そして誰も死ななかった (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 403
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041121627

感想・レビュー・書評

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  • 白井智之さんらしい作品でした。
    最後の方は興味深く読めた気がします。
    このタイプの作品は理解するのに時間がかかってしまうのです。

  • 本格ミステリ特有の遊び心、あるいは悪ふざけが爆発した作品だったと思います。

    作品タイトルからもわかるとおり、アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』のパロディーの本格ミステリ。無人島に招待された5人のミステリ作家。作家たちそれぞれが、かなり奇怪かつアクロバティックな殺され方をされる中、事件の真相、そして犯人を推理していくのは…

    いわゆる特殊設定ミステリ+多重解決型のミステリです。設定からしてミステリ好きを狙った感がありますが、キャラクターや描写がそれにさらに拍車をかける。
    ミステリ無人島に招待されたキャラクターたちはいずれも強烈な個性の持ち主が並び、死体云々以前から、グロい、汚い描写も多い。

    それゆえに最初から、ミステリ好きの中でも、さらに「こじらせたミステリ好き以外お断り」の空気を、序盤からプンプンに漂わせてきます。そういう意味では、ある意味親切な作品なのかもしれません。

    設定から何から、いちいち気持ち悪いところが多い。しかしそれだけ念入りに人ばらいしてくれることもあって(?)そのグロさと特殊設定を逆手に取ったロジックのたたみかけは読ませました。

    その一方で多重解決の中には、この可能性をまともに推理するか、といったいわゆるバカミスっぽいものや、読むのがめんどくさくなるような物理トリックもあったりします。

    本格ミステリという大きな川にある様々な亜流。そうした流れも作品に貪欲に組み込まれている印象です。
    それゆえ作者独特のミステリ観や偏愛が織り込まれます。そのひねくれっぷりから、こんなヘンなミステリが生まれたのだと思います。

    キャラや描写そしてロジックと、好き嫌いは分かれそうな感じはありますが、普通のミステリを食べ飽きて味覚が分からなくなった頃に、こうした作品を読むと新しい扉が開かれるかもしれません。それともこんな扉、二度と開けるか! となるかもしれないけれど…

  • さすが、白井さん。めちゃくちゃグロい。
    突飛な設定だけど、半分ホラー小説として楽しめた。

  • グロさ強め。苦手な分野だった。

    少数民族の死の真相に触れたのに、そこは物語にそこまで重要視されず。最後の言葉も。

    それぞれの推理合戦もうーん…という感じ。
    設定に無理があるようなきも…。

    晴夏は、いつ死んだのか、推理作家たちと関係を持つことでどうしたかったのか、晴夏の章を読んでみたかった。

    最後の牛男たちが、【生きた】後を読みたかった。

  • テン・リトル・インディアン型とも言うべきこのミステリフォーマットで白井さんお得意の推理合戦が繰り広げられてくのさすがとしか言えない。着手のきっかけ何。
    またまたナンセンスでシュールな状況の連続。
    悪趣味で非道徳的だけどなんか楽しくなっちゃうエンタメ感。

    推理の一つ一つが何気にタイトル元のオマージュっぽくなってたり、非道徳な物理トリック(死体を利用したやつ)を多用してたりで読み味がブレないようになってて良い。徹底して悪趣味な味付け。
    トンデモというよりゲテモノですね。
    提供も早くて助かる。(?)

  • 内容としてもう少し深いところまで書いてなかったのが残念な作品でした。
    民族が結局なんで死んだのかというのも
    無理やり感があったのと
    寄生虫も死んだ後水をくれという理由
    その辺が全く記載が最後までなく
    離島でのストーリーも面白かったが
    突拍子がない感じが否めなかった

  • 特殊な設定上での推理の論理性への真面目さが徹底されていることが、あまりない読み味の面白さだと思う

  • タイトルに偽り無し。想像の斜め上に気持ちよく話が進んでいく。、

  •  白井智之流「そして誰もいなくなった」。全員死んでからが本編というのがすごく工夫されていた。多重解決の部分もお見事。

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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