。
    こんな女心がよく解る男は他には居ないだろう。
    こりゃもてるわ。しかたないわ。
    女が放っておかないっつうに。


    現実にこんな退廃的な色男と付き合うのはごめんだわ。
    でも、小説家としては天才的だと思う。


    それと同時に男で「うーん・・・」ってなる人が多いのも
    これを読んで了解したのでした。笑

  • 太宰の短編はすごく良い。
    「皮膚と心」に出てくる男性の、あの良さといったら!
    ああいうの書くからモテたんだろうな太宰さん。

  • 表現方法が巧み。初めて見るような表現ばかりだけどすっとはいってくる。あと心理描写が緻密。

  • 「女生徒」
    リズムが良くて、ポンポン読めた。
    現代はインターネットで色々な人や情報と繋がれるから、心の中で自分を顧みたり思想に耽けたりする時間って少なくなってるのかなとふと思った。
    でも多分、量は違えど、みんな心の中で悶々としている時間はあると思う。
    その心の中の葛藤は一生続くのだろうけど、まだ女生徒の瑞々しく初々しい葛藤が描かれている。そして時代特有の女性(少女)としての葛藤でもある。まあ、太宰からみたひとつの女性の葛藤ではあるけど。笑
    「皮膚と心」の可愛い感じも好きだったし、「きりぎりす」とか「おさん」の、解説の言葉で言えば男根、俗人主義、スノビズムへの反抗心が表れている作品も、太宰の新しい面を知れて良かった。

    何故か太宰治はページをめくる手がひょいひょいとなる。読みやすいのかな?或いは解説のように日本人にささるから?
    今度の作品集も良かったなぁ

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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