ミサキア記のタダシガ記

著者 :
  • 角川書店
3.58
  • (11)
  • (18)
  • (22)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 124
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104712

作品紹介・あらすじ

「ダ・ヴィンチ」「本の旅人」で四年にわたり連載された人気エッセイが一冊に!twitterの「ツブヤ記」も収録した、シュールで不可思議なエッセイ集登場!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルから、また、三崎さんが異界の話を書いた??(#^.^#)と思って手に取ったら、そっか、 「三崎亜記の但し書き」というエッセイだったんですね。.


    現実の中にふっと入り込んでしまう異界のお話が好きで、三崎さんファンの私なのですが、エッセイは初めて。そもそも、ずっと三崎さんは女性だと思い込んでいて、男性だと気付いたのは少し前のような気がするくらいだし。

    小説は、

    冒頭から

    赤道上に、戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。

    というストレートパンチで始まる「鼓笛隊の襲来」(大好きです!(#^.^#))とか、
    ひとつの町の消滅をひっそりと描く連作とか、

    三崎さんの発想ってどうなっているんだろう、と思わせる流れがいいんですよね。

    ただ・・・
    このエッセイは正直、小説に比べると物足りないかなぁ。

    たとえば小川洋子さんも、小説はあんなに!!!面白いのに、エッセイは謙遜が過ぎて(というか、本当にそんなお人柄なんでしょうね。)今ひとつピンとこない、なんてことがあるように、活躍できる場を選んでしまう、ということがあるのかなぁ、と生意気ながら感じてたことを思い出したり。(汗)

    とは言え、ちょっとずらした視点、というところでは確かにうんうん、と頷ける話も。(#^.^#)

    随分前のことに思えるけれど、あの新型インフルエンザ騒ぎの時に、

    冷静な対応を、という発言が政治・マスコミ・行政の立場から繰り返し出されたけれど、

    「冷静な対応」というのは「この事態が起こったら、こう対処しなさい」という「基準」が示されて初めて、何が冷静じゃない対応なのかが明確になるものだ。


    と言われると、そっか、そうだよねぇ~~!と。
    基準も何も与えられず、落ち着けと言われてもそれは無理、それにこの姿勢って脈々と今現在の日本にも続いているよね、なんて思ってたら、

    後の方のページで出てきた原発事故の放射性物質への「風評被害」について、

    「実はあの時にはすでに〇〇でした」という後だしジャンケンを何度もしてしまった後では、

    とか、

    「風評」という言葉で、責任を国民の側に押し付け続ける限り、どれほど情報を流そうが「風評」と同程度にしか受け止められない。

    と、政府を「信頼できないガイド」と位置づけてしまうあたりには、うんうん、ホントだぁ~~!と。(#^.^#)

    心配しなくてもいいことを心配する愚かさで、被災地の人々を余計に苦しめている、という見方が少々思い当ることもあり、心苦しかったのだけど、そうだよ、これは私だけの責任じゃないよ!とすっきりしたり、余計に腹立たしかったり。

    べつやくれいさんのイラストがとても面白いです。(#^.^#)

  • エッセイも三崎ワールドでいて欲しかったけど考えてみたらエッセイ、時事じゃなくなるので無理な願望だった。
    でもフツー。イラストの方の方が面白い。それでバランスとれているということにしよう。
    文章はわかりにくいのは自分だけかも知れないけど、わかりにくさで三崎ワールドになったと勝手に思う事に落着する。

  • 「ダ・ヴィンチ」「本の旅人」連載エッセイ+Twitterの「ツブヤ記」+書下ろし企画「ケンブツ記」収録のエッセイ集。
    べつやくれいさんのイラストも面白い。
    時事ネタの中に元ネタがもうわからないのがあって愕然とした。
    小説同様の発想の飛躍が楽しい。普通がおかしい感じ。

    絵 / べつやくれい
    装丁 / 鈴木 久美(next door design)
    初出 / 「ダ・ヴィンチ」2009年5月号~2012年4月号、「本の旅人」2012年4月号~2013年3月号。

  • 初読。図書館。小説はすべて読んでるはずのお気に入り作家さんだが、エッセイは初めて読んだ。小説以上にその作家さんの「素」のようなものが見える。共感できることがほとんどだったが、領土問題や政治問題のネタには少し違和感も。べつやくれいさんのイラストは三崎さんの毒を和らげる効果満点。

  • エッセイの中身はとてもシニカルだけど、震災のボツ原稿とその書き直し版の違いはちょっと面白い。

  • 摩訶不思議なあり得ない世界を、とてもリアルに表現する三崎亜記のエッセイ集。あの世界を書く三崎さんはどんなことを考える人なのだろうか。極めて冷静で、常識と呼ばれるものの目につかないおかしさにキチンと気が付く人だった。
    三崎さんのエッセイ、ストンと腑に落ちるのだ。
    べつやくれいさんのイラストもニヤっと笑えて私は好きでした。

  • エッセイは初めて読んだ。
    何故自分が三崎ワールドが好きなのか分かった。
    価値観がかなり共感できるんだよな〜。

  • べつやくさんの挿絵に惹かれて
    図書館で借りた。
    傾き加減が心地よい。
    ツブヤ記、ピリッと面白い。

  • 『ダヴィンチ』連載当時から読んでいたのがやっと本になった。
    あまりに小さなスペースだったので、あのコラムの読みにくかったこと。この本では、べつやくれいさんのイラストも大きくなって、とても楽しかった。
    エッセイとはいえ、ひとつひとつのネタの濃さは、半端ではない。ぎっしり詰め込まれた内容。この作家ならここから小説が出来上がってもおかしくない・・・と思ったが、よく考えたらそこまで不条理ではない。むしろ正論に思えてくるほど説得力がある。
    このくらいの説得力と構築がないと、三崎亜記の小説はその世界を保てないだろう。そのことがよくわかった。ツイッターまでもが、どれほど考えてからUPしているんだろうと思わせるほどの充実さ。「不条理」と「境目」好きな作家さんだということも、よくわかった。
    小説の世界についていけなかった、というひとも、こちらは大丈夫だと思います。

  • 三崎亜記による一風変わった尖った視点から切り込むエッセイ集。べつやくれいによる独創的なイラストコラムも合わさって、笑いが止まらなくなる。間違ってないし、新しいんだけど、そうくるか…!
    連載コラムもTwitterも書き下ろしも繋がっていて、全てが絡んで三崎亜記という物語が形成されている、ということを再確認出来た一冊。
    是非、連載再開を。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しビュー。同作は18万部のヒットとなり直木賞にもノミネートされた。著書に『廃墟建築士』『刻まれない明日』『コロヨシ!!』『決起! コロヨシ!!2』など。

「2021年 『博多さっぱそうらん記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三崎亜記の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×