百年法 上

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 3185
レビュー : 402
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101483

作品紹介・あらすじ

原爆が6発落とされた日本。敗戦の絶望の中、国はアメリカ発の不老技術"HAVI"を導入した。すがりつくように"永遠の若さ"を得た日本国民。しかし、世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律"生存制限法"も併せて成立していた。そして、西暦2048年。実際には訪れることはないと思っていた100年目の"死の強制"が、いよいよ間近に迫っていた。経済衰退、少子高齢化、格差社会…国難を迎えるこの国に捧げる、衝撃の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 詳細なレビューは下巻に書こうと思いますが…

    ほぼ全国民がHAVIによる不老化処置を受けるようになった日本共和国。
    HAVI導入と同時に、生存を100年に制限する生存制限法、通称百年法が成立していた。
    しかし、初めて100年を迎えようとするとき、政府内では百年法の施行が問題となる。
    百年法の凍結を求める声に、首相は国民投票で決めると宣言、百年法はいったん凍結してしまう。

    いやー、面白かったです。この発想がすごいなー。
    続きが読みたくて授乳しながら読んでいたら、息子が「あー!」と怒ってジタバタしてました。

    完全にSFの世界でありながら、何のために生きて死ぬのか考えてしまう。
    国家の繁栄のためには、新陳代謝が必要だということはわかるが、「生き続けられるなんて迷惑」と言わんばかりに死ななければならないってなかなか受け入れ難いだろう。
    遊佐さんの変わりように、深町さんじゃないけど失望してしまったけど、彼はこのまま終わってしまうのか。

    どうでもいいことですが、百田尚樹さんの本だと思ってて、百田さんてばSFまで書くのか!すごい!と読み終わって表紙をみて「あれ?」…
    百田さんじゃありませんでした。
    山田さん失礼しました。

  • 荒唐無稽とは言えない結構リアルなSF仕立ての作品。敗戦後に滅んだ日本は世界の予想を覆して見事な復活を成し遂げて日本共和国となった。ここでは老化しない処置を受けた人々が支えているけど、処置して百年で生存を打ち切る法が制定されている。初めての法施行が一年後に迫った時から物語は始まる。
    ところが対象となる政治家などの画策で国民投票の結果、施行は凍結することとなってしまう。
    生きること死することの意味も提起しながらストーリーは盛り上がりつつ(下)巻へ(笑)

  • 【感想】
    「決してSFではなくパラレルワールドだな。」本作品を読んでいて、一番にそう思った。
    実際にありえないストーリー設定ではあるが、何かのボタンの掛け違いでもしかしたら「HAVI」は発見されるのかもしれない。
    もし「HAVI」が当たり前の世界だったとしたら、僕は一体どのような人生を歩んでいたのだろうか?
    そう妄想してしまうくらい、ある意味リアリティのある作品テーマだ。

    人類の永遠のテーマである「不老不死」。
    それを手にした人類は、代わりに沢山のモノを失ってしまい、時間や娯楽を持て余してしまっていた。
    作中、百年法の施行中止(実際は延期だった)が決まり、法律にすら縛られない「永遠の命」を人類が手にした際に自殺者や犯罪が増加したのは、本当にリアルで皮肉だなーと思った。
    登場人物が「今の生活が永遠に続くとして、嬉しいと感じますか?わたし、うんざりしたんです。それって無限地獄と何が違うのかって。」という台詞があったが、正にその通りだろう。
    勿論、だからといってイキナリ百年法を施行されるのも恐怖なのだが・・・

    永遠の命を得たところで、永遠の幸福は決して手に入らない。
    「限りがあるからこそ、何でも大切に思えるんだ。」と、読んでいて強く思った。
    限りがあるからこそ人生は面白く、青春を謳歌できて、僕たちは毎日何かに向かって進んでいけるんだろう。
    昨今「100年ライフ」という言葉が流行しており、確かに長寿化は何にも代え難いくらい幸福なことだと思っているが、何でもかんでも限りがあるからこそ輝きがあり、幸福を見出せるのだろう。

    さて、この広がりきった風呂敷と僕の期待値を、本作品はしっかりクロージングしてくれるのだろうか??
    下巻に乞うご期待!!


    【あらすじ】
    第二次世界大戦によって、原爆を6発落とされた日本。
    敗戦の絶望の中、国はアメリカ発の不老技術“HAVI”を導入した。
    すがりつくように“永遠の若さ”を得た日本国民。
    しかし、世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律“生存制限法”も併せて成立していた。
    そして、西暦2048年。
    実際には訪れることはないと思っていた100年目の“死の強制”が、いよいよ間近に迫っていた。
    経済衰退、少子高齢化、格差社会…国難を迎えるこの国に捧げる、衝撃の問題作。


    【内容まとめ】
    1.「生存制限法」
    不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て生存権をはじめとする基本的人権はこれを全て放棄しなければならない。

    2.官庁と民間企業が申し合わせたように定年制を廃止した。
    有能な人材を永続的に確保するという名目だが、実態は幹部の保身だった。
    定年制の廃止は、新世代の就職難を生み出し、人材の固定化によってイノベーションの土壌が失われた。
    日本社会そのものが動脈硬化を起こす主因となった。

    3.HAVIの歴史は意外に古く、19世紀半ばに始まる。
    アメリカの鳥類学者が、当時すでに絶滅が危惧されていたリョコウバトの群れの中に、ごく稀にではあるが不老化した個体が存在する事を発見したのだ。
    そのウイルスの結晶化に成功し、ヒトへの感染力を獲得し、ヒト不老化ウイルス(HAV =human antiaging virnus)が誕生。


    【引用】
    「生存制限法」
    不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て生存権をはじめとする基本的人権はこれを全て放棄しなければならない。


    p81
    親子関係の解消は、ファミリーリセットと呼ばれ、当時すでに広く行われていた。
    HAVIが導入されてほぼ40年。比較的高齢でHAVIを受けた者は病死などによって徐々に減少していき、いつしか街から老人の姿が消え、「老い」という概念は過去のものになりつつあった。
    子供が老親の面倒を見るという慣習も意味を成さなくなり、親子関係を存続させる実質的な理由が失われた。

    そして、多機能IDカードの実用化がこの傾向に拍車をかける。
    IDカードが個人を特定する唯一の手段となったため、存在意義をなくした戸籍制度が廃止されたのだ。
    「老い」に続いて「家族」という概念を決定的に崩壊させた。


    p88
    「日本社会は、まさに光谷レポートの予言した道を歩みつつあります」
    たとえば、官庁と民間企業が申し合わせたように定年制を廃止したこと。
    有能な人材を永続的に確保するという名目だが、実態は幹部の保身だった。
    定年制の廃止は、新世代の就職難を生み出し、人材の固定化によってイノベーションの土壌が失われ、日本社会そのものが動脈硬化を起こす主因となった。


    p96
    「HAVIがなければ、百年法なんて歪な法律も必要ない。あんな技術、人類は手にすべきじゃなかった。」
    HAVIの歴史は意外に古く、19世紀半ばに始まる。
    アメリカの鳥類学者が、当時すでに絶滅が危惧されていたリョコウバトの群れの中に、ごく稀にではあるが不老化した個体が存在する事を発見したのだ。
    そのウイルスの結晶化に成功し、ヒトへの感染力を獲得し、ヒト不老化ウイルス(HAV =human antiaging virnus)が誕生。

    人間の不老化に成功したのが1932年。1940年には、アメリカ市民権保有者への接種が始まった。


    p190
    由基美
    「自分で気づいていなかっただけで、百年という期限を意識していたんだと思います。
    この命もやがて終わる時が来るという事実が、頭の隅にあったと思うんです。
    でも今回、百年法が凍結された事で、無期限になってしまった。
    もしかしたら永遠に生きることになるかもしれない。」
    蘭子
    「本来なら嬉しいはずだよね。」
    由基美
    「蘭子さん、今の生活が永遠に続くとして、嬉しいと感じますか?
    わたし、うんざりしたんです。
    それって無限地獄と何が違うのかって。」

  • 分厚くて取っつきにくくって、上下巻2冊一気に手にしたので、受け取った時にずっしりと重く「………」となりました。(予約した時は絶好調だったので上下一気にセットで予約したのだけど、それに苦しめられることになるとは…汗)

    登場人物は30人以上、「誰がどれー」ってなりそうだったけど、中盤から一気に面白味が増して読むページ数が、日を追うごとに増えていきました。

    舞台は今とは違う設定の日本だけど、HAVIと百年法、政治問題、政治家の質の問題、(国民に丸投げ…する今も議員多いよね…)、生と死やぎっしりと飽和状態で、病んで狂気をはらみ歪んだ世界、いつ爆発してもおかしくない日々。

    人物が多いので誰が「主役」か明確に飛びぬけている人がいないので、感情移入はしにくい。だけど淡々としている中で、蘭子がアッシュクリスタルになってケンの元に戻ってきた時は泣けた。

    ファミリーリセットして家族が消滅し、個人から孤人になっていく部分は、殺伐としていて現代と重なる部分がある。

    すごいところで終わったので下巻が超、楽しみ過ぎる。個人的に立花の行方が気になる。

  • 人類が不老不死の技術を手に入れた世界を描いたSF長編小説。設定が細かくて、SFってだいたいそうだけど、設定と登場人物とを頭に入れて整理しながら読まないとたまについていけなくなるので一気読みしてちょっと疲れた。でもちょっと疲れるくらいなのに一気読みしてしまうくらい面白かったということで。
    不老不死も続くと国家として衰退してしまう(古い人間がのさばって仕事も次の世代に回らず技術革新もおこしにくくなる)ので、100年たったら安楽死ねっていう法律を作って施行しようとして失敗したり成功したりまた失敗したり……上下巻あるのでそれなりに長い。センチュリオンとかいう特殊軍事部隊が出てきたあたりで完全に一回だれた(私の中で)。あんまりSFを読むの得意じゃないけどサクサク読み進められたからかなりポップなというか、映像化しやすめなSFなんだろうなと思う。池井戸潤的な。
    自分だったら100年生きたいかと言われると絶対に生きたくないと今は思うんだけど、きっとこのお話のなかみたいにみんなに広く普及してたら自分もその技術で不老不死になっちゃうんだろうな、みんな老けないのに自分だけ老けるのはなかなか辛いと出産してプチ体験中。結局不老不死も病気には勝てずに人類の新陳代謝は無事行われたのであったてきな終わり方したけど(だから正確には不老不死ではなくて不老なだけか)病気が流行らずに新陳代謝がうまくいかなかったらやっぱり安楽死するしかないのかな、拒否者って呼ばれてた安楽死から逃げる人たちも、結局見つかったら死ななきゃいけないっていうタイムリミットがあったから100年越えても生き続けようと思っただけなんじゃないかと思うのよね、あと村おこし的な作業があったから。人間役割やなにかを生み出していくやりがい的なものが無いと生きるのもつらくなるよなあ、こうして現代のやりがい搾取は生まれるのであった。なんかテーマとは大いにずれた方向に着地しちゃった。

  • 長生きできるって、家族関係も複雑になるのかなぁ。 年は取らない、長生き、ってなれば色々弊害もあるよね。 死ねないってのが結局苦しみになるってこともあるし。 何もすることがないのに生きてるのってつらいよなぁ。

  • 不老不死を現実化したけれど百年法で百年で死ななければいけないと定められた社会。 若い肉体のままで「あと〇年で死ななければいけない」て決まっているのって苦しそう。

  • 【再読】
    「不老不死が当たり前の世界が描かれた近未来SF」その思いが強すぎた。
    これは、近い未来の私たちの話。「不死」は有り得ないでしょうが、閉塞感のある社会で、何を求めてどう行動するか。今、自分は何のために生きているのか?改めて考えさせられました。

    今の日本の政治と、官僚への警鐘だろうか?この国を守る。生かす。「国造りエンタメ傑作」です。

    国造りストーリーに圧倒されて、何気なく読んでましたが、再読するとSF性も素晴らしい。
    フライドジャアント?食べてみたいが、食べたくない・・・


    【初読時】
    これまでも、「不老不死」をテーマにした話は沢山ありましたが、この「不老不死」の状態が基本として成り立っている世界は初めてでした。
     「不老不死」がデフォルトである社会や家族の設定、どの小説にも似ていない。面白いです。

     太平洋戦争で、6発の原爆を落とされ敗戦した日本。
    アメリカの占領下を経て、あえてアメリカの盾とするべく、アメリカによって経済復興する。
    原爆の数と、占領下以外は史実と同じです。
    鍵になる「日本共和国憲法」も現実と同じくアメリカが作った設定です。


    そこに「不老不死」と言う本来であれば着地点になる所から、話を紡ぎだしている。
    法律で「死」を与えなければ永遠に生き続ける人々に対し、
    国を生かすために死を選ぶか、個人を生かすために国を諦めるか?

    そんな話が進んで行きます。
    SFと言う事でしたが、SF的要素は期待ほどではありません。

    「不死」よりも「この国を守る」と言う官僚たちの志が熱い!

    下巻にレビュー続く
    http://booklog.jp/users/kickarm/archives/1/4041101913

  • やっと予約の番が来て読みましたが、正直最初はなかなか進まず、挫折してしまうかと思いましたが、100ページを過ぎたころからどんどんひきこまれました。

    設定としては珍しいものじゃないけど(ちょっと前のの映画でありましたね)
    法を施行するもの、止めようとするもの、受け入れるもの、抗うもの…
    多角から描いているのが面白い。パラレルなんだけど、今の社会に似通ってるところがある。下巻がどんな展開になるのかな。

    またしばらく予約待ちです…
    セットで貸し出して欲しい?

  • 凄い(⊙ꇴ⊙)
    面白い!続きが早く読みたい。

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著者プロフィール

一九六五年愛知県生まれ。九八年「直線の死角」で第十八回横溝正史ミステリ大賞を受賞。二〇〇三年に発表した『嫌われ松子の一生』が大ベストセラーとなる。一三年『百年法』で、第六十六回日本推理作家協会賞を受賞。近刊に『SIGNALシグナル』がある。

「2020年 『人類滅亡小説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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